「紫式部 源氏物語 [1987年](アニメ映画)」

総合得点
67.2
感想・評価
10
棚に入れた
48
ランキング
2490
★★★★☆ 3.7 (10)
物語
3.8
作画
3.7
声優
3.6
音楽
3.8
キャラ
3.7

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4
物語 : 2.0 作画 : 3.5 声優 : 2.5 音楽 : 1.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

教養。

【概要】

アニメーション制作:グループ・タック
1987年12月19日に公開された107分間の劇場版アニメ。
原作は、平安時代中期の作家・歌人、女房(女官)の紫式部の『源氏物語』

監督は、杉井ギサブロー。


【あらすじ】

桐壺帝(天皇)の第二皇子は美貌と才能に抜きん出ていたが、
帝の寵愛を受けていたが病死した母・桐壺更衣の身分が高くなく、
帝位に就けたら国が乱れるとの予言で、臣籍降下で源氏の姓を賜った。
「光り輝くように美しい源氏」という意味で光源氏と呼ばれている。

光源氏は幼い頃に亡くなった母親の顔を覚えて無く、
母の面影を求めて人妻でも友人の側室でも、
自分の心に正直に様々な女性を口説きまくって同衾三昧。
源氏を慕う女らも数知れず、女同士で啀み合いも。
メンヘラになった妃の嫉妬心が生霊となって彷徨いでて死人を出してしまう。

父帝の後宮に入った5歳年上の藤壺が亡き母に似ているとして長年慕い続けていたが、
妻帯者の光源氏でありながら藤壺に遂には関係を迫って不義密通。
その時の子が桐壺帝の男子ということになっている後の冷泉帝。
それでも慕う対象の藤壺を自分のものにはできない光源氏だった。

病気療養で京都の北山に訪れた光源氏は、一人の幼い少女との運命的な出会いをする。

藤壺の姪で、母が既に亡く正妻に疎まれ父とは疎遠で祖母に育てられた童女の紫の上がいて、
彼女は幼いながらも藤壺に生き写し。祖母を亡くした紫の上をひと目見て気に入った光源氏は、
自分のもとで理想の女性に育てるべく、本来は父親のところに行く彼女を引き取ったのだった。

【感想】

原作は教科書に載っている名作古典ということですが、やってることはレディコミの世界。
このアニメは文部省選定作品ですが原作者の紫式部だって高尚な芸術として執筆したのではなくて、
セクシーで陰がある理想のイケメンが伊藤誠並に無節操に時には強引に美女らと行為に及ぶ。
年上でも人妻でもロリでも何でもイケるしNTRに躊躇が無い、ブスでも抱ける器の大きな男(?)で、
一度でも抱いた女性を見捨てないのが、光源氏の良いところとかどうとか。
血筋ではこの上なくやんごとなき高貴な存在でもありますし、
これを好きという方はイケメンホストにハマる女性と共通点が多そう。マザコンをこじらせてる上に、
断っても断っても最終的に行為に及ぶストーカーっぷりもイケメン無罪ってところでしょうか。

そんな原作をアニメ化したのですが、俳優の風間杜夫が演じている光源氏が、
口紅が似合う中性的なイケメンロン毛なのは、大河ドラマの「風林火山」にて、
長尾景虎(上杉謙信)が出家後の僧形のイメージを壊したキャラづくりで、
これまたイケメンホストみたいな風貌でGACKTによって演じられたのと同じで、
敢えて異質な存在として周囲から浮いたキャラデザにするのも、演出の一環なのでしょうか?
この光源氏は赤いピアスをしていますしね。

これが、アニメとして面白かったかは微妙です。
「源氏物語」の予備知識が無ければ登場人物の誰が誰かが極めて分かりづらい。
主人公=ロン毛イケメン=光源氏、ロリ=紫の上 あたりはわかりやすいですが、
源氏と肉体関係にある、葵の上・夕顔・六条御息所・朧月夜が顔と名前がなかなか一致しない。
アニメの中の人物表現は極めて淡白なので予備知識で補完しないと、
頭中将って誰だっけ?とか混乱しながら観ることになります。

などなど、映画の中で説明不足な点が多々ありますので、
少女漫画家の大和和紀の「あさきゆめみし」なりを読んで、キャラと人間関係を把握した上で、
頭の中で情報を整理しながら観るのをおすすめします。

耽美で幽玄な世界を映像美で表現したかったのかもしれないですが、
細野晴臣の曲が場面によってはお化け屋敷みたいだったり、お経の合唱だらけでジメッとした空気。
お経の合唱は、正確には声明(しょうみょう)と言うらしいです。
キャラは一様に不健康な細面で色白く、愛憎の話であるのに能面のように表情の変化が無いです。
正直に言いますと、登場人物全員が人形に見えて不気味。

作画芝居も映像表現も動きが少なく抑揚が無いのは故意にアニメ的な表現を抑えているのでしょうが、
“大人の鑑賞に耐えうる”“アニメ的な動きや芝居を虚飾として薄めた”“芸術的な”アニメって、
退屈で面白くはないな。逆に大衆芸術が娯楽的にしてあるのは視聴者に飽きさせない意図で、
わざと情緒的にしたり笑いを取りに行ってる。それが“媚びてる”と言われることもあり、
結局は受け手である視聴者の好みの違いでしか無いという話なのでしょうけど、
ここまで芝居や映像表現に起伏が薄いと退屈で退屈で視聴が捗らなかったというのが、
偽らざるところで、残念ですがこのアニメ作品に対しては高評価はつけられませんでした。
同じ原作でも楽しめる作品は別に存在しますので、原作がつまらないということではないのでしょう。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2023/03/07
閲覧 : 125
サンキュー:

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