「メイドインアビス 烈日の黄金郷(TVアニメ動画)」

総合得点
80.9
感想・評価
416
棚に入れた
1537
ランキング
422
★★★★★ 4.1 (416)
物語
4.0
作画
4.2
声優
4.1
音楽
4.0
キャラ
4.0

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ネタバレ

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

「アビス(abyss)」、そこは、「終着点(end)」なのか!?それとも、「終わり無い(endless)」ところなのか!?それを想像するだけでもわくわくする作品。

すごいな、この作品・・・。
観終わった後の率直な感想です。

とにかく、きれいに落ち着くだろうと予想するたびに、ことごとく裏切られます。
つまり、いかに自分の予想が楽観的すぎるかと言うことです。
でも、考えてみれば、何があるか分からない奈落と思えるほどの「深淵」に向かう冒険。
自分の希望的な方向に行くことの方がむしろ少ないはずです。
理不尽なまでに自分の予想、いや、希望と呼ぶべきものとは反対の結果が次々と起きます。
つまり、度し難いのです、この物語は。
でも、だからこそ、本当の冒険なんだろうと、つくづく思うのです。


■「MYTH & ROID」のエンディングテーマの曲名が重要なヒント!?
{netabare}
「MYTH & ROID」の曲は、作品のテーマにちなんだタイトルをつけますよね。

例えば、「Re:ゼロ」の「STYX HELIX」。
これは、螺旋(輪廻の連想)と冥府の河(三途の川に相当)を組み合わせた造語です。
このタイトルによって、「Re:ゼロ」と言う物語そのものを表していました。

って、ことは、この作品も?ってことで、さっそく曲のタイトルを見ました。

『Endless Embrace』

直訳では「終わり無い抱擁」となるのでしょうか。
でも、この作品に限っては、どうしてもEmbraceの別の意味の方がしっくりきます。
それは、つまり、「終わり無い性交」です。

私の場合、この作品に対してはそのような印象を抱かざるを得ないのです。
それは、「性交」をどう解釈するかにあります。
私は次の世代へ生命を紡ぐ手段だと考えます。
そう考えると、『Endless Embrace』とは、生命が誕生して35億年、
そして、これからも続く生命誕生のドラマを表しているのではないかと思うのです。

「性交」は、女性が男性を受け入れて初めて成り立つものです。
そう考えると、Embraceの別の意味をつかって「終わり無い受け入れ」とも言えます。
ずっと続いてきた生命の営みとは、この「終わり無い受け入れ」の結果なのです。
その象徴が"アビス"なのではないかと思うのです。
{/netabare}

■物語の随所にちりばめられたヒント
{netabare}
私が"アビス"を終わり無い生命の営みそのものだと思うのには理由があります。
それは、やはり物語の随所にちりばめられたヒントがあるからです。

例えば、瀕死の主人公が助かったのは子宮を模した生命維持装置があったからです。
そして、不思議な力を宿した生命の白い笛は、女性器を模しています。
少なくとも私にはそう見えました。
セリフでも「官能的だ」と言っていましたのでたぶん間違っていないと思います。
また、物語の中では、「交尾」や「子ができる」等のセリフも登場します。

また、今期の準ヒロインである「ファプタ」。
彼女は、「成れ果て」達が住む村の中には入れないそうです。
なぜなら、その村はかつての母親の中だからです。
つまり、母親から生まれた子は、再び母親の中に帰ることはできないのだと言います。
これは、生命の根源的なことです。

と、ここまでの状況証拠を積み上げると、考えられるのは1つ。
"アビス"は、女性、特に「母親」を象徴しているのだろうと言うこと。

物語の中で言っていました。
"アビス"は、人々を引き付け、人々はその「深淵」と言うゴールを目指すと。
しかし、一方で、"アビス"は、そんな人々を簡単にゴールへは近づけまいとします。

これはまさしく生命の誕生のドラマがモチーフではないかと思えてしまうのです。

生命は、「母親」の中で誕生します。
だから、メイドインアビスなのです。

この物語の結末はまだ分かりません。
ですので、この解釈もはたしてあっているかどうかも分かりません。
いつも通りの私の勝手な解釈です。
でも、もしそうだったとしたら、この物語はとても面白いなと私は思うのです。

生命の誕生や営みを暗喩的にモチーフにした作品はいくつかあります。
でも、この作品は、恐らくそれらの作品の中でもひときわ傑作なのではと思うのです。
{/netabare}

■まとめ

この作品は、表面的には、度し難いぐらいにエグい冒険物語です。
しかし、物語について掘り下げるほどにとても深い意味を感じることができます。
それこそ、「深淵」、その意味が示す通り「物事の奥深さ」を感じられる物語です。

「深淵」とは、英語で"abyss"です。
これは面白いことに『悪魔の辞典』によると「進化の終着点」を示す言葉のようです。
すなわち人間の行き着く最後の未来を意味します。

この物語は、まだまだ続きます。
果たして、たどり着いた「深淵」にはなにがあるのか。
そこは、人間の「進化の終着点」なのか・・・。
それとも、人間の「永遠に続く生命の営み」なのか・・・。

物語の中では、よく人間の「成れ果て」が登場します。
そう考えると、「進化の終着点」と考えるのが自然な答え!?
と、思わせつつ・・・、
実は、真のテーマは、「永遠に続く生命の営み」だったら実に面白いなと思うのです。

生命は、「母親」の中で誕生します。
だから、メイドインアビスなのです。
そして、この物語は、主人公が「母親」を探す冒険です。
それは、つまり、生命誕生を探求する冒険でもあるのです。

そうやっていろいろ思いを巡らすと、ますますわくわくしてしまう作品なのです。

投稿 : 2023/10/26
閲覧 : 141
サンキュー:

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