ツキ さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
小津の魔法使い
TV放送時は独特な絵柄とまくし立てるように喋りまくる主人公がどうにも苦手で、雰囲気アニメと勝手に決めつけソッコーで一度は断念した作品。その後当サイトにてこの作品の投稿レビューを読ませて頂く内に興味を持つものの視聴機会がないまま日々を過ごしてきましたが…これは面白い。
苦手だった絵柄や語り口も本作を支える最大の魅力として存在感を放ちまくり、むしろこれ以上ないってほどにマッチ。パラレルワールドで展開される物語や最終話へと収束していく伏線もお見事。
何より、「もしあの時○○していれば」と後悔しつつもどの道を選択しても結果として迎える結末に差異がないっていう根本的な構成が斬新且つ非常に納得できるもの。
と言うのも、他作品でよく見かける「もしあの時○○していれば」といった場面って違う選択をしたらそれがさも正解であるような描き方が多くて納得出来なかったんですよね。別の選択をした場合でも失望するという可能性を排除してるようでどうにも腑に落ちない。
本作の構成を賛美したくなる自身の体験談があるのですが、私が通学した私立高は非常に校則が厳しく(バイト・携帯の持ち込み禁止は勿論、週一で30分早い登校が義務づけられ全くの中身のない集会をしつつも車の免許はOKという謎仕様)晴れて大学一回生となった時はそれはもう羽を伸ばし、伸ばしすぎて無駄に髪をサツマイモの如く赤く染め上げては授業はサボリまくり「パチスロ楽しー!」とかやってたら一回生前期の取得単位がまさかの2単位というゴミクズっぷりを披露(もちろん留年)、ドラ息子として親には大変迷惑を掛けた経験があるのですが、もしその時パチスロにのめり込んでなくても多分留年はしてたと思うんですよね。それだけ世の中には魅力的なものが沢山溢れていました。もろ言い訳ですがw
自身のかのような経験があったので本作のストーリー構成には大賛成。運命ってのは簡単に変えられないものだと思うのです。作中でどのサークルに入っても小津や他の登場人物達と巡り会うっていうのは輪廻的な部分も表しているなと感じました。
そういった感情移入に浸りつつも最終話では「なるほどそう纏めるか!」と納得させられて完全に脱帽。{netabare}私の一回生時の行動はどう捉えても<後悔>の一点ですが、語り手であり主人公の私はどうやらワタシとは違って青春を謳歌していたようですね。明石さんとお幸せに!{/netabare}