「宇宙よりも遠い場所(TVアニメ動画)」

総合得点
93.4
感想・評価
2763
棚に入れた
9620
ランキング
12
★★★★★ 4.2 (2763)
物語
4.3
作画
4.1
声優
4.2
音楽
4.1
キャラ
4.2

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ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

【更新】青春!それは壮大な夢に爆進が許される人生最良の時!

2018年 マッドハウス制作のオリジナルアニメ作品。全13話。視聴済。同年12月、ニューヨーク・タイムズ紙が「2018年最も優れたテレビ番組(The Best TV Shows of 2018)」の海外番組部門の10作品のひとつに選出、第22回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門審査委員会推薦の秀作。作画、声優陣共に強力。他のどの作品にも似ていない「人生って旅なんだ」と思い起こせる逸品。

【前書き】
皆さんは、どんな夢や憧れ・希望を抱いてましたか?無茶・無理・無謀と言われてもチャレンジした事って有りますよね。私は沢山の魅力に惹かれ、爆進しては爆死!を繰り返して来ましたw。
この作品は、そんな猪突猛進が許される青春という限られた時間を謳歌する中で、友情・仲間・家族・成長…そして愛・人生・時代が描かれます。諦めない!きっと叶えてみせる!私達は花より団子系!そんな素敵で個性豊かな乙女達が夢を叶える物語。

視聴のきっかけは…。タイトル。宇宙より遠い場所「うちゅう」より遠いって何処だろう?とPVを覗いたら「そら」と読むと知り、表現力良いなぁと。作画のタッチも流行りのパッキリ系で無く絵画タッチ(好みが別れますが)で物語性にも好感を持った。又、メディアで日本人宇宙飛行士レジェンド、毛利 衛さんが「宇宙には数分でたどり着くのに、昭和基地には何日もかかる。遠いですね」とコメントしており、面白いかも!と。本音は…。
メインキャラのCVが大好きな水瀬いのりさん、早見沙織さん、井口裕香さん、花澤香菜さん…だから…。果たして作品やいかに?!わくわくっ!

これはけっしてギャグ・コメディアニメではありません!ストーリー展開がジェットコースター的なノリなのも否定しません。でも!良いです!OP、ED、各話導入・終話部分も凝っていて飽きさせません。友達・友情・仲間、各キャラの背景や心情を描く場面もスっと入り込めて好感が持てます。

物語は民間団体による観測隊への同行なので、本隊の組織力・資金面・人材不足など現実的な問題も描写されます。そして、あえて民間観測隊として強行する意味も柱となっています。その真の目的とは…。大人にも諦めない志があるのです…。これは時代が築かれる物語でもあります。貴方の心に旅立ちの鐘が鳴り響きます!

【本編内容・見所など】
玉木 マリ(キマリ)は行動する事にとても臆病。失敗するのが怖く、それを気にする自分も嫌い…。でも好奇心は旺盛でやりたい事は沢山。前髪はパッツン。そんな普通のJK2。学校の帰り道、電車に向かうキマリは他のJK(同じ学校)と接触した拍子に封筒を拾う。中身は何と現金100万円!幼なじみのクラスメートに「何故直ぐに警察に届けなかった?!」と揶揄され、何とか髪の香りを手掛かりに本人を探し当て、トイレに入るシーンでキマリが持っているのが「倫理」の教科書なのにクスッと。そして、本作主役?だと思う… 小淵沢報瀬(こぶちざわしらせ)との出会いとなる。
報瀬の母(貴子)は元南極観測隊員で書物も執筆している(作中で本作のタイトルが貴子の著作だと表現される)が、報瀬が中3の時、南極観測中に遭難し未帰還となった。彼女は母の遺品を探す事を目的に南極に行く決心をしているとキマリに告げる。報瀬は容姿端麗、頭脳明晰で南極に行く事をバカにされても動じない芯の強さがある。決めゼリフは「ざまぁみろ!」。少しお間抜けで、めっちゃ恥ずかしがり屋で天然系な面も。そんな彼女が、優柔不断的出来心から「応援するよ」と口にしたキマリに「南極行きを本気で応援してくれるなら…」と砕氷艦しらせの一般公開、広島(多分 呉市)に同行することを条件に出す…。1話終盤のこのシーン。心情に合わせた楽曲も良く、心臓がドクンっとなった…。そして本気で夢に爆進する物語は始まる!はぅわっ!

