「最強陰陽師の異世界転生記(TVアニメ動画)」

総合得点
68.2
感想・評価
206
棚に入れた
680
ランキング
2116
★★★★☆ 3.3 (206)
物語
3.3
作画
3.3
声優
3.5
音楽
3.3
キャラ
3.3

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 2.5 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

セイカ・ランブローグは静かに暮らしたい?

【概要】

アニメーション制作:スタジオブラン
2023年1月7日 - 4月1日に放映された全13話のTVアニメ。

原作は、「小説家になろう」に連載しているweb小説を改訂し、
双葉社のMノベルスから刊行されている、小鈴危一によるライトノベル。
原作イラストは、シソ、柚希きひろ、夕薙が担当し、
webサイト『がうがうモンスター』にて、漫画家・オカザキトシノリによるコミカライズ版が連載中。

監督は、渋谷亮介。総監督は、長山延好。

【あらすじ】

歴代最強の陰陽師と謳われた玖峨晴嘉(くがの はるよし)は朝廷の皇位継承争いに巻き込まれ、
謀叛人として彼の弟子である女性に泣きながら討たれる。
力だけでは限界があり、来世こそは狡猾に生きる!と転生の呪(まじな)いと今生の最期に自分にかけた。

結果、玖峨晴嘉が転生した先は、平和で豊かで空を見上げれば月が二つある、
そして、モンスターや魔族や四属性魔法が存在する世界。

そこのウルドワイド帝国の魔法学の大家のランブローグ伯爵家の三男で、
妾の子であるセイカ・ランブローグに魔力のない人間として転生した。

だが、この世界の魔法なんて陰陽術の足元にも及ばない。
それに、魔力がない代わりに呪力がたっぷりの転生後の身体。
魔法なんて要らないし、陰陽術を魔法に見せかけて使えば良いんじゃない?
前世で極めた陰陽術と、この世界のモンスターが比較にならない強い妖怪の召喚で、
異世界も楽勝じゃない?今度は失敗しない、次の生こそ平穏に生きたいと思うセイカだった。

【感想】

コミック版は、がうがうモンスターで公開してるのを時々読んでいます。
なろうでありがちな奴隷少女を連れてるとか女だけを仲間にするとか、
学園で無双するといったものの寄せ集めで、
設定は「失格紋の最強賢者」に和風テイストとダークさを加味したようなものですね。
アニメの内容自体は漫画で読んだ展開を殆どカットすることなく、なぞってはいます。
一応は目立った作画崩れはないのですが、
アクションシーンの動きがメイベルがバク転などをする漫画版を読むより地味で、
アニメーションとしての躍動感に欠けていますね。

そのアニメ版を見て、自分としては主人公のセイカへの好感度が下がりました。
その理由は後で述べます。

あらすじでは、強大な力故に疎まれ裏切られたとの話ですが、
あくまでもこれはセイカ視点での状況の解釈ですね。

前世で殺されたのが原因でセイカが捻くれてしまったのか、
それとも元からあんなだから殺されてしまったのか、どちらともとれる描き方。
普通の人間とは大きく異なる倫理観と巨大すぎる異能を持った、人間の皮をかぶった化け物が主人公。
この陰陽師を殺さねば自らが滅ぼされてしまう危惧が朝廷にあったのではないか?
無自覚に他人の不信感を煽ってしまう要素が転生後のセイカの行動の不穏さから度々見えています。

そのセイカが目立たないように敵を作らずにひっそりと生きていたいとの目的は、
「ジョジョの奇妙な冒険」の吉良吉影の如くですが、本人なりに周到に計画して行動してるつもりが、
1話目から自作自演の魔物退治で自分の立場を有利にする工作をしているのですが、
それが、貴族の三男坊でありながら領民の迷惑を顧みない利己的で腹黒い行動であったり、
感情任せにしか生きられないから、いつも予定外の行動を派手にやってしまい、
本来の目的と行動が矛盾しまくっていて陰陽術で悪目立ちしているのですが、
そこは下僕妖怪のユキをツッコミ役にしているので、作者が自覚して描いていることでありますかね。

そのセイカが一応は身内には甘くて敵には容赦しないとのキャラ付けですが、
花守ゆみりの温かみのない演技のせいか、魔法を始め異世界そのものを見下しているように見えたり、
優しい口調が上辺だけの言葉であり、傲慢で傍若無人なのが彼の本性に見えてしまい、
本質的には無慈悲で冷酷で他人を道具?良くて愛玩の対象としてしか思ってなくて、
兄にはタメ口であったり、同年代とは対等の付き合いとは遠い態度の主人公が、
自分を陰陽術が強いだけの普通の人間であると勘違いしているのではないか?

人の心を知識や理屈で理解しているつもりが、感情の機微で他人と噛み合わないセイカが、
{netabare} 人間族に生まれた当代の魔王であると明かされるのですが、{/netabare}
仲間となった少女たちに感化されて“化け物”が“人間の心”に目覚めていく話なのでしょうか?
アニメ化の範囲では、まだそこまで踏み込んだ話になっていません。

アニメの監督や声優の役作りなどによるキャラの解釈の結果で、
主人公がドライでもクールでもなくてサイコパスで、いけ好かない嫌な奴にしか見えなくて、
その冷淡な主人公が、彼自身が利用しようとしている勇者である少女アミュを含めて、
敵味方関係なく周囲すべてを噛ませ犬にしていて、そもそも仲間と力を合わせるということもなく、
もとから実力差が大きすぎて、敵対者を淡々と屠殺感覚で事務的に殺していく展開が多いですので、
主人公の戦い自体に面白みがなくて、それが主人公の上から目線口調の声優の演技との合わせ技で、
漫画で同じ話を読んだ時より印象が悪くなってしまって、あまり楽しめないアニメではありましたね。

転生後の行いを見るに、無自覚に自らの立ち振舞で敵を作り過ぎて前世で抹殺されたのではないか?
アニメでの演技プランが間違ってないとしたら、それは原作自体が面白くはないのでしょうね。
漫画で読んでるだけでは気づきにくい部分が映像化されたことでわかりやすくなったことだけでも、
意味があったアニメでしょうか。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2023/04/21
閲覧 : 125
サンキュー:

21

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