STONE さんの感想・評価

5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態：観終わった

TVシリーズ未視聴者も、視聴済みの人もお勧め

　前編はTVシリーズの1〜8話を、後編は9〜12話をまとめたもので、ストーリー展開自体は
TVシリーズとまったく同じ。
　ただ映像、音のいずれも随分と変更されており、セリフも再アフレコしてあります。

　映像に関して。
　変更部分に関してTVシリーズと細かく比較検討したわけではないのですが、見滝原市の
背景がかなり細かくなってます。
　各魔法少女の変身シーンがより細かく、ていねいに描かれてます。それぞれのキャラに
合わせた感じの変更で、各キャラの印象をより強めている効果もあります。
　劇団イヌカレーの魔女の結界内映像、バトルシーンなどもリニューアルされていて、
いずれもパワーアップした感あり。
　あと総集編ということで、流れを良くするために変更された部分も多いかな。
　細かいところだと、佐倉杏子の食べている物がだいぶ変わっていたり、美樹さやかに髪
かざりが付いたり。
　全体的な印象では、前編が映画作品としてのエンターテイメント性を強めるための変更に
対して、後編はキャラの心情、行動をより強調するための演出上の変更という色合いを強く
感じました。

　音に関して。
　劇場で鑑賞したのですが、やはり劇場公開を意識して、かなり良くなっています。重低音の
響きなんかは劇場ならではの良さって感じ。
　TVシリーズで使用した既存曲もリニューアルされたものが多く、巴マミが死亡する前に
流れる"Credens Justitiam"は歌詞が付いたりしています。

　セリフに関して。
　若干のセリフ変更がありますが、基本的にはTVシリーズと同じ。
　印象としては感情表現が気持ち強くなったかなという感じがあります。
　あくまで個人的推察ですが、TVシリーズは役者さんが先の展開が判らないために手探りで
演技をしていた部分が、今回は全貌を知っているため、思いきり演技できたためかな、と
感じていますが。

　前編の感想。
　1〜8話の合計時間が、上映時間より長いため、多少せわしない感じはあります。
　ただ、この手の総集編作品は、はしょった感やブツ切れ感を強く感じることが多いの
ですが、この作品に関してはそれがあまり感じられなかった。この辺は編集が上手いのかな。
　8話までということで美樹さやかが魔女化するところがクライマックスですが、前述の
せわしなさも見方によっては畳み掛けるようにさやかに不幸が訪れるような印象になって
おり、よりさやかの絶望感を感じさせる感じがあります。
　ラストはTVシリーズと同じくKalafinaの"Magia"が流れますが、この曲こそ重低音が活きる
ような曲ゆえに、劇場で聴くと気持ちいい。フルヴァージョンというのも嬉しかった。

　後編の感想。
　こちらは尺的には9〜12話より上映時間が長いため、TVシリーズをより補完した
印象で、9〜12話の完全版と思っていいんじゃないかと思います。
　演出的には、より暁美ほむら、及びほむらのまどかへの思いを強めた感じ。
　他にはほむらと杏子のバトルシーンでは、より痛々しくなっていたり。

　TVシリーズの10話にあたる部分。ここはほむらの過去？回想回であるため(時間軸が違う
ために正確には過去じゃないですけど)、特殊な回ですが。これを1本の映画の中の流れに
うまくまとめるために大幅な映像変更があります。
　そしてこの部分の最後にはClariSの"コネクト"が。
　TVシリーズを観ていた人なら判ると思いますが、10話に限ってOP曲であるこの曲が
最後に流れ、10話を見ることでこの曲の歌詞が意味を持ってくるという部分であるため、
この曲をちゃんと持ってきてくれたことは凄く嬉しかった。
　加えてこの曲が流れている間のTVシリーズのOP映像にあたる部分も変更シーンがあり、
よりほむらの思いが強く感じられます。

　全体的な感想。
　やはり元の話がしっかりしているためか、総集編になっても、面白い映画作品として
ちゃんと成立しています。
　TVシリーズ未鑑賞の人は置いてきぼり感を感じずに1本の映画作品として楽しめるし、TV
シリーズを楽しんだ人も、変更部分を始め、ちゃんと楽しめる作品になっていると思います。