{netabare}
次なるは三宅日向(みやけひなた)。集団に馴染めず、高校行かずにコンビニでバイトっす。でも勉強は嫌いじゃなくて「高校行かなくたって大学入れるぜ!ざまぁみろ!」が目標のポジティブっ娘。高2時点で既に高卒認定取得済の出来る娘で、以後チームのリーダー的存在感を。随所で名言?を発する。キマリ、報瀬を見つけた視点も面白い。電車の行先表示が久喜の描写があるので、舞台は埼玉かぁ…と見てたら…地元は群馬ってか!繋がらねぇ…。作戦決行!?良い娘のJK2は歌舞伎町ダメだよぉ!
でも、ここから作画の威力ずげぇ~っ!てなる。
そして、4人目の仲間は白石結月(しらいしゆづき)。キマリ達より歳下のJK1。芸能界(新 どさん娘プロモーション所属。どさん娘かよっ!w)で生きていることから、物事の機微を察する大人びた面がある。実は毒舌系。母、民子がマネージャー。観測隊の親睦会(新宿 歌舞伎町)に民子と共に仕事で出席しており、報瀬の事を聞いていた。北海道出身で寒いのは飽きたから…と、観測隊に同行する事を拒んで居るが…。
一方、南極行くぜ隊!(勝手に付けました)の報瀬は、相変わらず手段を問わず観測隊に入る方法を画策中、ネットで高校生、南極のキーワード検索に結月がヒットした事から、結月に頼んで同行させて貰う作戦決行。結月に「私は行きたくない。代わりに行っていい」と言われ目を輝かせるが、マネージャー兼母に「喋れないならNG」私喋れます!発言の日向には「ルックスがNG」とダメ出しされ敢え無く撃沈…。でも、日向は思う…。「南極行きたくないのは他に理由があるんじゃないか?…」と…。
結月は「あなた達にはきっと解らない」と前置きし、幼少期から、ずっと芸能界で生きてきた…。だから…。これまで1人の友達が居ない事を明かすシリアスなシーン…。しかし…それにキマリが反応!
そのリアクションに心を動かされた結月は、彼女達と一緒ならと南極に行く事を決意。南極行くぜ隊の夢は前進する。ここで、彼女達の主な役割が、観測隊の模様をレポート・中継する事となる。
報瀬は即断し学校にも報告するも、キマリは生来の性格的に、親には了解されておらず…母に「マリちゃん…入浴剤買ってきたから、お風呂場に置いといて…」と言われ、ブツを手にしたキマリは…「南極の湯!」ってか!w。包丁で人参チョキチョキ…鍋は地獄鍋の様相…母…怖ぇ…。父、娘助けろよ!!頑張れキマリ!!(注︰大爆笑シーンですが、ギャグ・コメディアニメではありません)…赤点阻止って…キマリってお馬鹿だったのか…。可哀想な娘だぁ…。
しかし何とか南極観測隊の訓練合宿を受けられ事に「ほっ…」とするのもつかの間!観測隊 隊長 藤堂 吟(とうどうぎん)…怖ぇ…まぁ良く考えれば、命の危険を伴うんだから、半端な覚悟で挑めるはずはなく厳しくて当然。ここからが夢と現実の厳しさ、ギャップを埋めるマジ描写が始まる。JKの夢で「南極行こう!」ってノリは通用するはずも無く…。報瀬ですら本土の陸地の訓練で、殆ど知識がない事が明らかになる。命を掛けた試練を体現し挑んでゆく展開が幕を開ける。でも…同時に夢を諦めない強く美しい物語の始まりだ。

乗り物酔いする方は、ちっと辛いシーンもあるよぉ…映像で酔えるかも…にひひひっ!
人間だって…JKだって夢を叶えるには生命力的パワーが必要なのです!自分達が選んだ夢への道!ゲロゲーロw。

そして…見えたっ!そこにあるのは「宇宙を思わせる圧倒的な地球の世界」!感動です!
しかぁしっ…大自然に挑む更なる過酷!乙女達は乗り越えられるのか?!
ここで一息。艦上長縄跳び大会の優勝賞品が「肉」…ビリは「魚肉」萌えますw。そんなストーリーの強弱感も見所。観測隊員キャラも個性豊かに描かれます。

南極圏に入り、隊長 吟と報瀬の関係…吟の想いが語られ、報瀬が「母は帰って来ない…私の毎日は変わらないのに…帰ってくるのを待っているような毎日…それを変えるためには…」と明かす…グッと来ます…。
砕氷船の能力、パワーの描写も素晴らしい。日本は大戦で敗戦した国で、世界に認めて貰う経済力・技術力など国としての在り方を背景描写と共に、何かを成すために挑み続ける…繰り返し…繰り返し…何度でも。脚本の力量が現れており胸が熱くなる…。

