「江戸前エルフ(TVアニメ動画)」

総合得点
74.9
感想・評価
260
棚に入れた
748
ランキング
839
★★★★☆ 3.7 (260)
物語
3.5
作画
3.8
声優
3.9
音楽
3.7
キャラ
3.8

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ネタバレ

カール さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

本当は怖い日本の神様

原作未読。

江戸時代に異世界から召喚された
エルフのエルダ。
不老不死のエルダは御神体となって、
400年後も変わらず神社で暮らしている。

しかし、
対人恐怖症の域に達する人見知りと、
オタク気質も相まって
重度の引きこもりを発症中。

昨今のアニメでは、
こうした引きこもり主人公は、
大して珍しくもないですが、
このエルダの描写に関してはやけにリアル。

人と話さないので声帯が衰えており、
声に覇気がなく常に小声でボソボソ喋る。

コミュ障も酷く、
基本的に宮司と巫女の二人以外とは、
まともに会話ができない。

そのくせ、
ゴンゲム(この作品でのガンダム)を
ロボットと呼称する者には、

「ゴンゲムはロボットでなくMSだ」
と、即座に更訂するところは、
面倒くさいガノタ感があって
個人的にはツボである。

加えて、
魔法や神通力といったスキルはないので、
信仰の対象としたところで、
何もご利益もない。

以上のように、
全く取り柄のない神様なのですが、
周辺の氏子たちからの信頼はとても厚い。

神饌も豊富で、
お菓子にジュース、VRゴーグルなど、
堕落したエルダの好みを重視している。

なぜこんな駄女神でも、
信仰の対象になりうるのか?

そんな問いには日本人特有の、
「八百万の神々」の緩い宗教観が、
あっさりと疑問を解決してしまう。

因みに、
「八百万の神々」というフレーズを

「日本人は何でも神様にするんだよ」
なんてハートフルに語る方も
いらっしゃいますが、
これは別にカワイイお話ではありません。

「何でも神様にする」というのは、
善悪の区別も関係なしなわけです。

貧乏神や疫病神がその一例で、
それこそ祟りを引き起こす凶悪なものでも、
日本には神様として存在しています。

またもう一つ、
日本には世界とは異質の宗教観があり、
それが、
「神様を見てはいけない」

もし神様を見てしまうとどうなるのか。

その場から神様がいなくなってしまう。
見た者が失明してしまう。
見た者が死んでしまう。

突然ホラーチックになりましたが、
我々も実際のところ、
神様を見ないようにしているはずです。

神社にお参りに行っても、
本殿の扉を開けて、
手を合わせる人はいないですし、

神棚に手を合わせる際も、
わざわざ扉を開けたりはしません。
お守りを買えば、
袋を開け中身を確認したりしないでしょう。

誰かに教わったのかもしれませんが、
何故か日本人は、
神様には一歩引いて頭を垂れるのです。

本作品のエルダも、
基本的にお目通りできるのは巫女のみで、
それが神社の関係者であっても、
直接会うのは不可能。

とはいえこれは、
エルダの人見知りによってできた
ローカルルールのようで、
決して厳格なものでもないようです。

それでも町民たちは、
町中でエルダを見つけても、
駆け寄ってくることはせず、
遠くから手を合わせ頭を垂れます。

あくまで神様は畏怖の対象であり、
たとえゆるキャラ並みの愛嬌があっても、
お友達感覚で付き合うものではないのです。

昔、視聴者から募集した心霊写真を
霊能者が鑑定する番組がありました。

「これは浮遊霊」
「こちら地縛霊」
そんな感じで写真を紹介していましたが、

ある1枚の写真をチラッと見た瞬間、
床にパッと伏せ、
即座に何かに包み状況を説明します。

「見てはいけないものが写っています。
近くの神社に奉納してください。
決して二度と見てはいけません」

とても気になるので、
当然、何が写っているのか聞いたところ、
霊能者はとても言いにくそうに応えます。

「かみ…さま…です……」


ありがとうございました。

投稿 : 2023/09/06
閲覧 : 72
サンキュー:

3

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