「ひぐらしのなく頃に(TVアニメ動画)」

総合得点
88.3
感想・評価
4982
棚に入れた
21997
ランキング
117
★★★★☆ 3.9 (4982)
物語
4.2
作画
3.5
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
4.0

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ネタバレ

ひろたん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

たどり着くのは、始まりの終わり

アニメ初心者の私でもタイトルぐらいは昔から知っていたのがこの作品です。
非常に有名な作品なので私もいつかは観たいと思っていました。

そして、ついに視聴しました。
と、言いつつ、実は、観終わるまでに足掛け半年はかかってしまいました。
理由は、「○○編」を1つ観終わるたびにぐったりしちゃって・・・。
精神的にすごく疲れてしまうので、しばらく間をあけて、また続きを観始める。
そんな感じでした。

この作品は、少し変わった構成です。
それは、同じ設定(背景)、同じ人物、同じ時系列でありながら、
まったくストーリーの異なる複数のエピソードで構成されているからです。
でも、実は、そう認識すること自体がミスリードだったというのが面白いところです。


■鬼隠し編(全4話)
{netabare}
「竜宮レナ」がメインのエピソードです。

非常にショックを受けたエピソードです。
そして、精神的にものすごく疲れたエピソードでもあります。
そのため、観終わるとしばらく続きを観られませんでした。
バイオレンスホラーに免疫を持っていないとこの手の作品は、非常に辛いですね。
と、言いつつ最終話を観るころには、すっかり慣れてしまった自分に気づきます。
そんな自分が怖い・・・。

ところで、第1話で主人公の「前原圭一」が象徴的なことをモノローグで語っています。

「あの時うるさいぐらいに鳴いていたひぐらしは、
 今にして思えば、これからはじまるすべてのことを
 俺に教えようとしていたのかもしれない。
 これから起こるすべてのことを。」

「ひぐらしのなく頃に」と言うタイトルの所以が語られた大切なエピソードでした。
{/netabare}


■綿流し編(全4話)
{netabare}
「園崎魅音」、「園崎詩音」の双子の姉妹がメインのエピソードです。

前編「鬼隠し編」に続けて観ると、まず、迷子になります。
同じ設定、同じ登場人物でまったく別の話?って感じで頭にハテナがいっぱいです。
つまり、この作品の観方が分からなくなってしまうのです。

そのうち、これはゲームが原作だからと無理やり理解しようとします。
つまり、前回はバッドエンドで、今回はまた別のルートのエピソードなんだと。
しかし、実は、このルートと言う考え自体、後に間違っていることが分かります。

このエピソードの真相は、後の「目明し編」で明かされます。
しかし、それは、あくまでもこのエピソードの解答にすぎません。
この「ひぐらし」と言う物語全体の本当の真相は、実は、別のところにあるのです。
それが分かるのは、最終回まで待たなければなりません。
{/netabare}


■祟殺し編(全5話)
{netabare}
「北条沙都子」がメインのエピソードです。

このエピソードは、直接的には、沙都子とその叔父に関することです。
しかし、実際は、裏には何か大きな謎があることを視聴者に悟らせるのが目的です。
それを前原圭一の目線を通じて語ってきます。

その1つが、圭一の記憶の錯綜です。
このエピソードでは、圭一は、確かに沙都子の叔父を殺しています。
しかし、圭一のまわりの状況証拠を集めてもそんな事実は何1つ無いのです。
圭一は、自分が殺したのかどうか、記憶に自信が持てなくなります。
それはいったい何が原因だったのでしょうか?

そして、もう1つが、沙都子の兄の失踪、梨花の謎の死、雛見沢大規模災害です。
なにやらこの3つは、繋がっているようなのです。
これらには一体どんな関係があるのでしょうか?
それを匂わせてこのエピソードは終了します。

裏に大きな秘密があることが分かると、物語ってがぜん面白くなってきますね。
このエピソードを境にいろいろな予想が頭を駆け巡り話に引き込まれていきます。
{/netabare}


■暇潰し編(全2話)
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「古手梨花」がメインのエピソードです。

前編「祟殺し編」の続編となり、その過去と未来を描きます。

「祟殺し編」で、梨花は、謎の死を遂げました。
そのことを梨花自身が5年も前に予言していたと言うのです。
ここで、梨花が他の登場人物とは違う存在だと言うことが分かってくるのです。

ここまでくると、もう先が気になって仕方ありません。
{/netabare}


■目明し編(全6話)
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「綿流し編」の解答です。

双子が出てくる推理ものは、意外と分かりやすいトリックが多いです。
つまり、双子の入れ替わりです。
このエピソードも例にもれず、そんな王道の展開でした。
本来、妹が持っているはずのある道具を姉が持っていたことで気づくトリックです。

