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「後宮の烏(TVアニメ動画)」

総合得点
68.8
感想・評価
146
棚に入れた
412
ランキング
1931
★★★★☆ 3.5 (146)
物語
3.5
作画
3.5
声優
3.5
音楽
3.5
キャラ
3.5

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後宮の烏の感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

やまげん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

器用な作品

原作は読んでいない

サイドストーリー的な話を重ねながら、烏妃の秘密が徐々に明らかになっていき、さらに皇帝と烏妃の関係の進展や、孤独だった烏妃の心情や周囲との関係の変化も描くという、欲張りながらもそれをうまくまとめている器用な作品

いろんなことを描いた分、広く浅く、な感じにはなっているが、物語としての質は高いと思う

{netabare}ただ、少し気になる点もある。12話で封宵月(ほうしょうげつ)が鵲妃(じゃくひ)の兄(のようなもの)を蘇らせていたが、なぜ封宵月はそんなことをしたのだろうか。烏妃を殺すという封宵月の目的からしたら、なんら必要性がない行為のように思える。物語に山を作るためだけに、封宵月につじつまの合わない行動をとらせてしまったのではないか{/netabare}

原作小説は7巻で完結しているようだが、アニメ化されたのは原作の2巻程度までっぽい。このペースだと、完結までアニメ化するのにあと2クール以上必要という計算になる。しかし、そんなに制作し続けるとは思えないので、続編は望めないか

投稿 : 2023/11/01
閲覧 : 39
サンキュー:

3

にゃんちゃこ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

よくわからない

結果の見えないアニメでした。

投稿 : 2023/10/27
閲覧 : 73
サンキュー:

1

なっぱ‪‪𖧷‪‪𓈒𓂂 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

人の生き方、死に様、死後の世界

原作未読。予備知識なしの初鑑賞。全13話。

絵がとても好み(女の子が美しい)のと、
U-NEXTで高評価だったので期待して観てみましたが
そこまでではなかったかな〜。

1話目観た時は「おぉ!?」となって
まだ普通に面白かったんだけど徐々にヒートダウン。

話を重ねる毎に入り込めたら楽しめたんだろうけど
1人の主人公に対してだけで呼び方がいくつかあって、
頭の中が整理しきれない私は
てんやわんやして内容どころではなくなりました。
(私の把握した限りで少なくとも3種類はあった)


キャラデザは大好きです!
特に女の子達がとても可愛らしくて
ホーム画面やアイコンにしたくなるレベル♡

音楽も好きな方で、
OPなんかは脳にこびりついてます。

内容も幽霊がテーマの部分は
あまりパッとしない感じはあったものの、
恋愛に寄りすぎてないのは好印象で観やすかったです。


原作を知らないからただの予想なのですが、
一つ一つの小さなことは解決していったけど
物語の芯の部分は何も進展しないまま終わった事が
微妙な感想の原因になってしまったのかな?

とはいえ先が気になるという程でもなかったので
この作品とはこれっきりになりそうです。

投稿 : 2023/10/02
閲覧 : 159
サンキュー:

19

ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

宮脇千鶴のセンスに脱帽/2023/6/4原作読了分追記

【レビューNo.7】(初回登録:2023/1/1)
ラノベ原作の2022年作品。全13話。

wikiにあった「中華風の世界観を舞台にしたファンタジー小説」って何や
ねんって思いましたが、なるほど理解できました。
後宮のドロドロした人間模様や人物名などとっつきにくい部分はあります
が、最後まで楽しむことができたかな。

(ストーリー)
主人公寿雪は「烏妃」と呼ばれる特別な妃。
{netabare}
・特別な力をもち、その力で成仏できずこの世をさまよっている死者の魂
 を呼び出し、生ける者を救ったり、また死者の未練を紐解いて成仏させ
 たりするというファンタジー要素
・その特別さゆえに孤独で人を寄せ付けなかった烏妃が、人との関わり
 を通じて心を開いていくヒューマンドラマ
・しかしこの出会いが歴史を覆す禁忌となり、厄災に巻き込まれていく
 ダークファンタジー要素
が話の格子になるでしょうか。
{/netabare}

(評 価)
よもすれば地味で退屈になりそうな難しさもあったと思いますが、そこは
宮脇千鶴監督が原作の世界観を壊すことなく、繊細かつ神秘的な演出で
上手く魅せてるなって印象です。
時には影絵回想とか面白い手法も使ってますし。
この方のセンスの良さに脱帽です。
話も1クールで(先の余韻を残しつつ)上手くまとめた感じですし。
あと個人的には、アニメ初主演となる水野朔さんの好演が光りました。
ただOPはね・・・

あまりこの手の作品も量産されると退屈になりそうですが、年に1,2本
はこういう作品も見たいと思われる良作だった思います。

(2023/6/4追記)
原作読了。アニメ化以降の話も、基本的には面白いです。
{netabare}特に1期あまり出番がなかった宦官の「淡海」は、この作品では珍しく3枚目
キャラなので、彼の出番が増え、夜明宮のシーンはかなり面白くなります。
ただ原作者と私の相性の問題もあるのだと思いますが、メインの「烏漣娘娘」
を巡る、「寿雪を救う物語」は少々期待外れだったかなっという印象です。
しかし、「これを宮脇千鶴の演出で観たら印象が変わるかも」という期待感
はありますね。{/netabare}
原作は全7巻で完結で、終わりはこの作品らしくいい形だったかなっと。

アニメ2期については
・1期は2巻まで、残り5巻を2期(1クール)でやるには厳しい感じ。
・さりとて3期または2クールかけてまでやろうという機運はあるのか。
 (恐らく制作側とすれば2期(1クール)完結編という形がベスト)
・「寿雪を救う物語」に絞れば可能だと思われるが、ダイジェスト版っぽく
 なり作品の雰囲気が壊れないか。
意外なところが盲点となりそうな感じがしました。
そもそも2期制作という話自体あるのか知らんけど・・・
個人的には、2期があれば「宮脇千鶴がどう魅せるのか」に期待ですね。

投稿 : 2023/06/04
閲覧 : 371
サンキュー:

21

ネタバレ

og3jar さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

今期一番良かったかも・・・

ストーリーはよくわからんかったけど、高峻が寿雪に特別扱いと言うか、やさしいよねぇ。皇帝なのに、剣で寿雪を守ったり。友達にろなうと言ったり。寿雪は最初『もうここには来るな』って言ってけど、一緒にお茶を飲む仲になったり。
2人を観てて楽しかったです。

HDDとBlu-rayに保存します。

追記
九九(じうじう)のキャラが気に入りました。毎回声が聴くのが楽しいです。
寿雪は最初は侍女の名簿を見るために、便宜上九九(じうじう)の名前を使ったと言ってましたが、段々大切に扱いだします。それがとっても素敵でした。

投稿 : 2023/04/04
閲覧 : 215
サンキュー:

13

ネタバレ

徳寿丸 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 2.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

にゃんにゃん

原作未読(2023.3)
系統的に巷で大人気の「薬屋のひとりごと」のファンタジー系とでもいいましょうか。薬屋も確かアニメ化されるんでしたよね。その前の露払いでしょうか(そんなわけはないと思う)。宮廷内で起こる事件を解決していき存在感を増していくという点は似ていると思います。その方法が知識ではなく、不思議な力という正に力技です(まぁコナン君のありえない七つ道具よファンタジー設定であるが故に説得力はあると思います 笑)。まぁそれだけだとしょうもないので、特殊な立場の主人公が色んな事件に絡みながら自分とは何なのかを探し成長(変化)するという側面も描いています。
各キャラの呼び方がいまいち把握しきれませんでした(主人公だけでも3種類位あります)。作品の世界観を壊さない為に仕方ないとは思いますが、ちょっと物語に入りきれませんでしたね。
あと、若干演出なんかも唐突な感じを受けました。作画も動きが少ない分、主人公以外の妃などは宮廷らしくもう少しきらびやかさや優雅さ等あれば対比と世界観がより構築されたのでは思います。監督宮脇さんのセンスのよさも見れるものの全体的にはこれってものが足りませんでした。

私のツボ:OPはもうちょっとどうにか・・・

投稿 : 2023/03/18
閲覧 : 201
サンキュー:

5

llil さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

やったー

毎期ある物語アニメですね
創作物相まって
物によってはとか
人によっては
好みが影響する所ではありますが
アニメが数の世界になってる今で
ポピュラーアニメだのが跋扈してしまう中
こういう作品で箸休めできるのはいいね
なんだかんだ言って
最近やってた歴史ものとか見やすかったしうん
あ、これも見やすいです
後、キャスティングの良さがあったかも

投稿 : 2023/03/08
閲覧 : 136
サンキュー:

4

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

救いを求める魂の昇華

原作未読 全13話

昔の中華風の世界、後宮の奥深く皇帝の妃でありながら夜伽をすることのない「烏妃」(うひ)と呼ばれる妃がいます。不思議な術を使い未練を残し亡くなった方を成仏させることができます。ある時代の若き皇帝 夏高峻(かこうしゅん)と「烏妃」である柳寿雪(りゅうじゅせつ)と2人にお仕えする臣下達のお話です。

中国の作品かと思いましたが、全然違うようです。

ただ浄化するのではなく、未練を残した魂を浄化する前に、その未練を突き止めて浄化する、1エピソードが1〜2話で構成されています。

また、上記2人や臣下にもそれぞれ辛い過去があり、まだまだ色々な秘密がありそうです。

恋愛話というより、友人である2人が協力して解決するような感じですね。

OPは女王蜂さん、EDはkrageさんが歌っています。

最後に、烏?ですが、昔あった特撮の怪人ような感じでしたねw

投稿 : 2023/03/06
閲覧 : 218
サンキュー:

