「イヴの時間 劇場版(アニメ映画)」

総合得点
78.2
感想・評価
1412
棚に入れた
7613
ランキング
559
★★★★☆ 3.9 (1412)
物語
4.1
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.9

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ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ヒューマンドラマで、俺たちの戦いはこれからだです。追記 なるほど人種差別問題かあ。

 取り敢えず劇場版のみ見ました。先入観0だったので、楽しめました。

 まずは、物語ですが、人間とアンドロイドの関わり方がメインストーリーとなります。
 この世界では人とアンドロイドは、完全に使役するものとされるものに分かれています。アンドロイドは普段は機械としてしか振舞いませんが、その頭のなかではほぼ人間と同等の人格があり、普段は悩みもあれば人間に関する想い、あるいは芸術に対する感動すらありますが、人間は気が付いていません。
 ある出来事がきっかけで、主人公が人とアンドロイドの区別をしてはいけない喫茶店の常連になります。思いもしなかったアンドロイドの人と変わらない感情や生き様に触れ、アンドロイドに対する見方を変えて行くストーリーです。
 
 と書くと、アンドロイドは人間に近づけるのか、人間と区別する必要があるのか、というテーマに見えますが、そこは前提にしてしまっています。本作は、実は人間並みの知性と感情を獲得しているアンドロイドの本音を聞く話といっていいでしょう。

 ですので話は面白いのですが、実はSF的な深みはあまりありません。さあ前提と主人公の立ち位置は決まった。これからどうなる?で映画は終わっています。

 さて、SFおよび設定の考察となります。
 まず、ロボット3原則はググればいいとして、これだけアンドロイドを機械として扱う世界で、人と見分けがつかないアンドロイドが発達するだろうかという疑問があります。(なお、ロボット3原則の生みの親のアシモフは、ロボットはどう人間に似せて作っても、ふるまいでロボットと一目でわかってしまう、という設定でした。これはロボット3原則を遵守するためロボットのふるまいは必然的に人間と異なる、という設定でしたので、ここは矛盾があります)
 どうも表では機械扱いしていても裏では、みたいな設定もなさそうです。性的な目的にも使用していないようです。人間に見せるためには工学的な技術、素材、動作・表情の制御等のソフトウエアなどなど多々技術的な困難があるはずで、この世界観はちょっと不自然ですね。
 数年前までいかにも機械然としたロボットだったので急速に発展したのでしょうが、ここのドライバ要因がまったくないです。アンドロイドの人格の話をするときにここを省略してはいけません。ここのWHYが欲しいところ。

{netabare}  イブの口コミ情報を広めていたのはサミィということは冒頭でなんとなくわかります。あの壊れた子育てロボットの子供の視覚映像をサミィが得ていた、というのもネットワークでつながっているということなんですかね。
 としたとき、サミィは敢えて主人公をイブの時間に導いたということなんでしょうか。その割には鉢合わせして驚いていましたね。無自覚にも見えますよね。ログを主人公が偶々拾った?だとすると、主人公の友人が偶々反対勢力の権力者の息子というのも結構ご都合主義です。
 サミィの内面や、ひょっとしたらサミィが何等かの誘導をしていた可能性も含めてもう少し、サミィを描くべきでした。

 反対勢力もなんか描写はすごいんですけど、やっていることはスパイのアンドロイドを放って、なんとなくすごすご引き返したでけでした。

 主人公のお姉さんは、どう考えているのか。最後の表情の意味からすると受け入れている気もしますし…なぜ、お姉さんがいたのかがちょっと不明でした。なんとなく組織の一員ぽくもありますが、どうなんでしょう。{/netabare}

 うーん、やっぱり、俺たちの戦いはこれからだ、の印象が強いですね。アンドロイドの人権を獲得する勢力VS潰す勢力が始まらないと、やっぱり盛り上がりません。

 ちょっと、短絡的な感想かもしれませんが、アンドロイドのSFものとして評判が高かったですが、私の印象ではSFというより未来設定のヒューマンドラマ、でしたね。

 OVAあるみたいですね。探して見てみます。



 追記 差別問題に焦点を当てる見方がありますね。皆さんのレビューを読んでそういうコメントがありましたので、なるほどなあ、と思いました。もともとアンドロイドの権利という見方はしていましたが、人間とアンドロイドを比べたときの平等問題、つまり、人種差別かあ。そこまでアンドロイドに人間性をまだ見てませんでした。

 アンドロイドがほぼ人間と同等な存在であるという前提で説明なしでスタートしたのは、そういう存在を差別することを描きたかったと。だから結婚問題とか出てくるわけですね。
 たしかに、イヴの時間の女性の主人はもともとアンドロイドを愛していましたし、エンディングを見る限り父親らしき人が義体化しているんですね。

 ちょっと見方がアンドロイドあるいはAIのSF設定により過ぎて人種差別問題に踏み込めてませんでしたね。その点を踏まえると社会的SFなのかもしれません。

 なので、ストーリーとキャラの評価上げました。あとエンディングテーマも良かったので評価あげてます。

投稿 : 2022/06/04
閲覧 : 309
サンキュー:

13

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