「後宮の烏(TVアニメ動画)」

総合得点
68.8
感想・評価
146
棚に入れた
412
ランキング
1931
★★★★☆ 3.5 (146)
物語
3.5
作画
3.5
声優
3.5
音楽
3.5
キャラ
3.5

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ネタバレ

いこ〜る さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

主人公ヒロインが魅力的な静謐な伝奇ロマン

初めは『いわゆる女性向け中華ファンタジー』とややタカを括っていたがとんでもない!!
美しくて哀しくて温かいとても良い物語だった。

と書き出しておいてまた女性向けと言い出すのもなんだが、22秋クールは女性向けの歴史ファンタジーが2作品あった。『虫かぶり姫』とこの『後宮の烏』だ。

この2作品、欧州と中華、ロココとオリエンタル、白亜の王城と黒い後宮、と好対照を成していたが、何より際立った相違点はラブロマンスと伝奇ロマンであったところだろう。お陰でこちらは完走できた、と言うか女性向けかどうかよりもラブロマンス一辺倒だとやはり私にはキツかったと言うべきか(虫かぶりの方はギブアップ)。

物語の序盤は心霊探偵テイスト。
『夏目友人帳』的に怪異と人との縁をしっとりと描く感じで、現世に心残りがあり楽土へ渡れない幽鬼を解放していく物語だ。小道具に人の心を託す描写も巧みで、視聴後感はそこはかとなく温かい。

主人公にしてヒロイン、烏妃(うひ)が非常にチャーミングで魅力的なのもいい。作品の魅力の半分は烏妃の魅力と言っていいと思う。
古今毒舌系のヒロインに事欠かないが、烏妃は口が悪いだけではなく女言葉を使わず古風な言い回しをするので、どこか凛としていて品がいい。

この烏妃が皇帝の訪問をきっかけに面倒がりながらも幽鬼がらみの怪異を解決していくのが先ほど書いた序盤のストーリー。伝奇ロマンの体をとりつつお話が現代的なのはこういったキャラ付け、その魅力によるところが大きいだろう。
烏妃は物怖じせずに皇帝を追い返しさえするし、皇帝は(若いなりたての皇帝という設定)真面目で物静かで人の心根にやや疎い・・・ほら、今っぽいでしょ?

で、それだけだと「ツンデレ巫女と朴念仁」的なただのお祓いラブコメになってしまうから、物語は早めに烏妃と皇帝それぞれの数奇な生まれや悔やみきれない過去、罪の意識などを描き出す。

{netabare}それぞれ葛藤を抱えた二人が出逢い、運命的に惹かれ合いながら、それがあくまで魂の交流であったのは本作の大きな特徴だろう。男女の愛よりも人と人との親愛に比重が置かれたわけだ。
絵的には黒衣の美少女、ハンサムな皇帝、それらのお付きとして美形の宦官たち…という中華ロマンの典型的なキャラ配置をしながら、性愛的なものを脇に追いやった物語で、そこが実に興味深い。いやそこもまた現代的と言えるのかもしれない。{/netabare}

アニメが面白かったので原作小説も読んでみた。
これも面白くて先ほど全巻読破!テンポの良いアニメだと思っていたがそれは原作譲りだったのだろう。やや書き込み不足の部分もあるが、サクサク・グイグイと物語は進み、あっという間に読了してしまった。

アニメを先に見て原作が後のパターンの利点は、セリフが声優の声で脳内再生されるのもあるだろう。本作が見事にそうで、烏妃のセリフがアニメのCV水野朔で再生される。これが私的にはなかなか耳福だった。
その水野朔だが初主演らしい初々しさとなま固さがちょうどいい塩梅だったし、少し濁音が混ざる甘めの声質はとても好み。今期は他に『ぼっち・ざ・ろっく』の山田リョウもやっていて、これからもっと出てくるかと思うと楽しみだ。

さて、物語は中盤以降「烏妃とは何か?」を巡る謎に迫っていく。
ただ公式ページの言う
”二人の巡り合わせは、歴史をも覆す「秘密」を暴くことになる……。”
の、”歴史を覆す”的な部分はアニメの範囲では語られなかった。
全7巻の原作小説のうちアニメ化されたのは2巻目まで。まだ序盤だからしかたない。

なので、続編を作ろうと思えばあと2クール分は十分ネタがある!
ぜひ2期・3期と作って欲しい!

そうしないと(アニメの範囲だけだと)衣斯哈(いしは)はただのショタ要員にしか見えなくて不憫だ。

==========

以下1話視聴時の感想です
{netabare}
これもどちらかと言えば女性向けなのだろうが、主人公にしてヒロインの烏妃(うひ)がなかなか魅力的なのと、お話がミステリ仕立てで一手間かけてあるのが結構良くて、男の私でも全く問題なく楽しめている。

作画もアクションはイマイチだが烏妃の妖術?のイメージは美しいし止め絵に美意識があるのも良い。

主人公が鳥系のファンタジーと言うと私は〈イルスの竪琴〉シリーズを思い出すが、本作はそれを思い起こさせるに足るハイファンタジーなのかも知れない。
{/netabare}

投稿 : 2023/01/02
閲覧 : 211
サンキュー:

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