22

白毛和牛 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.5 状態:途中で断念した

タイトルなし

まあ映像自体は非常に綺麗だと思いますが、ただ中華風な後宮ストーリーという事で
個人的にはあまり興味を惹かれる物はなく途中で断念しました

【評価】

45点・C級

投稿 : 2023/03/01
閲覧 : 79
サンキュー:

3

ネタバレ

がぁべら♪ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:----

特別な妃が誘う、 圧倒的中華幻想譚

<ストーリー>
烏妃は、妃でありながら夜伽をしない特別な妃。呪殺、祈祷、失せ物さがし、頼まれれば何でも請け負うが、会えば災いがあるともいわれている。夏王朝の皇帝・夏高峻はある日、烏妃の住まう夜明宮へと足を踏み入れるところから物語は始まる。

<キャラ>
ほぼほぼ、烏妃の印象しか残らなかったです。
でも、烏妃がかわいくて、術を使う時の妖艶な感じが良かったです。

<作画>
烏妃が術を使う場面がとても美しく、神秘的でした。
あとは、幽鬼の死の真相究明する場面が紙芝居とか人形劇っぽくなるのが面白かったです。

<音楽>
オープニングテーマ
女王蜂「MYSTERIOUS」

エンディングテーマ
krage「夏の雪」

<感想>
後宮を舞台に繰り広げられるお話ではあったのですが、あまり華やかさなく、烏妃に隠された謎も中途半端な感じで終わってしまい、少し残念でした。
全体的な話の盛り上がりが少し足りない感じがしますが、お話自体は重すぎず、無難に終わったように思います。

投稿 : 2023/02/24
閲覧 : 82
サンキュー:

5

ウェスタンガール さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

マジカル烏妃は…

とってもリリカルなのです。
そして何よりミステリアス。
“待ってました”の“魔術バンク”がクセになります。
決意と憂いを帯びた目力にゾクゾクしてしまうのです。
“籠の鳥”となった彼女が、いかに抗ってゆくのか?
はたまたその宿命に身を委ねてゆくことになるのか?

残虐行為展覧会とも言える中国史、そのエッセンスを上手く昇華、ロマンスの香りとコメディも交え、とても良質なファンタジーに仕上がっており、“マジカルプリンセス黒頭巾ニャンニャン”の運命やいかに…、といったところでしょうか^ ^。

投稿 : 2023/02/12
閲覧 : 221
サンキュー:

17

ネタバレ

ノエル さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

幻想的なミステリー

彷徨う魂を、特別な力を持つ主人公が、その原因を探して成仏させる、という探偵的な内容ですが、舞台が中国の後宮で、主人公の烏妃はとても可愛くて、良い話でした。ミステリー要素もあって、とても観やすかったです。
続きも楽しみです。

投稿 : 2023/02/04
閲覧 : 102
サンキュー:

5

大貧民 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

中華風後宮ファンタジー

後宮を舞台にした、中華風ファンタジー。(あくまで架空の世界)
主人公の女の子がけっこう可愛いから、男でも楽しめる。
ただ、後宮モノはどうにも陰鬱としたところがあって、そちらに振られすぎると視聴切るかも知れない。
今のところ継続予定。

幽鬼(幽霊)を鎮魂する類の話なので、各話、もの悲しく切ない。
霊を送る際の映像がわりと綺麗でいい感じ。

OPが独特の妖しさがあり、雰囲気に慣れるとクセになってハマる。
EDもとても良い。

見終わった。
全体的にとにかく雰囲気が良かった。ミステリー(推理)よりもオカルトファンタジードラマ、幻想ロマンといった感じかと。
最終的に評価はかなり上がった。
寿雪娘々がときに年相応に可愛らしくて、いい。
映像も幻想的で、演出も効いていて良かった。
最終話のED、OPの使い方も良かった。

投稿 : 2023/02/01
閲覧 : 211
サンキュー:

4

あや さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

恋愛に寄りすぎなくて良い

べったり後宮恋愛物かと思ったけど、
それだけでなくミステリーな部分もあって面白かったです

投稿 : 2023/01/31
閲覧 : 107
サンキュー:

4

うにゃ@ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 2.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

烏漣娘娘

中華ファンタジーの大奥、後宮の話だが、展開は柳寿雪が特別な術を受け継ぐ烏妃として事件を解き明かす話。
後宮の話ではあるが恋愛のドロドロ感はあまり感じないように作られているので、漢字のよくわからない単語を無視すれば話は分かりやすく作画が耽美。影絵回想も中華幻想という感じで良い。
最終的には烏妃を助けるという大きな話があるのだろうが今期は入り口という感じで終る。

後宮で宦官・宦官と連呼されると去勢された男子が想像してしまい…
地図は十二国記を思い出した。

珍しくOPが気に入らなかった。

100点中70点

投稿 : 2023/01/30
閲覧 : 96
サンキュー:

5

ネタバレ

菊門ミルク大臣 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

中華後宮幻想探偵娘娘

タイトルで大体言いたい事は言い終わりました。
文庫公式サイト?を見て、地図の説明もうちょいしてくれてもなぁと。
後頭部の花は実体ではないのかなぁ…よくわかりませんでした。

投稿 : 2023/01/26
閲覧 : 87
サンキュー:

2

ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

死と別れを経て魂は一際美しく輝く

“後宮の奥深く、妃でありながら夜伽をすることのない、「烏妃」と呼ばれる特別な妃が住んでいる。
彼女は不思議な術を使い、呪殺から失せ物探しまで、頼めばなんでも引き受けてくれるという……”

当代・烏妃の寿雪が皇帝・高峻ら宮廷関係者から王宮にまつわる様々な依頼を受けつつ、
自身が背負った宿命とも向き合っていく中華幻想譚を描いた同名原作小説(未読)の連続アニメ化作品(1クール)


【物語 4.5点】
基本は一話~数話完結で事件を解決していく構成。

人の不幸に関する話で言うのも不謹慎ですが、
事件と「幽鬼」となって彷徨う魂の核心に踏み込むと共に、なくした物や人への想いが高まる各エピソードの山場の心情表現は率直に美しいです。
そりゃ怪鳥?烏漣娘娘(うれんにゃんにゃん)も人の魂の煌めきに惹き付けるわけです。
“珠玉のエピソード”という代名詞がこれほど似つかわしい話集も中々ないと思います。

私は10話の{netabare} 琵琶{/netabare} のエピソードが心に残っています。

事件を処理しつつ、寿雪の背負ったさだめと、
尚も関わろうとする皇帝・高峻の関係も掘り下げられ、作品を牽引します。


この種の世界観が凝った小説原作アニメのご多分に漏れず、
中華ファンタジー専門用語が飛び交い漢字変換に手こずりますw
その上で、中国史を中心とした知識や、普段使わない文学レベルの高い熟語などの教養が求められるのが骨の折れる所。

宦官くらいならまだしも、
被帛(ひはく)……唐代の女官なんかが首から下げていた天女じみた長い布。首を締めるのにも適する。
同姓不婚……近親結婚だけでなく、姓が同じ男女の結婚まで忌避する古代中国以来の制度。陳さん、楊さん婚活詰むw
辺りが注釈なしでサラリと語られる厳しさ。

結果、視聴中、調べ物が多発。
2022年に私が最も巻き戻しと一時停止を多用した映像コンテンツとなりました(苦笑)
これに比べたら最近のNHK大河ドラマは優しいな~w

アニメーションで観る意味はもちろんありますが、本質的に活字向けな作品なのかもしれません。


【作画 3.5点】
アニメーション制作・BN Pictures

同スタジオは作画カロリー等は平凡ですが、作品を伝えるためにやりたいことは伝わって来て好感できます。

建物、衣装。碁盤や香炉、茶器などの小物デザインと、中華風幻想譚のムードを支える骨格は抑える。
烏妃が術を繰り出す際に、花に息を吹きかける幻想的なバンク。
影絵風の作画で、事件のあらましを回想する演出。
独特な作風が世界観再現にも貢献。

一度このスタジオに大規模な作画兵力を与えたらどうなるか見てみたいです。

【キャラ 4.0点】
主人公の当代「烏妃」柳寿雪。
キャラ外形はツンデレ。イケメンが、お菓子餌付けしとけば懐きそうなチョロインw
当初、示唆された王朝交代に絡む、{netabare} 銀髪の欒一族{/netabare} というタブーなど、
政治手腕も彫刻スキルも高いイケメン皇帝・高峻にかかれば難なく突破できると思われました。

ですが烏妃に代々受け継がれて来たのは、古の世界成立から続く根深い宿命。
1クールで塗り替えるには重たすぎて持ち越しになったのも致し方なし。

ただ皇帝・夏高峻も即位して新たな王朝を確立するまでに、
自らの手を血で汚し相当傷付いているはず。
寿雪も照れ隠しにつれない態度続けてないで、素直にデレて差し上げないとw


烏妃の夜明宮に侍女として仕える九九(じうじう)
お世話させて下さいよ~と従う彼女と、
一人でいたい寿雪のぎこちない距離感もまた良き味わい。
寿雪も飼い猫も気まぐれなのですw


各エピソードの事件関係者にも苦難の過去を設定。
半生記が物語にコクを出しています。


【声優 4.0点】
主人公・寿雪役の水野 朔さん。
起伏を抑えたボイスの中に感情を滲ませ、
烏妃の威厳と、奥ゆかしいツンデレを両立させる妙演。

皇帝・高峻役の水中 雅章さん。
こちらも平坦さで感情を覆い隠したイケボですが、
寿雪のツンをいなす余裕もスパイス。

皇帝以下、側近の宦官役にも八代 拓さん、島﨑 信長さん、岡本 信彦さんとイケボが揃う。
宮仕えのためとはいえ、こんなイケメン宦官たちの子孫を残さないなんてもったいないと男の私でも思いますw


