「Kanon カノン[京都アニメーション版](TVアニメ動画)」

総合得点
84.9
感想・評価
1831
棚に入れた
10348
ランキング
257
★★★★☆ 3.9 (1831)
物語
4.0
作画
3.8
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
3.9

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ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

良くできた設定とストーリーだが、キャラクターが特殊で引きも弱め

原作未プレイ。

主人公の相沢祐一(あいざわゆういち)は、家庭の事情により、北国に住む親戚の元で居候することになる。
昔は毎年訪れていたのにもかかわらず、7年ぶりに訪れた今回は、なぜか当時のことをほとんど思い出せずにいた。
いったい7年前に何があったのか?
雪の降る街で、雪が溶けるようにゆっくりと、忘れられていた記憶が呼び覚まされていく。


見所は、よくできたストーリーに、伏線の嵐。
何気ない一言ですら、後々の重要なヒントになっています。

キャラクターは良くも悪くも特徴的です。
祐一は、複数の少女たちと関わって、7年前の記憶を取り戻していくのですが、彼女たちが非常に子どもっぽいです。
設定上は高校生なのですが、どうみても小学生レベルの発言や行動。
祐一とは、親子ほどの精神年齢の差があるように感じられます。
正直、私は「狙った萌え」のようなものを感じて、キャラに感情移入が難しかったです。

ただ、子どもっぽいのには、ちゃんとした理由があるんですよね。
キャラクターの性格設定そのものが伏線となっています。
この辺は、萌え要素の需要とシリアスなストーリーを両立させるための、よく練られた設定だなと思いました。


構成の面では、1話1話の「引きの弱さ」が目立ちました。
ストーリーの区切りで1話が終わるのではなく、時間が来たからさあ次回、という印象です。
「あれ、そこで終わっちゃうの?」と何度も思いました。
「引き」で一気に視聴させる力がありません。

キャラクターや、物語の謎が解ける過程だけが頼りなので、まとめ見には向いてないと思います。
ただし、終盤は「引き」もまともになり、謎の解決や伏線の回収も加速するので、ぐいっと引き込まれますね。

ここまでは全体の流れの話。
場面場面を切り取った場合は、さすが京アニと言った感じで、丁寧な演出で魅せてくれます。
{netabare}
雪景色や小麦畑は美しいですし、真琴の話は演出とかみ合って涙が出てきました……。
{/netabare}
また、OPも綺麗ですし、音楽もGOOD!
ただ、シリアスな内容に対して、EDテーマがアップテンポな曲なので若干浮いていたかな?

そして忘れてはいけない曲は、タイトル通り「Kanon」です。
パッヘルベルのカノン、そこにこめられた意味。
物語のテーマにもなっています。
{netabare}
「同じ旋律を何度も繰り返しながら、少しずつ豊かに美しく和音が響き合うようになっていく」
「そんな風に、一見違いのない毎日を送りながら、でも少しずつ変わって行けたらいい」
{/netabare}
この言葉は好きです。

人生観を指した言葉ですが、たとえばあにこれのレビューを例に挙げても、こうやって一つ一つのレビューを積み重ねていけば、新しい発見、新しい切り口、文章の上達など、得るものはたくさんあると思います。


総評するなら、ストーリーや設定、重要な場面での演出は素晴らしい。
しかし、各話の引きの弱さや、登場人物の特殊さが目立ち、視聴中の人を惹きつけておく力に乏しい作品。

ただ、「観て損した」ということはないと思います。
あにこれでの人気作「CLANNAD」の基盤となった点もたくさんありますので、興味があったらどうぞ。

投稿 : 2013/05/28
閲覧 : 656
サンキュー:

51

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