「翠星のガルガンティア(TVアニメ動画)」

総合得点
88.0
感想・評価
2864
棚に入れた
14361
ランキング
134
★★★★☆ 3.9 (2864)
物語
4.0
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.9

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ネタバレ

かしろん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

虚淵玄という名の有効活用

【最終話まで見て】

あらすじ
{netabare}
少年は目を醒ました。人類銀河同盟軍対ヒディアーズ殲滅兵器チェインバー操縦者レド少尉。
人類銀河同盟軍は総力を掛けて、人類の敵、ヒディアーズの巣に奇襲をかける作戦を立てた。それを遂行するためだ。
巣を前にに大量のマシンキャリバーが陣形を整える。
かくして戦端は開かれるのだった。
{/netabare}

まどか☆マギカ、fate/zeroで知られる虚淵玄がシリーズ構成及び脚本を担当することで注目をされているオリジナルロボットアニメ。
キャラデザはエロマンガ家鳴子ハナハル。


以下感想{netabare}
2話まで見ての感想{netabare}
ロボット物、というより異世界交流ボーイ・ミーツ・ガール物と言ったほうがしっくりくる内容。
じっくり着実に一歩一歩階段を登るように丁寧に展開される。これくらい丁寧にやると説明が多くなり、その台詞がわざとらしくウザったく退屈に感じやすくなることが多いのだが、チェインバーとレドのちょっと間の抜けたやり取りなどでそれを行うことによって、あまりそうは感じないようになっている。
また、各話のヒキも次が気になる巧い作り。
さて、2話で圧倒的な力を見せて周りをドン引きさせて畏敬畏怖の対象となっちゃったわけだが、どう転がしてくれますやら。MJPみたく「うっひょー、すげぇ、俺らのヒーローだぜっ!」とはならないわなぁ。
1話冒頭で戦闘以外に全くの興味を抱いていないレドが変わっていく様を楽しみにしたいが、はてさて。{/netabare}

6話まで見ての感想追加{netabare}
ここまで非常に丁寧に一歩一歩階段を昇っている作り。シリーズ構成虚淵玄という名を有効活用してるなぁ、と。
1クールものでここまで丁寧に話を進めるとダルさが出てくるものなんだが、虚淵玄の名前が入ってることで
「わかってるぜ、虚淵さんよ。この丁寧な一歩一歩の上昇も、温かいガルガンティアの人たちの対応も、ジェットコースターで最頂点目指している途中なんだろ。高く高くゆ~っくり上り詰めて、一気に叩き落とすつもりだろ。」
と身構えながらその時を待てるわけだ。その時はいつくるやら。
さて、今昇っているその階段も丁寧で好感が持てる。上に書いたが、レドが変わっていく様が実に良い。
第一話で自由睡眠、自由飲食、及び生殖の自由が認められると聞いた時にも「どれも難しくてよく分からない」と言っていた彼が、6話では僅かだがエイミーに対して意識するような仕草をし始めた。
軍務時間145000時間、24時間365日で計算すれば16年半にもなる。ヒディアーズと戦うことが生きる意味だった彼がガルガンティアで見出す生きる意味。どんなものになるんだろうか。
戦い以外にそれを見つけていくと戦闘個体としてのチェインバーとの溝がどんどん広がっていくことになるわけで・・・
はてさて、今後が楽しみだ。{/netabare}

9話見ての感想追加{netabare}
とうとう虚淵玄が牙を向いた。いや、平常運転に移行したとでも言うべきか。
人間が戦ってきた訳の解らん敵の正体は人間でした、という有りがちなネタだった訳だが見せ方が巧い。あそこでMATSUMOTOさん型出して握り潰す(正確には掌レーザー?)って、もう、エグいなぁ。
だが、まぁ、ヒディアーズの正体はおまけ程度の話だ。
何にしろこの物語の肝はレドの変化だ。
公式HPによるとレドの年齢は16歳。上にも書いたが軍務時間145000時間ってことは生まれながらにして「敵を倒す」ことのみに生きてきたわけだ。
だから、ガルガンティアに来て間もないころのレドは敵である海賊に対して躊躇なく消滅という手段を使い、それに対して当たり前という反応をしてた。
だが、ガルガンティアで人と関わりを持ち、戦う以外のことを覚え、人類銀河同盟には無い共存共栄という言葉を学び、そこで生活をしてきた。
8話ではチェインバーの翻訳機無しでも会話が出来るようになり、別れの挨拶はその人々の風習である祈りで締めくくった。更には、「ただ倒すべき敵だから倒す」ではなく、「エイミーのことが好きだから守るためには倒さなければならない」という実に人間らしい目的意識が芽生えた訳だ。
そんなレドがヒディアーズの正体を知った時に口から漏れた言葉、
「ヒディアーズは下等生物じゃなかったのかっ」
なんと人間臭い言葉。完全な自己弁護。これまで、そして直前にやってきたことは大量殺人だったという事実に対する動揺。
海賊殺しても顔色一つ変えなかった戦闘の歯車とでも言うべき存在だった彼が、温かみのある人間となったことで得た苦しみ。
ここまでこれでもかとばかりに懇切丁寧にレドの成長物語として描かれてた内容が実に良く生かされた回だった。
しかし、チェインバーとの溝はやっぱ広がるだろうなぁ。
赤ちゃんヒディアーズに対して
「ヒディアーズのライフサイクルは不明な点が多い。貴重な情報である」
って言いながら焼き払うかよ。明らかにレドが動揺してんじゃん。
そうやって考えると、ガルガンティアでの生活の中で出産や生まれたての赤ん坊に触れるみたいなシナリオがあっても良かったかも。


ところで、感想外だが
クジライカって名前の生物を殺した自己弁護が上記の台詞って、某環境団体への強烈な皮肉だよねぇ・・・{/netabare}

物語:ロボット物として見てはダメ。異世界交流ボーイ・ミーツ・ガール、そして、主人公の成長物語。その成長物語が非常に懇切丁寧に描かれるため、人によってはダルさを感じるかも。
予想もつかない展開が次々と、というより、成長物語としてもSF戦闘物語としても王道的展開。そうきたかっ!そうだったのか!的な驚きは少ない。

作画:派手目な色使いでよく動いている。
が、風を感じれないのがいただけない。船上が舞台で、グライダーやカイトのように風を使う乗り物が出てくるのに、画面に風を感じないのだ。髪が風に踊ったり、それで視界が遮られるのを手で抑えたりという仕草をちょいちょい入れてやるだけでグッと良くなると思うだけに残念。
あと、もうちょいキャラの色を薄くしてほしいかも。女性陣の肩に色がついてツヤッツヤしてるのが気になる。
中盤以降の作画が息切れ気味だったのは残念。

声優:見始めは杉田智和のチェインバーに違和感があり喋るたびに苦笑してしまいそうになったが、レドとのちょっとずれた会話を楽しむのに最適だったと分かった。

音楽:OPを茅原実里、EDをChouChoが担当。両曲とも良い。
ED歌詞が良いので、ラストはこっちで締めてほしかった。

キャラ:レド、チェインバー、エイミーと主要キャラは十分立っている。サブキャラも分かりやすい。
{/netabare}

非常に細かなセリフを使ってレドの成長を示していく物語なので、ダラーッと流し見するには向かない内容。
多少食い足りない部分もあるが、十分に楽しめた。

投稿 : 2013/07/06
閲覧 : 346
サンキュー:

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