金色に輝き喧しく鳴く鶏?星星(しんしん)役は杉山 里穂さん。
動物役もイケる口なんだな~と微笑みつつ、キーキャラクターに違いないとマークしていましたが、
終盤{netabare} 羽毛が弓矢になる{/netabare} とは思いも寄りませんでした。 


【音楽 4.0点】
劇伴担当は橘 麻美氏。中華風のアレンジもあるが、
ヤマ場では、ストリングスやピアノなどの心情曲で感情を揺さぶってくる王道構成。

OPは女王蜂「MYSTERIOUS」
最初はボーカルの強烈な個性に面食らいましたが、
エピソードを経るに連れ、この世界と魂の在り方の核心を捉えた歌詞世界にハマりました。

EDはkrage「夏の雪」
父は日本人。母は中国人。日英中トリリンガルの女性歌手と中華風ファンタジーという適材適所。
移り変わる季節と戻らないあなたを連想し痛切さを醸し出しつつ、雪で寿雪とも絡めていく趣深いバラード。
中国語バージョンもあり。

投稿 : 2023/01/24
閲覧 : 461
サンキュー:

26

ネタバレ

くまごろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

宮廷ミステリー

視聴完了
全13話

ジャンル
後宮ミステリー

あらすじ
後宮で起こる幽霊がらみの事件を、主人公が足を使った調査と得意な能力で解決する物語。後宮内の人物が主題となる小さな物語と、主人公と王様をめぐる大きな物語が同時並行で存在する。
最後主人公の立場の妃に代々受け継がれてきた女神?の兄と名乗る人物が現れ終了。

感想
総評90点
映像がとても綺麗で、各話ごとの小さな物語も感動できるものも多くとても良い感じ。
ただ最後の展開は2期の示唆だったのか早足すぎてよくわからなかった。
せっかく最終話の前鵜妃と、役人の話が良かったのだから、あそこで終わって兄はcパートで出てくれば良かったのに。
よかった点
映像
ストーリー
キャラ
悪かった点
最後

投稿 : 2023/01/22
閲覧 : 116
サンキュー:

6

リタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

うつくしいー

昔の中国のこういった神秘的なお話がとても素敵。
絵も美麗だし、幻想的でアニメーションで表現するととても素晴らしい。
身分の差は実際良し悪し分あるけど、無いからこそ羨望のような感情がある。
あと主人公が目が離せないほど麗しい。ドキドキする。

だいたいとても悲しいお話なんだけど、それでもその時代懸命に生きている描写が胸に響き、たまらないのかな。
特殊なキャラに魅入られてしまい、今後の展開もすごく興味深い。

投稿 : 2023/01/21
閲覧 : 95
サンキュー:

5

ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

中華風のファンタジーモノ

{netabare}
中華風ファンタジー、だけど日本の作品。
珍しく一般小説原作。

幽鬼という存在によって引き起こされる事件を毎回解決していきながら、烏妃と高峻の関係性を描いた作品。
この時代らしい用語がそのまま多用されていることで分かりにくさはあるものの、上手く古代中華の雰囲気を醸し出せていたと思う。
毎回解決する事件に関しても、この時代の王宮の厳しさなどに起因するものが多く、独特な世界観をより強固にできていた。
単話に関しては、どうしようもないことが原因だったり、良かれと思ってやったことが...みたいな、切ない話が多くて印象深かった。
特に、9話の、池の回は救いようがない話で余韻が合って良かった。

本筋の話は大きな問題を抱えている烏妃をなんとかしてやろうという話。
1クールだと結局敵役らしきキャラが現れただけで中途半端に終わってしまったのは残念だけど、高峻との関係性の深まりは感じられたのは良かった。
序盤高峻に冷たく当たっていた烏妃だけど、後半になるにつれて談笑するようになったり、いなくなった高峻の心配をしたり...。
高峻は高峻で、寿雪を救う方法を模索したり、寿雪の優しさに涙したり、お互い序盤に比べて意識し合っているのが伝わってきて良かった。
続きが気になるけど、続編は厳しそうなのは残念。

全体通して結構よかったなとは思っているものの、内容が難しすぎて細かいところで頭に入ってこなかった部分もある。
たぶん一気見向けの作品。

OPは苦手だけど、この作品の雰囲気に合ってたと思う。
EDに関しても余韻に浸れるものですごく良かった。

↓1話毎メモ
{netabare}
1話 ☆7
小難しそうなアニメ。なんだよこのOPw 誰だ歌ってるやつ。
女王蜂ってこんなんなの? なんか思ってたのと違う。
まあこういう真面目な雰囲気の作品は好きなのでワンチャンある。
要するにユウキというのは霊的なもの? 母の敵討ち目的?
地味だけど今後面白くなりそうな雰囲気はある。
CM聞く限りED良さそう。

2話 ☆8
話難しすぎん? 成仏。早速証拠見つかる。
段々と証拠を見つけて関係者処刑していくのか?
もう皇太后処刑しちゃうとは。
主人公と境遇同じだな。こういう関係好き。EDめっちゃいい。

3話 ☆8
あの人もう死んでる?
単話やりつつ主人公の過去も少しずつやっていくのね。
雰囲気好きだわ。

4話 ☆8
そりゃ贈り物を他人に送るのは頭おかしい。虚構推理?
姫が突然池で死んだように、いつ誰に何が起こるかわからないという教訓か。
それで最初の2人の仲直りに繋がるのね。

5話 ☆7
父母の幽鬼?ターチャって皇帝って意味なのね。
烏妃はファンタジー的な能力を有するのね。
男娼ってワード初めて聞いたわ。高峻の気遣い優しい。
フジュツシってなんなの?
高峻の言う通りにして高峻を弱らせたままにするか、高峻を裏切って高峻を救うか? なんでOPとED入れ替えた?

6話 ☆8
読めない。うれんにゃんにゃんの意味がわからない。
いい人そうだし後者だと信じたい。烏妃=冬の王か。
決められた運命に抗うみたいな話になるのかな?

7話 ☆7
まあ埋めるよな。即成仏。主人公宅のあの二人のオチ予想通りすぎるな。
ちょっと期待はずれだわ今回テンポも早いしオチも予想通りすぎる。
恋愛もの要素が増してきたな。

8話 ☆8
隠蔽するんじゃなくて幽鬼退治して貰えよ。
宦官を前提知識とされるのちょっときつい。
まあそこが古代中国の雰囲気出ていていいんだけど。
マジで脳死じゃ見れん。
見せたのは鳥殺したことへの贖罪なのかな? 明日は憑かれている?

9話 ☆9
話難しい…。ほんとはその賊が好きだったパターン?
ケイランのしたことも完全な悪とは言えない気はする。
救ってやれよ。怖い。結局エンリンに誘われたの?
ちゃんと始末しないから…。

10話 ☆7
そういや普通の妃もいるのか。結局石田は何がしたいのか。
ホラゲーかよ。また、良かれと思ってパターンか。
まあ琵琶取り上げんくても死んでただろうし。
裏心もあったんすね。宝物じゃないのか。
それだけ死者を成仏させてやりたいということか。

11話 ☆5
これあいつが襲ってるの? カニバリズムこわ。杉田。
これ1クールだと回収無理だよね。悲しい設定だな。
まだ次の烏妃が決まってないから寿雪は安泰だろうけど。
いちゃいちゃシーン珍しい。意味深ゼリフ杉田。家に帰して何になる?
寿雪きれてる? 温螢刺されてて草。
自分を殺すために後宮に来たという予測はどこからだろう。

12話 ☆9
病んでる…。石田はどこいった? 唐突なゾンビアニメ。さみだれ要素。
逆に今までよく殺されなかったな。高峻かっこいい。
バトルアニメにw 戦闘シーンが面白い奇跡。
ウレンニャンニャンって敵では無いんか。これ話区切り良く終わらなそうだなぁ。
今回ウレンニャンニャンについて色々明かされて良かったけど。
高峻がただかっこいい回だった。

13話 ☆6
終わるの早いな。徘徊じじい。お前はいてあげられんかったんか。
寿雪の優しさに涙するシーンは良かった。
まあ中途半端になるよね終わり方。

曲評価(好み)
OP「MYSTERIOUS」☆3
ED「夏の雪」☆8.5

{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2023/01/13
閲覧 : 143
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6

ねるる さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 5.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

雰囲気抜群なミステリアス中華王宮ファンタジー

原作未読。全13話。
~あらすじ~
後宮の奥深くに住む特別な妃"鳥妃(うひ)"。不思議な術を使い、人を寄せつけない孤独な彼女の元に依頼人が訪れる。人が遺す想いを辿るうちに鳥妃の謎が明かされていく。

劣化版 中華風夏目友人帳といった印象で可も不可もなく、なんとなく楽しめたし、中盤6話以降も大きな展開があり飽きることなく最後まで見れました。
ただ、作品の軸である鳥妃についてのストーリー展開が雑に感じました。もう少し見やすく作ったらもっと面白い作品になった気がします。妙な恋愛匂わせみたいなのも要らなかったかな。作品自体のポテンシャルはとっても高そう。

作画は美しく、中華王宮の絢爛な感じと薄暗い感じが程良く出ててとても良かった。音楽は特別に素晴らしく、OPの女王蜂が歌う「MYSTERIOUS」もEDのkrageの「夏の雪」も作品にぴったりで余韻に浸れる素晴らしい曲でした。大好き。EDが素晴らしいといい作品だった気がしちゃうから作品の音楽って大事。

井上喜久子さんの作品ナレーションもとても良かった。よく聞く井上さんの色気のある柔らかい声とは全く別の一面が見れました。井上さんのナレーションからOP曲へ行く流れは100点満点。これのおかげで作品に深みが出たと思います。

キャラクターの感情的な部分の深堀が少なく、メインキャラ数そんなに多くないのに誰にも愛着湧かなかったこと、そして物語の軸である鳥妃の謎が中途半端に終わった事もあり、評価は中の中といった感じです。
昨今のアニメであまり見ない中華ファンタジー作品で割と楽しめました。2期があったら何となくまた見てしまうと思います。
目新しさ求めてる方は見てみてもいいかもしれません。

投稿 : 2023/01/12
閲覧 : 186
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19

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

「夜伽(よとぎ)をしない妃(きさき)」とは?

