「惡の華(TVアニメ動画)」

総合得点
65.0
感想・評価
1142
棚に入れた
4500
ランキング
3450
★★★★☆ 3.2 (1142)
物語
3.4
作画
3.0
声優
3.3
音楽
3.4
キャラ
3.2

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ネタバレ

かしろん さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

不安定感と緊張感

【最終話までみて】

あらすじ{netabare}
春日高男は中学2年生。授業中にも読書に耽るほどの愛読家だ。
そんな彼には密かに思いを寄せる女子がいた。
同じクラスの佐伯奈々子。容姿端麗、成績優秀。
ただ、彼女の姿を目で追うことしか出来ない高男。
漫然と日々を過ごす中で、奈々子を思う気持ちは悶々と彼の中で積もっていくのだった。{/netabare}


漫画原作。未読。

なにがどうという訳ではないが、昔見た映画「リリィ・シュシュの全て」を思い出す・・・

合わない、と思っている人も、7話と10話だけでも見て欲しい。


感想{netabare}
何を描きたいかがこれだけ分かりやすいと有難い。
原作未読だけに内容はよく知らないのだが、日常破綻系で緊張感に溢れる作品なんだろう。
最終話までこれだけの緊張感、不安定感、背徳感、青春の閉塞感を感じさせれば大成功だ。
原作とキャラが違いすぎているらしいが、制作側はキャラの見た目云々よりも緊張感の有るストーリーを重視したってことなんだろう。
原作ファンには不評を買ってるようだが、原作未読の私にはこの絵面で大成功だと思う。

最終話だが、あの逆回しシーン、あのダイジェストシーン。両方良かった。
過去を振り返り、そして未来にどんな困難が待ち受けていたとしても仲村と居たい、という春日が自分の意志を初めて表に出したシーン。見事な締めくくりだった。


物語:極当たり前にある普通な日常が壊れて行く様を真綿で首を絞めるようにジワジワとした緊張感の中で綺麗に描かれている。
これ以上早いテンポだと見てる側は緊張する前に物語に追いつか無くてはならないのでパニック物になるし、これ以上遅いとダルくなる。非常に良いテンポで進行した。

作画:どんよりした雰囲気の写実的背景に、キャラはロトスコープを使った妙にリアルな動きをあえてカクカクで動かしあまり色を使わない平面的な画にするという実験的趣向。
 ・実写ドラマでやると現実で嘘をやるから
  嘘の白々しさが強く感じられる
 ・コテコテなアニメ絵でやると嘘で嘘をやるから
  ただただ嘘臭い
という風に考えると、ロトスコープを使ったリアルな動きをベタで平面的な画にしてリミテッドでカクカク動かし、その背景を写真のようなリアルにするというこの絵面は実にこの物語でやりたいことにあってると思う。
カクカクで動かすことで不安定感を出し、実写的背景とベタ塗りキャラを合わせることで実写の持つうそ臭さとアニメの持つうそ臭さ融合させることで良い雰囲気を醸し出せている。
ベタベタなアニメ画の仲村さんをアニメ的かわいいキャラでやっちゃうと、清純で綺麗な佐伯さんと小悪魔的に惑わす可愛い仲村さんの間で春日が迷ってるようにみえる安っぽい内容になりかねないしね。

声優:主人公の新人がなぁ。だんだんあのヘナヘナ具合が味にも感じられてきたが、いくらなんでもヘタ過ぎ。
まぁ、そんなことはどうでも良い。評価からも除く。
ヒロイン二人が良すぎる!
まず、仲村さんの伊瀬茉莉也が良すぎる!
ガンダムUCのロニ・ガーベイも良かったが、仲村の持つ狂気をここまで表現出来るのは凄い。7話のラストは彼女の演技があってこそ。
また、10話はヒロイン二人が凄い。日笠陽子と伊瀬茉莉也の演技は特筆モノ。ひよっちがここまでヤレる人だとは思わなかった。完全に見直した。
この物語や画が合わない、という人もこの10話だけでも見て欲しい。間違いなく一見の価値有り。

音楽:OP、EDの異質感が作品の持つ緊張感を助けている。
OPは4パターンとも歌詞が面白い。
EDのリズムは反則だよなぁ、と。バックで鳴り続ける心臓の鼓動のようなドンドンドンドンというリズムが終わりに近づくに連れてアップテンポになっていくという、普通なら落ち着いて行かなければならないEDで全く落ち着けないこの仕組は物語の余韻を残す役割を大きく果たしていると思う。
また、BGMも必要最低限。10話ではBGMが全く無い。劇中のノイズも雰囲気があってよい。

キャラ:主人公の性格付けが巧いなぁと思う。
1話で本を読まない級友を「お前にはボードレールは理解出来ないだろう」と上から目線で言うシーンが有る。これのお陰で彼が堕ちていきオロオロしている様を可哀想と思わずに、ヘタすれば「ザマァ」と思えてしまう。
が、ちょいと引いてみると、この程度の悪態や思いは誰しも一度は抱えたことがあるだろうって気付くわけで、彼の存在が決して特別なものじゃないと思えてくるのだ。
そうなってくると彼のオロオロ具合やどうにかしたくても何とも出来ない加減が身につまされるあるあるネタで描かれていくので緊張感が増していく。
いやはや、巧い。


惜しむべくは、アレやっちゃうと多分続きをアニメにはしないんだろうなぁ、と。
{/netabare}

投稿 : 2013/07/09
閲覧 : 311
サンキュー:

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