「四畳半神話大系(TVアニメ動画)」

総合得点
88.7
感想・評価
2932
棚に入れた
13590
ランキング
101
★★★★☆ 4.0 (2932)
物語
4.1
作画
3.9
声優
4.0
音楽
3.8
キャラ
4.0

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ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

兎に角最後まで観ていただきたい。

原作は森見登美彦の小説「四畳半神話大系」(角川文庫)
アニメは2010年度文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で大賞を受賞。

京都市を舞台に大学3回生の男子学生が、1回生時に選んだサークルによって如何に
「薔薇色のキャンパスライフ」を送るかを描く。
魅力的な登場人物が多く登場し、1人1人がとても個性的である。特に私は小津が大変好みである。
キャラクター同士の会話のやり取りが秀逸だ。
サークルや組織も実に面白い(笑)
テンポも良く、どこか心地良い音楽も見所だ。
OP,EDも作品のイメージにマッチした曲である。
私は大変気に入ったので原作を購読したが、台詞が原作に大変忠実で、「私」を始めとした登場人物はひたすら早口で、簡潔に台詞を話すのである。ストーリー・作画に相まって、
シュールで私は大変好みであるが、好みが分かれる作品だろう。
本作は並行世界の要素が取り入れられており、登場人物は毎回殆ど変わらない。
しかし、前話との微妙な繋がりや伏線を張り巡らしながら、
複数の可能性を示唆し物語は進む。
3話くらいで飽きる人もいるだろうが、是非最後まで観て欲しい。

感想

本作は「もしもあの時こうしていたら」という人間の本質をリアルに突いている。しかし、退屈で平凡な日常や、誤っていたかもしれない選択も、見方次第でどうとでも取れるのだ。

そして、本作最大の感動ポイントである最終話。
この構成は、原作には無いアニメオリジナルである。
兎に角、今までの伏線を全て回収し、最高の結末へと上手く纏めている。これは非常に感動してもう一度頭から視聴しなおした程だ。

{netabare}
毎回登場していた、占いの老婆、老婆の、「好機は何時でもあなたの目の前にぶらさがってございます」という台詞、
モチグマン、カステラなどは、ストーリーの一貫性、統一性を示すキーポイントだったのだ。
「最後の四畳半主義者」、「四畳半の終わり」では主人公以外の人物は最後を除いて登場せず、主人公は日常の大切さ、
いままでのシミュレーションが実は平凡ながらも充実した楽しいものであったことを悟り、小津がとても恋しくなってしまう。
私も本作によって、日常の大切さ、貴重さに気付いた。
私は現在高校生だが、人生で一番充実しているといわれている現在は、まだその実感は無い。しかし卒業後はきっと高校時代が懐かしく、愛おしく感じるのだろう。
小津曰く「無意義な学生生活を力いっぱいエンジョイ」しようと思った。

「僕なりの愛ですよ。我々は運命の黒い糸で結ばれてるというわけです。」
「どうせあなたはどんな道を選んだって、今みたいな有様になっちまうんだ。いずれにせよ、僕はあなたに出会って全力であなたをダメにします。」
この小津の台詞はお気に入りだ。
不毛と思われた日常は実はとても豊穣な世界なのである。
{/netabare}

総評

好みが分かれる作品であるが、嵌る人は、どっぷりと嵌ることだろう。シュールで魅力的、そして高尚な笑いのセンスに溢れたストーリー・キャラクター・演出・伏線の回収は他作に類を見ない秀逸なものだ。
ノイタミナが生んだ傑作と言えよう。

投稿 : 2013/04/13
閲覧 : 338
サンキュー:

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