原作は集英社オレンジ文庫らしいですが、本作を含め私は1冊も読んだことがない馴染みのないレーベルですね。

「中華風の架空の王朝の後宮を舞台にした女性主人公の小説/ライトノベル/漫画」みたいな括りに含まれる作品だと思います。

この括りの作品では舞台となる国も本家中国風の大陸国家であることが多いと思うのですが、本作では作中で出てくる地図を見る限りそこは違っていて、舞台の霄(しょう)国は地図の中央の大きな島であるようです。

烏漣娘娘(うれんにゃんにゃん)などの神的な存在が外部の島からやってくるということはあるようなのですが、ストーリーに外交的な要素はなくて、後宮の妃たちは国内の有力者の娘であるようです。

半ば神話的に伝わる霄国の成り立ちとその皇帝、あるいは烏妃(うひ)との関係がメインストーリーとなるようですが、アニメの1クールだとほぼメインの登場人物の深堀りとプロローグ的なストーリーに終始してしまうので、そこでの不満感は残ります。

ただ、魅力的な世界観を作り上げているので1クール終始楽しく観ることができました。

続編が作られるかどうかについてはあまり期待できない気がしますが、あれば観ると思います。

余談: 人物名の読み方が中国風で覚えにくい。九九と書いて「じうじう」とか、よう読まんがな…。

投稿 : 2023/01/12
閲覧 : 323
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25

ネタバレ

mamiko さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

昔話で複雑な所もあります

中華風の昔の話なのですが、ミステリーもありにゃんにゃんの成り行きや宿命など重い話もあります。周りの人物も心優しい人達です。帝の思わせ振りの態度も見ててもうちょっと恋愛要素あっても良かったと思いました。

投稿 : 2023/01/11
閲覧 : 99
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5

ネタバレ

Takaさん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

謎解き+ミステリー?

「薬屋のひとりごと」と同じような設定。
ストーリーのテンポの上げ下げがあまりなく、
単調な気がした。

杉田さんの爺さん役は、味があってよかった!
ラスボス的なのは、安定の石田さん。

投稿 : 2023/01/10
閲覧 : 70
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4

デルタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

とりあえず寿雪がかわいいのでよし

ストーリーは一話完結型で見易いです。
ストーリーや世界観については正直このアニメだけだと最初の部分だけ触れる形になるので続きが待たれます。

ひとまずヒロインの寿雪がめちゃくちゃかわいいのでそれだけでも見る価値はある作品でした。

投稿 : 2023/01/09
閲覧 : 91
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5

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

特別な妃が誘う、圧倒的中華幻想譚――

この作品の原作は未読です。
物語の舞台は中華っぽいですが、原作は白川紺子先生による日本発の作品となっています。
そのため、しっかりした構成と綺麗な作画が特徴で、最後までしっかり楽しませて貰いました。


後宮の奥深くに住んでいる、妃でありながら夜伽をしない特別な妃・烏妃。

その姿を見た者は、老婆であると言う者もいれば、少女だったと言う者もいた。

烏妃の名は寿雪。

彼女は不思議な術を使い、呪殺から失せ物さがしまで、何でも引き受けてくれるという。

時の皇帝・高峻は、ある依頼のため寿雪の元を訪れる。

二人の巡り合わせは、歴史をも覆す「秘密」を暴くことになる……。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

烏妃は夜明宮という前王朝の時代から存在する奥御殿です。
他の奥御殿には皇帝の妃として選ばれた娘が住んでいますが、この夜明宮の妃は皇帝の意志とは関係無く選ばれます。

夜明宮の妃は烏妃で、烏妃は女神である烏漣娘娘(うれんにゃんにゃん)に仕えていた巫婆(みこ)の末裔と言われています。
烏妃は他人との接触を極力避けなければならない掟のようなモノがありました。
先代の烏妃は、自身の後継となる寿雪に烏妃としての全てを教えてきました。
そして今、寿雪が烏妃として夜明宮に住んでいます。

これらを前提として物語が動いていきます。
使用されている言葉で聞き慣れないモノがありますが、公式サイトのトップページに「KEYWORD」というバナーが貼ってあり、こちらで丁寧に解説されているので、是非参考にして欲しいと思います。

不思議な術が使える烏妃…誰からも縛りを受けない妃…
一見そのように見えるかもしれません。
ですが、烏妃は見えない足枷でがんじがらめにされていたんです。

自ら望んで烏妃になることはできません。
法則は分かりませんが、烏漣娘娘(うれんにゃんにゃん)に選ばれた人のみが烏妃になれるんです。
これが幸福なことなのか、不幸なことなのか…
こればかりは周りが察することができないんです。

だから私も敢えて考えないようにしていました。
少なくても、寿雪は周囲の人たちから好かれていたと思いますし、それは寿雪も一緒だと思います。
もしかすると他人を思いやることは烏妃の禁忌に触れることなのかもしれません。
それでも寿雪は手を差し伸べずにはいられない…

そんな寿雪を演じているのが水野朔さんです。
改めて考えてみると、「ぼっち・ざ・ろっく!」の山田リョウと声のトーンが似ているようにも受け取れます。
まぁ、同一人物ですから当たり前なんでしょうけれど…

とりとめの無い話題ばかりになってしまいましたが、私にとって相当面白かった部類に入る作品でした。
物語の構成がしっかりしている上、やっぱり作画が綺麗…
特に寿雪の一挙手一投足には目を奪われるくらい魅力的でした。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、女王蜂さんによる「MYSTERIOUS」
エンディングテーマは、krageさんによる「夏の雪」
どちらの楽曲も通勤時に聴く楽曲でした。
個人的にはエンディングの方が好きかな…と思っていましたが、第13話では「夏の雪」がオープニングテーマに利用されたので「なるほど…」と思いました。

1クール全13話の物語でした。
原作は全7巻で完結しているようです。
続きが気になるところですが、4月19日に「TVアニメ「後宮の烏」 ―花咲の宴―」というイベントが開催されるそうです。
もしかすると、このイベントで続編制作が発表されるのでしょうか。
あまりにも尻切れトンボ的な終わり方でしたからね…
うぅ…そうあって欲しいと思えるほど、しっかりと堪能させて頂きました。

投稿 : 2023/01/09
閲覧 : 105
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18

はちくじまよいちゃん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

作画とかキャラデザとかきれいなので

あんまりお話の内容は深く理解できませんでしたが、ほぼ一話完結モノとして楽しんで見れました。

投稿 : 2023/01/08
閲覧 : 108
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3

趙海如 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.6
物語 : 1.0 作画 : 4.0 声優 : 1.0 音楽 : 1.0 キャラ : 1.0 状態:途中で断念した

色々と弱い

「鉄の処女」みたいな設定を持つ主人公が予想以上にちょろい。
「後宮」の設定が甘く、生かせていない。古代の中国宮殿内事情の考察が甘い。
推理系?としては驚きが平凡で、結末の予測されやすい(個人差がある)。というより、謎の浅さからして、「推理系」と呼べないでしょう。精々「推理風」だ。タイトルは別にそう思わせられるように書いていないから、ただの私の勘違いでしょう。

という感じで、ゲームしながらでも、観終わる事が出来ませんでした。

投稿 : 2023/01/08
閲覧 : 81
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1

ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

しっとり、楽しめました。

3話まで視聴しましたが、とても良い印象です。
今のところ、1~2話のオムニバス形式ですので、コンパクトで観やすく、それでいて人の機微の深奥を滲ませる雰囲気にも惹かれます。

お話のコンセプトは、烏妃(うひ)と呼ばれる妃 ≒ 巫女が "招魂の術" を駆使し、生者の情念と死者の所思とを邂逅させるというもの。
遺された人と楽土へと旅立つ者の双方を取り持ち、魂の安寧を施す人情綺譚物ともいえそうです。

触れれば消えてしまいそうな "粒よりさ" がすこぶる魅力的な本作ですが、片方では、帝国内の権謀術数、後宮の怨嗟憤懣がうずまく宮廷怪奇譚とも読み取れそうです。

でも、もしかしたら、もう少し壮大な時空のスケールを見せてくれるのではないかと期待できそうなエッセンスも感じています。


~     ~     ~

1~3話。
{netabare}

これまでのストーリーから読み取れることをいくつか。


一つめは、烏妃≒柳 寿雪(りゅう・じゅせつ)の名前に、深い謂れがあるように感じます。

まず、烏妃とは、代々の役務上の呼び名のようです。
日本でしたら武内宿禰でしょうか。
だって彼の寿命は、280~360才と言われていますから。

幼かったときの寿雪には、元の姓の記憶がありません。
彼女のそれは、先代・烏妃の意図的な改名のようです。

このあたりのくだりは、紀元前200年頃の中国に伝わる「楚漢争覇」に一つのモチーフが見つけられます。


二つめは、OPに描かれる人面の怪鳥(烏漣娘娘・うれんにゃんにゃん)と、金羽の鶏(星星・しんしん)という化鳥の存在です。

信仰の対象として、鳥を崇める風習は古代ギリシアのころに遡ります。
なかでもカラスなどは、世界的に見ても "太陽の化身" とも目されています。

国の運営は、太陽の恵みをあまねく地上に下ろす人のわざに外なりません。
その舵取りのためのメッセンジャーという役割りが、太陽の使者であるカラスであり、この物語の烏妃なのですね。