そして、乙女達は人生初となる南極の地に1歩を踏み出し叫ぶ!諦めず歩んで来たぞ!「ざまぁみろ!ざまぁみろ!ざまぁみろ!」それを見る隊員たちも合わせて「ざまぁみろ!」キラ☆彡.。ホロ…。
南極って12月が夏なんかぁ…。ネコ(一輪車の通称)に足ついてると楽だよなぁ…友達って「友達になろう!」って告げるのかぁ?…とか…昭和基地での生活描写も色々楽しい。パーシャル丼って…w
キマリは南極に行くと決めた事を幼なじみのクラスメートに告げた時、彼女から「絶交だ!」と告げられた事から、結月の友達の意味への拘に応じるシーンも何気に良いなぁ…。誕生日のお祝いを初めてされる結月…おめでとう♡♡良かったね!友達ってさ…「ねっ!」って同意出来たらそれで結ばれちゃうんだよ…。うん!そうだね!

終盤。日向が何故高校を辞めた理由が明かされるのだが…って!報瀬!麻雀強っ!役満かい!!w。こう言う流れの変え方が良いわぁ…。
日向は高校で陸上部に所属しており、3年生の先輩を退け、大会への出場メンバーに選ばれた。それは同級生がプッシュしたから…。だが…。同級生に裏切られ…ディスられた…人生あるある話ではある…。でも日向にとても感情移入できる場面だ。当時ディスった友人達が、日向が南極に行って有名になったので、中継先に割り込んでくるとか!そりゃね~だろっ!って…。それを知った皆も心配するが…日向が「何のしがらみも無い人と、私達が知っているものは何も無い場所に…」の言葉に良い娘だなぁ…。でも…報瀬だけは…。

観測隊が定点を作って、それを衛星からも観測するのかぁ…とか南極の事、知らないを知るのって楽しい!キャラの心情と同じになれる。

報瀬はずっと考えていた…。
日向と、その友達がしたことへの怒りを日向に明かす…それに対する日向のリアクション…このシーンでホロっと…。更に、レポート中継を使って報瀬が画面の向こうの日向の元友人達に吠える!「~私の友達を傷つけた代償を抱えて生きろよ!今更何よ!ざけんなよっ!」爆泣き…。の後に笑いを持ってくるって…本当にずるいわぁ…。
そして…いよいよラスト2話…。報瀬の母への想いは…展開や如何に?!知らぬ間に両手を握りしめる自分に驚きつつ…。

隊長 吟は「~人は思い込みでしか行動できない。思い込みだけが現実の理不尽を突破し、不可能を可能にし自分を前に進める~」と報瀬に語る。本作に込められたメッセージであり、挑戦することの意味・原動力を強く表現した場面。ズンっと心にの響く…。そして、報瀬が母の想いを知るため…母の死を受け入れられない自分を現実に引き戻すために…どれだけ努力し、JKがそこまで…と思える莫大なエネルギーをつぎ込んで来た意味とは…。日本から14000km…。彼方に思えたその場所に…母が至ったその場所に向かうのである。



{/netabare}

最終話。南極は夏の平均気温氷点下1℃。冬は平均、氷点下20℃。それを画面から味わえます。マジ冷凍庫生活なんです!ブリザード(猛吹雪)は半端ないっす!方向間違えたらマジ〇にます(冬山登ってたので解ります。北海道、東北の寒冷地をご存知の方は普通かも…ですが)。迫力満点の描写です。

Dear お母さん…「友達が出来ました。ずっと1人でいいって思ってた私に…」。此処まで一緒に来た友達…仲間と…。
見つけるのです。報瀬の母 貴子の想い…報瀬が、ずっと知りたかった母への想い…。1100件を超える「未読」のメールを…お母さん…。爆泣き…。隣に座っていた娘…「ママ~!パパ、アニメ観てまた泣いてるよぉ」…。ってね。感動すれば泣くんだよ…。

【後書き】
観終わった満足感から1クールで締めたのは正解だと思います。本作全般を通して各話、様々な描写から、知らぬ間にキャラに同調し物語の中に入り込んでいる自分に気がつく…。こんな作品そうそう無いです。メジャーな作品では無い?ですが、たくさんの知りたい!を教えてくれる、心に残る名作です。出会えた事に感謝…。

投稿 : 2022/08/28
閲覧 : 218

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