てとてと さんの感想・評価

4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態：観終わった

名作劇場異色のファンタジー。ピーターパンのアニメ化は本作が一番好き

※作品データベース様より転載

【良い点】
名作劇場+ファンタジーという作風が好ましい。
名作劇場にありがちな鬱展開が殆ど無く、元気で明るい雰囲気で見やすい。

作画が良い。特に綺麗というわけではないが手描きの味わいあり、ウェンディは可愛く、ネバーランドの風景も美しい。
軽快に飛び回るピーターパンのアクションや、タツノコめいたカラクリの描写など、アニメーションとして楽しい。
作画に関してはディズニー版よりも遙かに良い(というより日本アニメ好きな自分的に好み)。古き良きジャパニメーション。
秋元康氏作詞の主題歌も分かり易い良曲。OPは思わず口ずさみたくなる。

女の子が軒並み可愛い。ウェンディが勝気で芯の強いヒロイン、ウェンディ母さんと言われるだけにママみを感じる。
ウェンディの描き方も原作やディズニー版より好み。乙女ゲー主人公ばりの攻略スキルでピーターパンやティンクやルナと交流する。
最初はイジワルだったティンクも非常に可愛い。
天の邪気な態度にピーターパンが好き過ぎる感が出ており、中盤フックの姦計に乗せられ激しく罪悪感に苛まれる展開はヒロイン度高かった。
どちらかというと優等生なウェンディより、ティンクが本作で一番可愛かった。ティンクは理想的なツンデレ萌え。
ティンクが本作で一番ドラマの掘り下げがあり、懐の広いウェンディとの和解シーンは名場面、尊い。
その他、タイガーリリーがディズニー版より優遇されててジョンとのラブコメが良かった。
後半オリキャラのルナも悲劇のヒロイン度高し。

敵のフック船長一味が悪党ながら愛嬌あり、適度な緊迫感ありつつ作風が明るい。
時計ワニにビビる、母上マザコンなどの定番ネタでコメディー面も良い感じ。
後半のダークネス含めて邪悪すぎる嫌なキャラがほぼいないのが良い。

成長ドラマ面では臆病なジョンとトートルズが様々な試練を経ての成長が分かり易く共感できる。

ストーリー的にはフック船長編終盤の大ピンチ感が非常に盛り上がり、カラクリメカの外連味や各キャラの活躍など手に汗握る。
後半のオリジナル展開「ダークネス編」も話の構図が分かり易く、フックとの三つ巴で飽きさせない。
魔法や砲撃などのバトルも派手で見応えあり。

【悪い点】
前半の展開がやや単調。フックとの小競り合いだけであまり話が動かない。

双子やニブスが削除。二ブスはキャラ立っているだけに残念。
人数絞ってる分キャラの掘り下げがあるわけでもなく、別に増やしても良かったろうに。

後半は悪くは無いが、オリキャラの敵ボス・ダークネスと、フック陣営の戦力差があり過ぎて勝負になってない。
戦力不足な分を狡猾な悪知恵で食い下がるのもフック船長らしいが、原作キャラが小物カマセみたいでやや残念。
ラスカルは、特に良くも悪くもない。
フックとダークネスがやり合う一方で、ウェンディとピーターパンがやや出番削られた感も。

ダークネスやルナの掘り下げがあと一歩足りず。
悪の宿命に囚われているが根っからの悪人ではなさげなダークネスに救済が無いのが悲しい。
ラストのルナも今までのウェンディとの交流の積み重ねがあまり活きてない雑な印象、解決後一言も会話が無く残念。
悪ルナを善ルナが打倒自体は良いが、ここはウェンディが胸に刺さる会話で説得するのが王道だと思う。
最終話の締め方も良い感じながら、駆け足気味。
あと1話使ってルナ関連とピーターパンとのお別れに割いてほしかった。

【総合評価】7～8点
最終話が微妙でやや評価が下がるものの、全41話安定して楽しめる良作。
評価はとても良いに惜しくも届かない「良い」

名作劇場でファンタジーはこれだけなのが残念、アニメの醍醐味はファンタジー!と思ってる自分としてはもっとこの路線あっても良いんじゃないかと。
テレビ東京の「オズの魔法使い」とかあるけれど、まだまだアニメ化されてない名作ファンタジーのアニメが見たい。