三つめは、寿雪の銀髪です。
彼女の髪は、西方アジア文化圏の民族(今のウイグル自治区あたり)の歴史性、現代史性を象徴させています。

あるいは遠くギリシア文化圏に及ぶ立ち位置、それは民主主義への歴史観だったり、尊い人間の精神性だったりを彷彿とさせています。

(たしか2020年、アメリカで、新疆ウイグル自治区から、かつらや付け毛=人毛?などの毛髪製品13トンが輸入された記事があったような気がします。)

そう思うと、寿雪の墨髪も、深い顔立ちも、どこか抑圧された翳りが、彫塗されているように見えてきます。

また、彼女は、西方と東方との文化を繋ぐ黒子的な役割を担わされ、架け橋となるべくする "大きな意志" を感じたりもします。


四つめは、牡丹の花を自在に扱う術です。
牡丹の原産地は、現在の中国北西部と言われています。
もしかしたら、その土地代々に伝わる特異な秘術のようなものが存在しているのかもしれませんね。

そんな想像が広がると、かの地の風土や人々の暮らしの中に根付いている世界観に興味がわいてきます。

そして、人の願いと花の精とのかぐわしいシンパシーだったり、ささやかなシンフォニーにも思いがはせそうです。


~     ~     ~


何代にもわたって時の皇帝に仕え、たびごとに世上の無常にまみえ、なにごとも人情に流されないことを是とする烏妃。

後宮の妃でありながら、皇帝とは相容れぬものであり、夜伽などもってのほか。
同族を皆殺しにされ、母をも斬首されても、自らを責める気位が彼女の才覚です。

それゆえか、スルースキルがいくらか四角四面に見えるのが玉に瑕のようにも。
でも、弱者への振る舞いは、むしろ慈愛と博愛に満ちているのがうかがい知れます。


ところで、物語は、若き皇帝との夜伽噺にしか見えないのはどうしてでしょう。
ピロートークならぬ、浮世の花水木をしっかり根に下ろしているように見えるのですが。

霊術の微かな施しだけを柱とする物語でしたら、若き皇帝など微塵にも不要なのでしょう。
でも「翡翠の耳飾り(前後編)」で暗喩されてあったのは、忍耐と道徳の二つを "一つとする愛の高貴さ" でした。

なれば、幽玄にも現世にも耳をそばだてることが、寿雪と皇帝(夏 高峻、か・こうしゅん)のお作法になってしまったのですね。

ましてや、夜の水浴みに髪の秘密を見あってしまったとあれば、寿雪は夜伽もむげには断れず、高峻も止められるものではないでしょうね。


~     ~     ~


高峻には、いつもにべもない口上の寿雪ですが、なにぶんとオヤツには目がありません。
なんなく手懐けられる隙の甘さ、緩さは、16才の女の子のままです。

ですが、本来、烏妃とは、漆黒の衣装に本分を秘匿し、政(まつりごと)にも影響を及ぼす妖術使いです。

老獪な先代に仕込まれた数々の秘計が証するものは、おそらくは国の行く末、世界の大事にもさわる苦心苦難の路なのではないでしょうか。

そんな二人が手掛けるのは、真夏の太陽に真白き雪を降らすような陰陽白墨の物語。
今後、いかなる金糸銀糸の錦文様を織り上げていくのでしょうか。


原作は読んでいませんので詳細は分かりませんが、噂によると壮大な世界観が随所に見受けられるようです。

なれば、今回の宮廷奇想譚はその序章にすぎないのかも知れません。
原作にも興味津々ですが、いましばらくはアニメを楽しむことといたします。

次回は「雲雀公主=ひばり姫」。
楽しみです。
{/netabare}


4話。
{netabare}
今回は、ひばり=小さきもの、をテーマに、わずかな読み違え、ブルーなすれ違い、もやもやな衝突、ささやかな心配り、そしてほんのりとした邂逅までが描かれてあったと思います。

ストーリーを追えば、途切れそうな絆の糸がようやくに手繰られ、縁(えにし)の広がりと深まりがゆるやかに紡がれていく様子が感じられました。

しかしながら、それは同時に、「独りで生きていく」と教え込まれた寿雪にとっては、本当に望ましいことなのかどうか、物語は微かに揺らぎを与えています。

ただ、「小さな」贈り物が、どのような想いで手向けられ、どう受け止められると嬉しいものなのかを、優しい演出で表現されてあったことは確かなようでした。


雲雀は、雲へと届かんばかりに空高く昇っては、雀(すずめ)ほどのサイズに見えることから当てられた漢字です。

ツバメは、土喰黒女(ツバクラメ)が語源ですが、巣作りに土を食み、地を這うように飛ぶのが特徴です。

高峻が彫ったアナツバメは、寿雪の術によって霊的な先達と化身し、現世に幽鬼と残された雲雀の未練を断ち切るべく天へと高く飛び上がります。

このくだりは、耳飾り、花笛のエピソードとは少し違っていて、二人の初めての共同作業。
想いを積み重ね、共有しあい、小さな願いをまた一つ成就させたのですね。

雲雀は春告げ鳥とも言われますし、ツバメは春に巣づくりをします。
となれば、今回は、寿雪と高峻の「小さな春」をさえずりあったお話なのかも。
そんな隠れテーマがあったようにも感じました。


神は天から地に降り下って人を救うのですし、帝は地に立って国を治め人を幸せにするのです。

もしもその仲立ちをするのが烏妃の役目であるなら、かえってバランスを崩しかねないのが今回の寿雪の振る舞いなのかもしれません。

ちいさな春を過ぎやれば、物語はいよいよ夏へと向かいます。

次回は「懐刀(ふところがたな)」。
楽しみです。
{/netabare}


5話。
{netabare}
お話としては6話の前ふりでしょうか。

トピックスの一つめは、衛青(えいせい・高峻の侍史)を通じて、寿雪がまた一つ、現世にしがらみを作ってしまいます。

それは、おそらく「謙譲」と呼べるものでしょう・・・。


~     ~     ~


衛青は、高峻の懐刀。
寿雪は、烏漣娘娘(うれんにゃんにゃん)の巫女。

帝と神の違いはあっても、ともに傅(かしず)く者として、それぞれの矜持があります。

寿雪は、後宮の仕来たりに疎く、宮女の話を鵜吞みにしたり、思いもなしに靡(なび)いたり、勘違いもします。

それは、烏妃ならではの隠遁生活に因るものですが、でも、どういうわけなのか、彼女は自らを遜(へりくだ)らせ、謙譲のふるまいもできるのです。

衛青はというと、人には言えない出自を自己の懐に抱えていて、同時に、高峻に見出された恩を胸にしまっています。

彼は、高峻のプライベートな案件で「寿雪を頼りにしない」という命を受けながら、"彼女を頼りにする" というねじれたシークエンスに、自らを内省します。

高峻からの仁と愛、高峻への忠と孝のはざまに立ち、正規の妃ではない烏妃に対して、どのように接するべきか思いあぐねているようです。

でも、高峻を救えるのは寿雪だけであろうことを頭から否定できません。
なぜなら、母を救えなかったかつての弱い自分がフラッシュバックするたびに、強い自分でありたいとの意志が湧き上がるからです。

衛青の矜持は、皇帝の大局をサポートする侍史としての立場と行動にあります。
それに徹することで、高峻への恩義、烏妃への謙譲に対峙し、自らの真摯を証明しようとするのですね。


