「Angel Beats!-エンジェルビーツ!(TVアニメ動画)」

総合得点
90.1
感想・評価
14633
棚に入れた
48152
ランキング
64
ネタバレ

ちゃんもり さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

2015改稿

久々に、過去に観たアニメを観返しキャンペーン中の
ちゃんもりです。

今回は「Angel Beats!」
2010年の作品ですね。
Kanon、Air、Clannad尚等、数々の感動作を
生み出した天才シナリオライター、麻枝准氏渾身の
アニメオリジナル脚本を岸誠二監督が見事に料理し、
たったの1クールでありながら大変お腹いっぱいな
笑いと感動をもたらしてくれました。

もう放送されてからかなりの年月が経ちましたが、
これを超える作品にはなかなかお目にかかれませんから、
日本の近代アニメ指折りの名作と言わざるを得ません。

以前に書いたレビューは放送からまだ日が浅く、
ネタバレになるような感想は極力控えましたが、
もうかなりの方が視聴されていると思いますので、
少し大胆に感想を述べ、このレビューを見られた方と
共有できればと思います。

まず、多くの方が「2クールでじっくりの方が感動できた」と
述べられていますが、私自身はこの作品は1クールで
正解だった、と判断します。
確かに登場キャラが多い割に掘り下げられたキャラは
数人止まりで、後半のジェットコースター展開でほとんど
一掃されてしまいましたから、そこら辺が不満な方も
多いと思います。
ですがどうでしょう。仮に2クールかけて、各名ありキャラの
人生の葛藤を1こずつ片付けて成仏させていったら?
最初の1,2キャラには感動できるでしょう。
ですが3人目、4人目と繰り返す度に感動は薄れ、
本作と同じ結末を迎えたとしても、ここまで大きな
カタルシスを得ることはないのではないでしょうか。

美味しいものはたまに食べるから良いのです。

実際、麻枝氏も「1クール」を念頭に置いて構成を組まれた
ようですし、伏線のちりばめ方、回収のタイミング等、
この13話という尺だからこそ、うまく機能しているのです。
ということで上記の件では私は肯定派です。

というわけで、ここからは盛大にネタバレ全開でいきますので
塞いでおきますね( ̄ー ̄)ニヤリッ

{netabare}
やはり本作の見どころは「演出」の素晴らしさ。
キャラ同士の細かな掛け合いのひとつひとつまで伏線として
機能し、ムダなシーンが何一つありません。
冒頭、音無がヒロインにいきなり刺されるシーンがもう
既に最重要伏線ですし、その後の1話後半でのガルデモの
ライブシーンの気合いの入りようを観たら、
「なるほど、学園ライブアニメか。最後は天使ちゃんも
仲間入りして感動のラストライブかな?」と
誰もがきれいにミスリードさせられてしまうこと請け合い。
まさかこの気合いの入ったライブシーンや劇中歌、タイトルそのものまで
ダブルミーニングの捨てごまだとは思うまい。

さらには3話で岩沢さんの消滅シーンで「天使との抗争の意味」を
視聴者に刷り込み、敵レッテルを貼った状態から今度は天地ちゃんの
孤独をクローズアップ。こんな状態から和解に進んだらそりゃもう
天使ちゃんにキュンキュンっすわ・.。*・.。*(〃´∀`)・.。*・.。*ポワワァン…
またこの辺り、中盤でも後の伏線となる描写が各所にありますが、
ギャグパートがハイレベルなところも本作の魅力のひとつ。
伏線など気にしないで楽しんでください(*´pq`)クスッ
その方が後半もっと楽しめるので。

そして記憶を取り戻した音無を通して、
「どんなに理不尽な人生でも生きることに意味はある」という
本作のメインテーマを感じ取ることができます。

10話ではあの名言「オレが結婚してやんよ!」を生み出し、
EDを観た視聴者を半数以上ガチ泣きに叩き込む。この時点で
10話がこのアニメのピークだと思った!ああ思ったさ!!

そこからキャラのNPC化が始まり、この世界の真相説明回。
この辺りの描写はたしかに説明不足感はありましたね。
しかし説明なしで物語を終えることはできないし、
そもそもそれがこのお話のメインテーマというわけでもないので
私はこの点も不満はありません。

そしてそして、最終話、「Grauetion」。最後に残された、
音無、日向、直井、ゆり、かなで(天使)の5人でしめやかな
卒業式。この時点ですっかり感情移入してしまっているこっちと
してはじんわりウルウルきてるわけですよ(´Д`。)グスン
閉式の辞を終え、名残惜しくも新しい人生へと旅立っていく
仲間たち。
最後に残った音無は、かなでを外に連れ出し、
「好きだ、この世界でこれからも一緒にいてほしい」と告白。
ここで今まで語られなかった、かなでの「人生の心残り」が
明かされます。それは、「自分に心臓をゆずって生きながらえ
させてくれたドナーの人にありがとうを言うこと」。
かなでは音無の気持ちを受け入れ、心から感謝の言葉を
言ってしまえば、この世界を去ってしまう。
思えば彼女が「天使」という立場で登場したことも彼女の
この世界での「動機」から視聴者の目をそらす隠れ蓑。
名ありキャラが全員苗字・もしくは名前だけの登場であることも
音無結弦(ゆづる)※ドナー(ゆずる)を文字っている※という
フルネームを終盤まで明かさない点を不自然に見せないための
カムフラージュ。
徹底してこのシーンまでのネタバレを抑え、尚且つ視聴者を
納得させる伏線を二重三重に張ってきた物語の構成には感服の一言。

最後のね、かなでの消え方がもう秀逸すぎます。
フツーね、ヒロインが消えちゃう!ってシーンだと
だんだん光になったり薄くなったりして引っ張るじゃないですか。

パッ

って消えちゃうんですよ、他のみんなと同じに。
今まで音無の胸に抱かれてたのに パッ て。
もうダム決壊だよ!!!。゜゜(´□`。)°゜。ウワァァァァァァン
必死に空気をかき抱く音無せつねぇぇぇぇぇぇぇ!!!

でもちゃんと、最後はちょっとした救済演出もあったりして、
ほろ苦いけど心が温まる素敵なエンドだったと思います。
{/netabare}

ストーリーや演出の感想ばかりになってしまいましたが、
これは勿論、キャラ設定が良かったり音楽がいい仕事してたり
風景作画が細やかだったり声優陣がみんな熱演だったからこそ
生まれる感動だったと思います。
何か一つ欠けていてもダメだった。
アニメを構成するすべての要素とそれに従事する方々が
「Angel Beats!」に愛を注いだ結果生まれた奇跡です。

まだ観ていない方には本当にウザいくらいに熱弁してでも
観てほしい作品のひとつです。
きっと、生きる力をもらえると思います。

6月にブルーレイボックスが発売されるようで、これは勿論買い。

また、4月からは麻枝氏脚本のTVアニメオリジナル作品第2弾、
「Charlott」が放送されるようです。
制作も本作と同じく、人物描写には定評のあるP.A.works。

まだ本作を観ていない方は、ちょうど観るのには良い
タイミングかもしれませんね(^―^)ニッコリ

投稿 : 2015/03/09
閲覧 : 231
サンキュー:

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