Kuphony さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
物語的弁証法へのPersuasion
物語
鳳凰院凶真が牧瀬紅莉栖と椎名まゆりが共存する世界に最後到達すると分かっている中、どのような過程を経るのか、ここが焦点でした。
ここはまどかと似ています。というのは、11,12話のまどか「絶望的世界からどのように逃れるのか」がテーマであり、結果が予期出来る中での方法論が重要であったからです。
そしてこの作品はその過程、物語的演出法が素晴らしかった。
α世界線→β世界線→Steins;Gate
対照的な世界、α世界線とβ世界線の対立に主人公を置き、最後の最後に第三の道を与える。こう書くとただの弁証法で面白みは感じられないのですが、物語で「AかBか?」という質問に「いや、Cがあるじゃないか」と答える場合は大概ご都合主義と批判を受けます。
しかし、この作品からはご都合主義感は感じられない。
それは一話があったからです。
22~24話で1話の謎に完璧に答え切りました。
その間の3~21話についても言及しますと、
作品内での時間の概念には大分苦労してる印象がありました。
簡単に言えば、「因果関係に支障をきたさないレベルで変化が起きる」(これはドラえもんと同じ)なのですが、作品の性質上しょうがない事ではあるが、α世界線上の並行世界とβ世界線上の並行世界をも共存させ(たようにみせた)てしまったがために、「世界線同士も並行してるのか」という疑問を抱かせる結果に。(というかα、βとあるならγもあるべき(ゲームではあるようです)。)
1%の壁という言葉を使えばまだ合理的な説明が出来たのですが、「椎名まゆりが死ぬα世界線」と「牧瀬紅莉栖が死ぬβ世界線」という二項対立が強調されたために、それぞれの世界線が本来であれば特に意味を持たないものであるという事が伝わっていなかったように思えます。
そんなのお構いなしに乗り切る力がこのアニメにはあったというのが最大の事実ですが。
個人的な事を書かせてもらうと、群像劇が大好きでして
例えばef、俺たちに翼はない、それにアニメ化はなされていないですが素晴らしき日々〜不連続存在〜というのは自分の中で傑作なんですね。
なぜ群像劇が好きかっていえば「一つの物語に執着しないから」。
Steins;Gateでは、このキービジュアル見れば分かるように、一人一人どこかで違うものを見ている。
そして、鳳凰院凶真が世界の全てをコントロールしながらも、それぞれのラボメンの事情に対し真摯に立ち向かうという姿が描かれているんですね。
そういう点で自分とマッチするアニメでした。
作画
全体としてはかなり写実的に描いていましたが、強調したい重要なシーンでは比喩的な表現もいれていて効果的に感じました。
冒険はしませんでしたが、常に安定していて物語を支えていたように思えます。
OP見たときは庵野監督みたいに電柱多用するのかなーと思っていたのですがそうでも無かった。
声優
花澤さんの使い方がうまいですね。
彼女の声は視聴者を惹きつける力があると同時に、
食傷気味になりやすい、という傾向があるので
癒し系で適度に喋るぐらいが一番効果的なんですよ。
音楽
志倉さんの曲は開始5秒で、「あ、志倉だ!」と分かるんですよ。
今回ももちろんそうでしたし、いい曲でした。
BGMはやはりテーマになっているgate of steinerが印象的。
キャラ
みながみなそれぞれ違った深みを持っていました。
キャラクターを多面的に書くというのは、
アニメではあまり見てきて無かったので新鮮。