~     ~     ~


もとより過去の自分に一線を引き、それぞれに立場を得るに至った衛青と烏妃。
彼らには、奉仕者という共通する土台が各々にあり、奉仕する対象が別々にあります。

それゆえに、共鳴する思いを通わせながら、交錯しながらもあえて謙譲に務め、高峻への新たな柵(しがらみ)を編みだすのでしょう。

たしかに衛青の寿雪への謙譲は、高峻への深憂に則ってはいます。
けれども、いつか高峻への忠義に触れる後悔を生むだろうとも腐心しています。

「帝と烏妃とは相いれぬもの」。

高峻が、寿雪の魅力に惹かれながらも、烏妃の秘密に迫ろうとするなら、双方の立場を危うくさせ、やがて発火する局面が訪れることを衛青は杞憂しているのです。


~     ~     ~


トピックスの二つめは、最終パートで、壁掛けの地図に驚く表情を見せていた寿雪です。

本来、地図というものは、国の最高機密であり、世界概念をしばる秘中の秘。

もしかしたら、寿雪は高峻に「地図を見せられた」のかも知れません。
それを共有することは・・・如何なる予想をも超えてきます。



謙譲。

万事に遜り、分をわきまえる行為。
自分を慎み、人を先に立てるマナー。

わりかた簡単そうで、はなはだ難しい美徳です。

次回は「夏の王、冬の王」。
楽しみです。
{/netabare}


6話。
{netabare}
今回は「烏妃と帝とは相容れないもの」の "理由" が明らかになりました。

寿雪の覚悟献身と、高峻の挙動俗心の温度差があらわになり、歴史と未来に亘(わた)る本分において、あからさまに対峙しあったお話です。

律令格式を掌(つかさど)るのが帝なら、祭祀祭礼を司るのが巫女。

高峻は、治世の断行なら私怨にも平然とし、地上に生者の楽世を創出します。
寿雪は、浮世の無常よりも神契にかしづき、死者の魂を楽土へと霊送します。

それならば、帝が仕切るプロセスに生じる敗者・亡者の悲哀業腹を、烏妃が鎮魂にフォローする仕組み、とも解釈できそうな雰囲気です。

とは言っても、寿雪にしてみれば、冬の王として、一生涯を独り後宮に捧げる挺身と、夏の王の治世を支える諦念にほかなりません。

それは、国の泰平のため、世人の安寧のために、選ばざるを得ない栴檀(せんだん)の苦渋でもあるのですね。

おそらくは、それが烏漣娘娘(うれんにゃんにゃん)の意思であり、寿雪への意志ということになるのでしょう。

寿雪が祭祀王として振る舞う以上、そこに自己の実現を差し込む余地はないというわけです。


~    ~    ~    ~


思うに、幼い寿雪には、クーデターのあおりを受けて、母との一別に哭くことも許されず、その生首に心を砕かれた過去があります。

ですが、それすらも抑え込んで、前王朝にも現王朝にも憤怒の責めをいだくことなく、粛々と烏妃を務めています。

果たしてこれほどに過重で過酷な生き方が、なまじの人間に耐えられるものでしょうか。
もしもそんな重圧を凌ぐほどの素養が寿雪にあるとするなら、烏漣娘娘が射止める烏妃の意義とはいったい・・・。

千年の史実からの教訓と、未来の平和へのシナリオの担保になるのが烏妃のそれならば、むしろ「烏妃=寿雪が望めばすべてが得られる」とは如何なる意味なのでしょう。



ここにきて、さらにシナリオが幾重にも織られ始めました。

今回は、香薔(こうしょう:初代烏妃)、蘭夕(らんゆう:夜明宮を造営した帝)、明珠公主(めいじゅこうしゅ:柳下の幽鬼)など、いわくありげな人物や、思わせぶりなパーツ・言質もあちらこちらに見え隠れしてきています。

次回は、「玻璃(はり)に祈る」。
いよいよ楽しみです。
{/netabare}


7話。
{netabare}
玻璃とは、ガラス、あるいは水晶を意味しますが、それを櫛ともすれば、なおいっそう高貴な品物として珍重されます。

若い恋路に祝言の誓約として交わしたそれは、どれほどセンシティブに扱っても、途切れぬ信と愛とを込めたくなるものと窺えそうです。

明珠公主が、死してなお楽土に赴かず、ましてや地縛霊として柳の下に佇んでいたのは、契りへの操を自ら断ち切った未練でしょうか。

決まって春に見せる幽鬼の姿も、誓約の証がいつか掘り出される期待と、永遠に掘り出されぬ哀しみとも言えそうです。

まるで、シェイクスピアのロミオとジュリエットにも劣らない悲恋・悲愛を彷彿とさせるお話です。

それにしても、寿雪の霊力の凄まじさは、巫術師(ふじゅつし)のそれをはるかに凌ぎます。
烏漣娘娘から付託された冬の王たる霊威は、人智を超えたパワーと改めて認識しました。


~     ~     ~


後半は、殺さずの重誓と、茶飲み友だちを申し出る高峻と寿雪とのティータイム。
ひとり重責を担ってきた歴代の烏妃に、傅(かしづ)いて礼を奏上する夏の王の "おもてなし" です。

寿雪のまなじりに浮かんだ涙は、かつての王たちとの和解に至ったからでしょうか。
それとも、先代烏妃の孤高脱俗の労苦が報われたと安堵した気持ちからでしょうか。

寿雪の不愛想の理由は、高峻や世人への柵(しがらみ)が煩わしいのではなく、烏漣娘娘に見定められたいらだちと、冬の王に課されたストレスにありました。

ですから、高峻が、律令の手枷(てかせ)を明々と外しても、烏漣娘娘の爪は、寿雪を暗々と足枷にしつづけます。

どうしたって、寿雪は一介の町娘なのです。
ささやかな恋をし、家を斉(ととの)え、やがては子どもを設け、優しい母となる夢を見ていたのでは?・・・

なれば、烏漣娘々が求める治国平天下という重いテーゼは、烏妃としての日々に何をもって慰めとすれば良いのでしょう。

若き王からの "ティーパートナー" の申し出は、わずかながらも寿雪の肩をほぐし、口を滑らかにするのかもしれません。

王朝は、世襲であっても、征服であっても、所詮は人間の都合で成り立つ治国に過ぎません。

でも、神の意向が天上天下の和平に及ぼすと飲み込める二人だからこそ、夏の王、冬の王として向き合う茶席も「また楽しからずや」なのでしょう。

互いの立場の違いを同じくできる友のカタチとは、「馬鹿もの」と呼び合うのが最も相応しいのかもしれませんね。


次回は、「青燕」。

風雲は急を告げるのでしょうか。
ますます楽しみです。
{/netabare}


8話。
{netabare}
青燕にまつわる、ちょっと切なくて、どことなく理不尽を感じるお話でした。
キーワードは、 "無体" でしょうか。


ときに若さや幼さからの懸想には、往々にして実直に過ぎるアクシデントが生じやすいもの。

たとえその相手が、生者であっても、今は亡き人であっても、真実の愛おしさであったなら、なお一層に世事に縛られず、弁(わきま)えも忘れて、会いたい、逢いたいよと、心は砕かれるものでしょう。

前回、"友との仲直り" への心遣いを説いた高峻が、今回は "寿雪への心通(しんつう)" に一歩足を踏みいれました。

皇太后の呪詛から身を守るためとは言え、微笑む実母と育ての友たる面影との別れを、高峻はどう受け止め、寿雪を評価したのでしょう。

いよいよ夏の王と冬の王の間を詰めたいとの願望をアツく語りながら、烏妃の役務にも愛情があって然るべきと切と唱えたのです。

そうは言われても、寿雪は「難しいことを言う。」と眉をひそませます。

それは、明日の筋書きというものは、何を以って正しく、誰にとって正しいのか、人間の浅ましさや悪(わろ)かしさなどの "無体" からは、何も分かろうはずもないと思うからでしょう。


寿雪にすれば、皇帝・高峻であっても、そのように評定をするほどですから、烏妃にアプローチをかけるには、誰にとっても手こずることでしょう。  

ですが、この手こずりは、烏妃の視点に純然と寄り添うのでしたら、意味がまったく反転してきます。

つまり、酷薄な宦官制度という無体、隔絶された後宮という無体には、人間性を虐げる無言の圧となるヒエラルキーが潜在し、個人の生きざまをきつく縛っている "無体の実体" であることにほかならないのですね。

なによりも烏妃に選ばれた我が身の無体がそうなのも、間違いないでしょう。


~     ~     ~


国の安泰を主眼優先とするのが烏妃の立場なわけですので、招魂の秘術は大局の見地に立った局面であやつるのが本来の寿雪のはず。

であれば、彼女は夜明宮でひとり烏漣娘娘と対話を重ね、楽土を地上に降ろす影役(かげやく)に徹する必然性があります。

ところが、彼女は宦官の処遇に施しを当て、衣斯哈(いしは)、恩蛍(おんけい)、衛青らの心のとげを抜き、むしろ強烈な敬虔の念を抱かせるに至ります。

それは、実のところ、夏の王の治世にいささかでも関わることになるし、冬の王としての領分を超えてしまうという矛盾を孕みます。

それ故に、烏漣娘娘が定めた法理に鑑みれば、"愛だの友などの俗世の価値観" を紐づけたい彼らの言上や奏上は、それこそ "難しいこと" と言わざるを得ない寿雪なのですね。

でも・・・だからでしょうか。
恩蛍の肩にそっと手をやる寿雪の作法に、現世の無体を共にしている哀しみの共感と、やさしげな忠恕(ちゅうじょ)の慮りを感じ取ってしまいます。


~     ~     ~


青燕と訊けば、わたしは "幸せの青い鳥" を答えに想います。

それは、若い友への心遣いの先に置くべき、誠実でまっすぐな視界を高くさせます。
望ましさに至る紆余曲折に、心を省み、慎み、そして尽くすからこそ、青い空へと飛翔する姿に、エールが送れるものでしょう。

その尾羽は、小さくて軽いものにすぎないのかもしれません。
ですけれど、人の心を誠心誠意へと感化させるには、あまりに鮮やかな青を失ってはいませんでした。


また、本作は中華圏を彷彿とさせるファンタジー設定です。
けれども、広大な大陸を舞台とはしておらず、洋々とした海洋国家が地図に描かれてありましたから、日本的な情緒性に秀でているようにも感じます。

それゆえに、ひとり一人の幸せの追求は、いずれの国とも違わぬ、あまねく価値観を包摂するものとの作風を期待しています。

今後、寿雪が高峻に求めた木製の薔薇や、百合のお香を醸すベールの持ち主、あるいは7話に姿を見せた新たな巫術師らが、これからの展開に妙味を足してくれそうな気配・・・。

