STONE さんの感想・評価

4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態：観終わった

妖怪との交流、そして人との交流

　原作は未読。
　ストーリー展開などの基本的部分は1期と変わらないが、1期が夏目と妖怪との交流が
主として描かれていたのに対して、本作は夏目と人との交流の比重が増えた感じ。
　クラスメイトの北本、西村との交流にしても、1期は学校で会話するぐらいの描写だった
のが、本作では校外でも一緒に過ごすことが増えたような感じで、付き合いが深くなった
ような印象。

　夏目の能力を知る者では、名取、田沼が1期以上に踏み込んだ仲になったようで、更に
本作より多軌が登場。妖怪に関する問題に対して、互いに助け合う関係で、一種の同志愛の
ようなものが感じられた。
　元々、夏目が孤独であった要因の一つは、自身の能力によるものであるため、その能力の
ことを隠さずに付き合える彼らは、夏目にとってかなり心強い仲間のように思える。逆に
言えば能力を知らない友人達に対しては、隠し事をしているような後ろめたさが随所に
感じられてしまうのだが。

　そして、夏目の養い手である藤原夫妻。
　養ってもらっているうえ、あちこちの親戚の家をたらい回しにされてきた過去もあってか、
夏目は藤原夫妻に対して非常に気を使っていたが、本作では自分の望むことを少しずつ出す
ようになってきた。
　これは夏目の藤原夫妻に対するある種の甘えであるが、それだけ家族らしくなってきた
ということで、夏目にとってここが自分のいるべき場所という認識が強くなったように
感じられた。

　人との交流に関して、元々孤独であった夏目だが、妖怪との交流を通して、他者との交流の
仕方を培い、それが人との交流にも反映されてきたのかな？という印象。
　また、以前は妖怪を恐れるだけで、その恐れる行為が妖怪を見えない人にとっては気味の
悪いものに写り、夏目を敬遠する理由の一つであったのだろうと思われるが。妖怪と交流する
ようになったことで、それが自分に危害を加えるような妖怪だったとしても、人前ではある
程度冷静な対応ができるようになったことも大きいかもしれない。

　こうして妖怪と人と、双方との交流を深めていく夏目だが、的場一門のように妖怪との
対等な交流を認めない存在が登場し、夏目自身も最終話において人と妖怪のいずれかを
取るのか選択を迫られることになる。
　ここで夏目は人と妖怪のいずれも大切な存在であるというスタンスを明確にするが、この
問題は今後も夏目を悩ませることになりそう。