しかし、このエピソードの主旨はそこではありません。

雛見沢御三家の1つ園崎家をメインに据えることにより語れるものがあるのです。
それは、この一連の惨劇は、村ぐるみで何か隠しているのではないかと言うことです。
そして、黒幕には、御三家、特に園崎家が関わっているのではないかと言うことです。

しかし、これこそがミスリードなのでした。
このエピソードは、「綿流し編」の真相を明かします。
しかし、その裏にある大きな真実からは、視聴者を遠ざける役目をしていたのです。
つまり、大きな嘘をつくために小さな真実を積み上げたのです。
{/netabare}


■罪滅し編(全5話)
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「鬼隠し編」の解答です。

このエピソードも前編「目明し編」と同様、真実から遠ざけるためにあります。

「鷹野三四」からあるスクラップ帳を受け取ったレナが真実に近づこうとしています。
その真実とは、土着伝染病と「おやしろ様」信仰の関係です。

しかし、これもまたミスリードなのでした。
前回は、村ぐるみで何か秘密を隠しているのではないかと思わされました。
そして、今回は、それが「おやしろ様」信仰の復活を目論む陰謀論だと言うのです。
これらにより、視聴者は、この物語の真実から大きく遠ざけられることになるのです。
{/netabare}


■第25話(「罪滅し編」の4話目)
{netabare}
ここから急にいろいろな事が分かり始めます。
正直、「すごいな!」と思ってしまいます。

特にすごいなと思ったのは、圭一の記憶の錯綜の真相が分かることです。
先のエピソードでは、圭一の沙都子の叔父殺しが無かったことになっていました。
でも、圭一は、その記憶を持っていました。
それだけはありません。
圭一は、レナと魅音を殺した記憶も持っていました。
今、目の前には、生きている魅音がいるのにも関わらずです。
そして、その二人を殺した記憶とは、最初の「綿流し編」のことだったのです。

つまり、今までは、別ルートとして独立していたと思われていた各エピソード。
実は、それらには、記憶を通じて何らかのつながりがあることが示されたのです。
今まで自分が積み上げてきた認識が間違っていたと音を立てて崩れていくのです。
そして、ある予感が頭をよぎり、ぞっとしてきます。

さらに追い打ちをかけるように次回予告で梨花が言います。

「たどり着くのは、始まりの終わり」

「始まりの終わり」とは、物語が完結しているようで、
その後に新たな展開があることが予想できるようなものを評する表現だそうです。
これにより、ますます、自分の予感が正しいと思えてきて、ぞっとしてくるのです。
{/netabare}


■第26話最終回(「罪滅し編」の5話目)
{netabare}
そして、いよいよ迎えた最終回。

梨花は最後につぶやきます。

「そう、そういうこと。
 いいわ、遊んであげる。
 永遠に終わらないこの6月を好きなだけね。」

前の第25話で薄々感じたことを決定づけるのです。
つまり、この世界は、パラレルではなく、ループなんだと言うことをです。

そして、ここで、この物語は、一旦、幕を閉じます。

あの手この手で視聴者を真実から遠ざけておいて、最後にドカンときて終わりました。
ズルいですよね・・・。
{/netabare}


■まとめ

特に最初の2つのエピソードでは、その強烈な内容に衝撃を受けました。
しかし、なんでこれが名作なの?って、思ったのも事実です。
言葉は悪いのですが、正直、クソアニメとさえ思いました。
しかし、その後、これらのエピソードの解答が示されたあたりから考えが変わります。
エピソードの真相以上に裏に大きな謎があることが分かってくるからです。

そして、クライマックスが近づいた第25話からが非常に面白いのです。
最初、各エピソードは、同じ設定、同じ人物を使った別の話だと思っていました。
つまり、ストーリー分岐型ゲームによくある別ルートで完全に独立していると・・・。

しかし、それこそが、大きなミスリードでした。
つまり、すべてのエピソードは実は1本の線で繋がっていたのです。
そうなると、1つ1つのエピソードの解答(真相)なんて大した話ではありません。
それは、その裏にある大きな謎のごく一部の出来事でしかなかったからです。

最初は、サブキャラだと思っていた古手梨花。
それなのに、なぜ次回予告ですべてを見透かしたようなコメントをしていたのか?
そして、なぜ未来を予知できたのか?
この謎と最終回で示された事実は、「解」でその真相が明かされることになります。

そして、その「解」まで観ると、これは名作だと言われる理由に納得するのです。

投稿 : 2022/05/15
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サンキュー:

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