「天気の子(アニメ映画)」

総合得点
84.0
感想・評価
703
棚に入れた
3028
ランキング
298
★★★★☆ 3.9 (703)
物語
3.7
作画
4.5
声優
3.7
音楽
4.0
キャラ
3.7

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ネタバレ

weoikoiji さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

感想

背景美術が大きな魅力の一つの新海作品
雨天曇天と晴れ間の描写は他のアニメ作品では抜きん出ている

キャラデザから安藤雅司が外れ田中正賀が残ってより柔らかいデフォルメのキャラクターであった。

君の名はでは東日本大震災とSNS(特にLINE的なもの)の描写がすごく印象に残っている2016年当時は、原作とのタイムラグでまだメールやSNSなど個人間をつなげるツールの描写が作品によってまちまちだった。
その中で、作品の一つの重要なアイテムとして効果的に使用されたのが君の名はの特徴だと当時は思っていた。

今回は、豪雨災害と浸透しきった旧世界のQ&A型ウェブサイトと仕事の受注をするクラウドソーシング的なネット利用について描かれていた。
君の名は程効果的に使われていたとは個人的に思わなかったが、

今回の天気の子で、君の名はと大きく違うのは象徴となる晴れの子が、人間にあるということである。
君の名はでは圧倒的な自然と対峙する人間という災害が完全に客観されたものとして独立して描かれていたのに対し
天気の子では、むしろ人間の代表として晴れの子こそが自然災害として描かれている。
これは地球温暖化という人間由来のものが自然に対して介入しているという意識の象徴かもしれない新海監督の
選択権が晴れの子という人間側に生じているのである(セカイ系的な

最後の帆高と陽菜との出会いは君の名はのラストを彷彿とさせるような個人の世界の物語であったが
それまでの過程の部分が必ずしもそうではなかったように感じた
主人公帆高が、周囲に対して翻弄されるのは君の名はと似たストーリーだが違う部分は自然との対峙ということではなく、より人間社会での対立が多かったということである。
君の名はではみつはが父親である、自治体の長(町長?)と対峙する描写があったが、基本的には圧倒的な隕石という破壊とみつはと滝の個人の物語それ以外はおまけの扱いであり、より鮮明である意味で単調と評する人もいたかもしれない
それと比べると今回は陽菜と師匠の家族関係、家出、未成年、貧困、親権、警察、職、生活、金銭など自然だけではなく社会との対峙もより多く描かれていた。
今回の天気の子は、自然と社会と個人という三項対立の映画というように言っていいかもしれない。
(※追記晴れと雨曇りの二つの背景がこの作品の肝の一つだがある意味社会的問題をこの二つの象徴の雨曇り、愛と個人の部分を晴れとして演出として描きたかったのではと思った)
象徴的なシーンとして須賀圭介と帆高が対峙するシーンそして警察が対峙するシーンは完全に自然の問題は蚊帳の外に置かれ、個人と社会の対峙が描かれ、帆高が個人の物語を選択し、最後に警察と帆高が対峙したときに須賀が帆高を助けることにより映画のストーリーとして個人の物語が選択されストーリーが進行していく。
その後超常的な自然に対し、社会か個人かを問われ選択した帆高だったがそこでご都合主義的な展開に行くわけではなく東京は大水害に見舞われる
そしてラストのシーンである、帆高は自分の選択が正しかったのか自問自答する、いくつかの葛藤的なシーンのあと陽菜と再会し、自分の選択を確信し物語は個人の幸せの物語として完結する。
冒頭言った通り最後に個人の物語がある意味運命=再開という形で描かれ
演出と音楽によりより強調され作品としての最後の部分を彩るという点では君の名はと同じだが、
君の名はほどあまりすっきりしないと感じたのはなぜだろう
諸々の事情を置いておいて個人の物語が選択される様はセカイ系的な愛の象徴でありとてもカタルシスを感じるとても魅力的な部分なのだが
なぜすっきりしなかったのか
やはり答えは三項対立の社会の部分である。
圧倒的破壊の自然というものが死者が0人ということで解消された君の名はに対し(個人の物語のご都合主義展開かもしれないが)
天気の子ではあまりにも放置された社会的な部分が多すぎること
それぞれの事情がありつつ運命=再開により収まるには少し強引であった。
再開さえすれば運命が決着する君の名はの最後のシーンの前の状態に対し
再開しても完全に全てが丸く収まるわけではないのは帆高の再開前の葛藤のシーンでも描かれている。
まあ映画なんてきれいに終わればいいものではないというのは考え方の問題であり、実際君の名はのきれいなストーリーラインは映画通の人々から批評の的として多く消費された
その意識があったのかなとちょっと思ったりもする
実際新海監督の年上趣味的な性的趣向も今回の作品では出ていたりするし

個人的にはやはり君の名はの方が好きかなと思う
カタルシス的に?でも良かったですよ、背景描写も相変わらず綺麗だし帆高が非常階段を駆け上がるシーンは作画的な破綻がなく難しいシーンだろうに違和感なく見ることができた
音楽の使い方演出もやはりそこらへんの映画と比べると感情がよく揺さぶられる
取り合えず一回目みた感じとしてはこんなものかな

投稿 : 2021/08/29
閲覧 : 178
サンキュー:

4

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