「惡の華(TVアニメ動画)」

総合得点
65.0
感想・評価
1142
棚に入れた
4500
ランキング
3450
★★★★☆ 3.2 (1142)
物語
3.4
作画
3.0
声優
3.3
音楽
3.4
キャラ
3.2

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ネタバレ

チョビ髭 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

脱、萌えアニメ!?何故そう呼ばれた?

●動画が流れ始めた途端これまでの見慣れたアニメーションでは無い、と画期的/実験的なロトスコープで違和感
●トランペット+ピアノ+ドラム+シャウト気味なボーカル で奏でる不協和音を取り入れたOP
●広域録音という実写撮影時に録音した音響と、不安を掻き立てる低音での効果音
●『悪の華』(ボードレール著/堀口大學翻訳)愛好家演出で装飾された主人公の、ポピュリズムヒロインとファシズムヒロインとの間での悶え、思春期からくる閉鎖社会への絶望と無調和な解決へと向かう危うさ、が物語
●リコーダーの伴奏に短編の詩を朗読したかのようなボーカル、それに打ち込みとミクスチャーアレンジで曲として成立させたED
●「クソムシ」と毒突く作者の挿絵

【ボードレール、押見修造、両著作作共に未読】
全ての調和に否定と破壊を投げつける風体の本作が、アニメにおいて“萌えへのアンチテーゼ”と捉えられたのは、萌えヲタの勘違いかクソムシの自覚か、それとも他の者からの誹りかw

{netabare}視聴している間は期待に興奮しました。
漫画では、綺麗どころの2人のヒロインを物色する読者、の願望をうまく引き付けながら葛藤する主人公、というスタンスで展開されているらしいのですが、その片一方がこの仲村さん…。
エンディングに掛けても何かやってくれるのでは?という期待が強くありました。

2期を連想させる締めと成っていた為、結論は尚早かもしれませんが、ここまで拘った作品ならば最後は媒体への破壊があって然るべき。パンクロックでの楽器の破壊といったアレを期待していました。

自身が連想してたエンディングは、
ロトスコープ→アニメーション回帰→単純化されていくキャラ→声優演出の破棄→文体演出→象形文字→抽象2次→枕絵→
萌え仲村さんとのエロ展開(仲村2次、主人公3次、背景:混沌)相手は佐伯さんでも可。最終音声は動物の交尾の生音とかw

実際のエンディングは、
仲村さんとの甘美な犯罪行為→報い→永続的日常の中の悪。
これは、文学的結び表現への回帰かと思えました。しかしアニメ媒体にしてはインパクトに欠ける演出で、本当に2期が有るのか無いのか、その辺もあやふやなのでちょっと。

後は、ロトスコープ内でSF描写との融合がどこまでできるのかが気になりました。
悪の華の咲き乱れる中、夢遊するシチュエーション、ここは見せ場だったと思うのですが、私にはあまり面白味が感じられなかった事が残念です。

そうはいっても放送期間中、楽しませて頂いたのは確かです。
オリジナルアニメ的面白さと、ロトスコープのパイオニア性。
これってどうなの?どうなるの?という興味を持たせることが興行では大切な根幹ですので、そういった意味では成功作だと思います。

萌えアニメと称されるものが、キャラ萌え視聴者に媚を売る空気系、ということならこの作品はアンチテーゼと云えるかもしれません。又、統計アニメへのアンチテーゼとも云えるでしょう。
新たな表現方法を確立させるという興奮を、著作者、製作者共に楽しみつつ、視聴者にはストーリーと既成動画への反抗の両立を演じて見せた訳ですから。

『悪の華』は厨二病主人公を装い、既存のアニメーションとアニメへ墨を塗りたくる、そんな作品だったと思います。
パラダイムシフトを起こすほどの作品だったかどうかは、ちと疑問ですが、それでも全篇ロトスコープという新たな表現方法を提唱し、十分な可能性を示したと思います。

最後にこの作品が赤字か黒字かについては、多分赤字だろうと思います。
傑作と呼べるほど内容が面白かったとも演出が完成されていたとも思えません。
但し、果敢に挑戦する表現者はただそれだけでエンターテナー。{/netabare}
仲村さんは監督(長濱博史)で、作者(押見修造)が春日。

と、クソムシが申してます。

投稿 : 2013/08/30
閲覧 : 296
サンキュー:

8

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