次回は、「水の聲」です。
とっても楽しみです。
{/netabare}


9話。
{netabare}
今回は、今までの流れとはちょっと違っていて、とある宮女のお話が差し込まれていました。

端的に言えば、「死人に口なし」をいいことに、自分の無粋蒙昧を棚に上げた自己中心なキャラを描いています。

寿雪からしてみれば、浅慮や傲慢、屁理屈なわけですが、他の宮女からも "ヘンな人" と取り付く島もなし。友だちもいないそうです。

巷(ちまた)には、「○○は死ななきゃ治らない」なんて酷い言いようがありますが、死んだことにも気づかずともなれば、魂の救いようもありません。

寿雪ができることは「当人が気づくきっかけを作ること」だけ。
「水が救ってくれるやも知れぬ。」とは、言い得て妙だと感じました。
水は穢れを清浄化するほかに、知識、柔軟、変化という象意があるんですね。

今回のエピソードが、大局にどんなふうに紐づけられるのかはまだ分かりません。
「結界が切られた。」と呟く寿雪でしたので、伏線の先の展開に期待が高まります。


~    ~    ~


薔薇の彫刻を届けることに成功した高峻ですが、好いた人が望んだものをプレゼントする嬉しさはきっと一入でしょう。
これがきっかけになって、再び熱をあげることになっちゃうのも、観ている方はワクワクなんですけれど・・・。

とは言え、寿雪の高峻への手紙の文字が全然読めませんでした。(汗)
あれれ?と思っているうちに、ささっと場面が変わってしまったので、演出上の思わせぶり?と思っていたら、2度見で日本語字幕が入っていることに気がつきました。(汗々)

なにせ、寿雪のガードは相変わらず堅い(頭も固い?)ものですから、高峻に何をやらかすのかが、毎回楽しみです。
とにかく、王と王とのやり取りですし、国の隆盛・興亡にも関わる大事ごと。
庶民と冬の王のハイブリッドな寿雪ですし、若さも加われば簡単には測りようがありませんね。


ところで、今回、「梟(ふくろう)」なる呼び名を口にした寿雪です。

烏漣娘娘を身に留めるのが烏妃なら、「知恵」を象徴とする梟の存在は、新たな攻防の軸になるのかどうか気にかかります。

前出の宮女のお話も、つまるところ立場上の怨嗟が因果因縁の元になっていましたし、以前にも、巫術師が追放されたというエピソードもありましたので、怨恨の線なのかもしれません。

あまりにオソロシゲな展開は遠慮したいところですが、今になってほっぽり出すのはいかがなものかと、悩ましく思っています。

次回は、「仮面の男」。
ちょっと・・・ドキドキです。
{/netabare}


10話。
{netabare}
メインストーリーは、五弦の琵琶に執着した楽士の魂を救済し、楽土に送るというもの。

禍々しい亡者の登場には思わず腰が抜けてしまいましたが、「それでも魂を救ってやりたいと思うのだ。」と語る寿雪にも面喰いました。

少しでも可能性があれば、"智" を利かせ "情" を厚くして "力" を尽くすのが当たり前とする彼女の決断。
それが烏妃の学問と道理であり、慈愛の実践、至誠を通す道というわけなのでしょうね。


それにしても、必要であれば即決で国宝を燃やしてしまうなんて、衆人にはもはや理解の及ばないパフォーマンスです。

でも、寿雪はそもそも夜伽をしない妃であり、幽鬼の救済と解放がその領分。
ならば、相手が帝であろうと宝物であろうとも、一刀両断にするのは至極当然なわけなのでしょう。

烏妃の能力をなんども目の当たりにし、明察もしている高峻ですから、寿雪への関心もまた、楽士の執着と紙一重と自覚できようもの。
彼の心のざわめきたるや、如何ばかりかと察せられます。


~     ~     ~


寿雪は神に仕え、霊威をもって魂を救う。
高峻は国を興し、権威をもって人民を導く。

表向きは割れ鍋に綴じ蓋のようにも見える二人ですが、本質では似て非なるものです。

しかしそれが烏漣娘娘の意向でもあります。

国の安泰を使命として背負いながら、相見互いの温情を交わしあうほどに、生木を鉈で裂くような非運を誘う恋の様相です。


~     ~     ~


サブストーリーは、患いのような、煩いのような・・・。

一義には、楽士のお話でしたが、実のところは高峻の患いであり、愁いのお話でもありました。

寿雪は、当初から高峻を遠ざけ、「来るな、もう来るな、二度と来るな。」と辛辣でした。

それは彼女が二人の王の歴史を深く信じているからで、理屈抜きで未練を断ち切るしか術がないからです。

いっぽうで、高峻にしてみれば一目惚れした弱みなわけで、どんなに煙たがられても厭わられても、未練ばかりを募らせるのは同情しかありません。

夜伽も叶わず、妃にも寵姫にも褥(しとね)と置けないとは、帝の位にありながら救われない想いにもほどがありますね。


次回は、「布石」です。
ただならぬ雰囲気に、気を揉んでいます。
{/netabare}


11話。
{netabare}
ここに来てようやく起承転結の "転" 。ターニングポイントのようです。
強気一辺倒で振る舞ってきた寿雪が、人前で初めて弱音を吐きました。

「独り後宮で」、「夜伽をしない」と、誰とも交わらず、「さっさと帰れ!この馬鹿者め!」と、むしろ拒絶をよしとするのが烏妃の本分。

なのに、「16才の町娘」と菓子をほおばり、「人に甘えよ」と肩を包まれては、心がほだされてしまうのも仕方のないことですね。

後宮での殺人事件は寿雪の内面に心変わりを引き起こすトリガー。
これまでとは別次元の要素を加えながらお話が回り始めています。

今までの10話は、そのための「布石」。
今回のお話もこれからの「布石」というわけなのでしょう。

置き石を3子先んじても高峻に勝てなかった寿雪です。
よもや手加減となれば、難局を打開するには相当なリスクとなりそうな予感です。


~     ~     ~


それにしても予想が当たってしまいそうなイヤ~な展開です。
「何かを啜(すす)るような音」とか、「人が嚙みついたような歯型」とか、ホント勘弁してほしいのですけれど・・・。

「死んだ人間を生き返らせることはできない。」と寿雪は語りますが、それはつまり禁忌の呪法があることの裏返し。
絶対悪の邪(よこしま)を上回るのが二人の王の務めなら、立ち向かう試練を覚悟と決めねばならないのかもしれません。

国の乱れが人間の情から発することを正史に学んだ二人です。
道理を顧みない想いに病み伏せる三の妃(琴恵瑶、きん・けいよう)に、どのように応えるつもりなのでしょうか。

また、梟なる男、封宵月(ほう・しょうげつ)の奸計は、烏妃の命を狙いとするもの。
寿雪の存在は、巫術師(ふじゅつし)としても抹消すべき天敵ですし、同時に、高峻に対しても師匠を野に排した仇敵なのですね。


ここは、高峻にとっても一大事。
漢を上げるシーンを期待したいところです。


次回は、「兄妹」です。
どうなる! どうなるの??
{/netabare}


12話。
{netabare}
兄への憧れと過分な期待とが、琴恵瑤(きん・けいよう、三の妃)の異常な執着に形を変え、悲惨な幕切れに至ったやるせなさを強く感じるお話でした。

実のところ、恵瑶の単線思考による自業自得とも言えそうですが、兄擬(もど)きの泥人形に絶命した彼女はあまりにも不遇に思えます。

とは言え、この重々しさは、後宮に身を置く寿雪、身を置かせる高峻の人生訓とも受け取れそうな気がします。


封宵月(ほう・しょうげつ)の語りによると、寿雪が先代の烏妃から聞き及んだ二人の王の伝承は、どうやら歴史をあまねく語るものではなかったようです。

それに、かつて寿雪が世界地図に驚き、表情に陰りを浮かべていたのは、"梟" なる使者が、烏妃を殺しに来るという伝聞が、確信へと変わったからでしょう。


まず感じたのは、思慕や嫉妬を動機とする二人の王の謂われさえも、初代烏妃の恣意的なフィクションで出来上がっていたらしいこと。

そして、生きた人間に神懸りすることを禁忌とする戒律に触れた妹(烏=烏漣娘娘)を解放するという兄の言い分。

また、その一方で、不可侵を押し通し、隠し通した香薔(こうしょう:初代烏妃)の末裔(=寿雪)を屠(ほふ)るという兄の言い分。

そんな別次元の摂理だったり、無理すじな道理だったりが 、"兄ルート" として伏されてあったとは驚くほかありません。

寿雪と高峻とが紆余曲折してきた最終局面で、予期もしえなかった波乱の展開。
これは、OPのとおりの "ミステリアス" ・・・。
でも、作劇としては、ちょっと "腹立ち" を感じるところもあるんです。

兄ってそんなに強い立場なの・・・?
一つのあぶくから分かれているんだから、弟なのかも知れないのに・・・。


~      ~      ~


「烏妃が望めば何でも叶う」とは、いかにも思わせぶりなセリフに聴こえます。

つまるところ、烏(=烏漣娘娘)が求めた自由奔放への憧れと、香薔(こうしょう:初代烏妃)の相思相愛を願うロマンスとは、謂わば利害の一致するアドレナリンを燃料とする相身互いです。

烏も人間も、それぞれの世界に生きるルールに縛られていますが、もっと違う世界を見てみたい、その世界を大切にしたいという心情は共通するものなのかもしれません。

であれば、この物語は、世界の境界線を跳び越え、類さえも超えて自己実現を追い求める、魂の理想する生き方を描こうとしているとも類推できそうです。


ですが、分を超えた見返りはあまりにも大きく、歴代の烏妃はその一生涯を後宮からは出ることを禁じられ、烏漣娘娘もまた新月の夜以外は後宮からは出られないという足枷を負ったのは皮肉な設定です。

烏妃のアイデンティティーは二重複相性(烏は烏漣娘娘、妃は巫女)です。
宵月によれば、寿雪が献上していた牡丹の花は、妹に「毒」を食らわせていたとの評定です。

烏と人間の同位体など、どんなに共存を図ろうとしても、もとから歪(いびつ)を抱えたものであり、無理くりバランスを取ろうとするための麻薬だというのです。


香薔(こうしょう:初代烏妃)と烏(=妹、烏漣娘娘)とに、どのような契約があったかは窺い知れません。
でも、それぞれの思いには "ならぬ道、なしたき夢" があったのではないかと感じます。


ですが、両者の振る舞いが千年に至るとなれば、妹の苦しみはすでに破綻を迎えているとも宵月は言い放ちます。

寿雪にしてみれば、たまたまその器として見出されただけのこと。
新月に痛みを受け入れる理由などどこにもないし、烏と一蓮托生に生きる責任なども1ミリもありません。

ならば、現役の冬の王、夏の王は、何をどのようにして世界の辻褄を合わせればいいのでしょう。


~      ~      ~


高峻にとっては、帝国の興隆と安泰は、寿雪個人の人生を犠牲にバーターされたものです。
その初発は、いにしえの女性の勝手や古き皇帝の都合であり、謂わば、世界のしがらみを自ら生み出した我利我欲とも言えるわけです。

宵月にとってもそれは同じで、妹を苦しめる一番の理由が烏妃の存在であるという主張ですので、千年の忍従を解き放つには器たる寿雪を殺さねばなりません。

寿雪を守りたい高峻と、屠りたい宵月。
人間の世界線と、鳥の名を持つ者のそれとが、それぞれに譲れぬ価値観をぶつけ合うせめぎ合い。
これは・・・すでに寿雪一人がどうのこうのできる問題ではなさそうです。

宵月と高峻は、いったい寿雪をどうするつもりなのでしょう。
そして、烏(=妹=烏漣娘娘)は、彼らに何を訴えるつもりなのでしょう。


次回は、「想夫香(そうふこう)」です。
なかなかに楽しみです。
{/netabare}


13話。
{netabare}
烏(からす)には、特別な役職名があって、死者の魂を先導する "ミサキベ" とのことです。
文字を当てるなら、おそらく「御先部」でしょう。(原作は「岬部」と表記)。

今回のお話のテーマは "想夫香" です。
後宮のしきたりによれば、亡き人へ心を馳せながら、懐かしさを悼み、愛おしさに慈しみを深めるという意味のようです。

それなら、たとえば、別離やすれ違いなどで心が通わなくなり、後悔に苛まれるときにはどうでしょう。
あるいは、叶わぬ再会に希望を失いかけ、やり切れなさに胸が潰れそうなときにはいかがでしょう。

そんな我流や今様にも "ミサキベ" の名を当てたり "想夫香" を求めてもいいものでしょうか。

とは言え、そんな情けめいたことに耽ったり、試したりする人はもうわずかでしょう。
むしろ、女々しすぎると、揶揄されたり、訝しく遠ざけられたりされるかもしれません。

ただ、寿雪が牡丹を献上するときの表情に、私は彼女の愁いと苛立ちを感じてしまうのです。
香を焚くのなら、それなりの理由や背景があって然るべきことを寿雪は知っています。

それなのに、その謂れさえも聞かされていないのでは、なぜ後宮に独り縛られねばならないものかと、気分は塞ぐばかりでしょう。
7話に「忌々しい烏漣娘娘の見張り役め!」とシンシンにすごむ寿雪がいましたが、私もついつい頷くのです。

「梟が私を殺しに来た。」と淡々と話していた寿雪です。
そんな諦観や、死をも覚悟するような彼女は、心中では、わびしさや失望感に喘いでいたのかもしれませんね。


~      ~      ~


封宵月(ほう・しょうげつ)は、牡丹の香りは "毒"を以って妹を縛る禁忌の手合いだと言います。

でも、千年の軛(くびき)を超えてまで、双子の妹の命を消そうとする振る舞いが、いったいどうして "想夫香" に相応しいというのでしょう。

なぜなら、宵月は、寿雪に "自身の倒し方" さえ教えているのですから。
そう思うと "想夫香" の本当の意味が分かろうというものです。

薛魚泳(せつぎょえい=冬官)であれば、麗娘(れいじょう=先代の烏妃)への懐古をたどることに。

寿雪であるなら、高峻との未来を、二人の王、唯一の友として紡いでいくことへ。

宵月(=梟)なら、自らも禁を冒し、高峻に爪を残してでも、妹(=烏)との再会を果たしたいことを。

そして、妹もまた "自分自身に還る日" を待ち焦がれていることを。


~      ~      ~


物語は放送を終わりましたが、続きを予感させるシーンも配されてありました。

後宮を離れ、夜空を翔ける寿雪の姿は、きっと "歓喜する烏の魂" を示しているのでしょう。

墨をすっかり落とした髪は、烏漣娘娘のま白き頭を象徴しているのでしょう。

彼女に呼び掛ける声は、幽宮(かくれのみや)にいた頃の "兄妹" の姿なのか、あるいは "父母" なのかと、想像が膨らみます。

そう思うと、鳥に化身する人も、寿雪や高峻たちにも、"魂は美しいもの" と扱う心は同じ価値のように感じます。


もしかしたら、原作には、二つの世界をつなぐシナリオと、それぞれの時間を切り結ぶストーリーが記されているとでもいうのでしょうか。

であるなら、放送の続きを期待しながらしながらも、ついページを繰ってみたい気持ちにもなっています。


~      ~      ~


おまけ。
{netabare}
日本には「香道」と呼ばれる芸道があります。

その香りは、あまりに微かであり仄かに過ぎるため、ほかの匂いが混じることを避けるのはもちろん、風に流されてしまうことも厭われるため、静かでほの明るい部屋(香室・こうしつ)で嗜まれます。

特徴的なのは、香りを "かぐ" のではなく、"聞く" というお作法(聞香・もんこう)です。

そんなしきたりを通じて、いつかどこかの感情を探し、見えない言葉を手繰り、ようやく文字に紡いでいく奥ゆかしさが、とても古風に思われますし、雅な雰囲気があるような気がします。



タイミングよく、今ころは "寒牡丹" のシーズンです。

わらの霜囲いに守られて咲いている様子は、寿雪が夜明宮に沈思黙考するイメージにぴったり。
しがらみに囲まれて寒さに耐え忍ぶ姿は、むしろ健気と思われ、艶やかな華とも感じられます。

ところで、寒さのなかで花を愛でるのは、心には風流ですが、身体にはかなり凍(しば)れるものです。
もしも、その香りを嗅ぎ、声を聞くのでしたら、きっと "春牡丹" がふさわしいでしょう。

桜の散り落ちたあと、藤の房のふくらみと合わせ、牡丹の大輪を手に取っていただき、ついでにお団子などを頬張るのが、寿雪のように楽しめるというものでしょうね。

そんな春を待ち遠しく思います。
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2023/01/07
閲覧 : 583
サンキュー:

23

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

貴方は誰が一番この物語で救われたと思いますか?

この物語は一見中国の後宮にまつわる物語のように感じますが、原作者の白川紺子さんは「中国」とは言ってられません。だから大昔の中国に似た異世界の物語のようです。
そして主人公である柳寿雪(りゅうじゅせつ)は「烏妃」(うき)と呼ばれる特別な妃。
人知を超えた異能者であり、決して皇帝の夜伽をすることが無い妃です。

この物語の魅力は、烏妃の異能力と美貌と可愛らしさ、そして烏妃と皇帝との心温まる漫才のような掛け合いです。


後宮には絶えずドロドロとした色恋沙汰による権力闘争があります。
殺す側のものは邪鬼に取りつかれていたり、亡くなったものは幽鬼としてさまよったりと、絶えず薄暗い闇が後宮に蔓延(はびこ)ります。
その後宮の闇の問題を解決するのが烏妃の役目。

烏妃は見かけ以上に幼く、ときとして子供じみた振る舞いをしますが、
その烏妃をいつも守り助けているのが皇帝の夏高峻(かこうしゅん)。
皇帝と烏妃とのやり取りは、漫才を見ているようでもあり、友情物語を見ているようでもあり、時として純愛物語をみているようでもあり、面白くて心が温まります。

物語の最初の頃は後宮の奥で孤独に暮らしていた烏妃でしたが、やがて彼女の館(やかた)には多数の友達(?)が集まるようになり、笑い声と笑顔で満ち溢れるようになりました。

烏妃は後宮で皆を邪鬼や幽鬼から救ってきましたが、一番救われたのは烏妃だったのかもしれませんね。


エンディングはkrageが歌う「夏の雪」
美しくもあり寂しくもあり壮大でもあり、不思議な魅力を持った歌です。

この物語の唯一の不満はオープニング。
えり好みしてすみません。でも私には、どうしても合いませんでした。

投稿 : 2023/01/07
閲覧 : 371
サンキュー:

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後宮の烏のストーリー・あらすじ

孤独な烏妃の知られざる正体とは━━ シリーズ累計発行部数100万部を突破。原作・白川紺子が描く中華幻想譚、ここに開幕。 後宮の奥深くに住んでいる、妃でありながら夜伽をしない特別な妃・烏妃(うひ)。その姿を見た者は、老婆であると言う者もいれば、少女だったと言う者もいた。 烏妃の名前は寿雪(じゅせつ)。彼女は不思議な術を使い、呪殺から失せ物さがしまで、何でも引き受けてくれるという。 時の皇帝・高峻(こうしゅん)は、ある依頼のため寿雪の元を訪れる。二人の巡り合わせは、歴史をも覆す「秘密」を暴くことになる……。
(TVアニメ動画『後宮の烏』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
TVアニメ動画
放送時期
2022年秋アニメ

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