Ka-ZZ（★） さんの感想・評価

4.4
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

"愛"よりも昔、"孤悲（こい）"のものがたり。

この作品は、新海監督が初めて手掛けた恋の物語だそうです(wikiより）。

まず最初に作画の綺麗さ･･･緻密さ･･･という言葉では表現出来ない程のクオリティに圧倒されてしまいました(ﾟoﾟ;;　続いて、SEのクオリティも素晴らしいとしか言い様が無いくらい凄い事に気付きます。
作品の中で「雨」をテーマに取り上げて表現しているのですが、まるで自分の周りで雨が降っているような感覚さえ覚えてしまうようです。

そして、物語は雨の中から静かに始まります･･･
この作品の主人公は、高校1年生の秋月 孝雄（あきづき たかお）。彼は、雨の日の1次限目に授業をサボって庭園に立ち寄りました。そこで、昼間からビールを飲んでいる雪野 百香里（ゆきの ゆかり）に出会うのです。

季節は梅雨を迎え、何度か出会ううちに、出会いの場所が孝雄にとって自分の将来の夢に向かって努力を続ける場所、そして百香里がその時間を共有する･･･という構図が出来上がっていたように思います。決してお互いに干渉し過ぎる事もなく、お互いがお互いを気遣う･･･非日常的な空間なのですが、そこで流れる温かな時間に羨ましさを感じてしまいました^^;
梅雨なのに･･･雨音も聞こえるのに･･･空間が切り取られ二人だけの時間が過ぎている･･･きっとその当時、私自身がそのような空間に憧れがあったからかそう感じたのかもしれませんけど･･･^^;

そして、心地良いピアノの音色をバックに、2人の気持ちが動いていきます。

言いたくても言えない･･･いえ、言ってはいけない言葉があります。
それは自分の頭で十分分かっています。
でも、人の気持ちって四角四面に整理できるものじゃありません･･･
まして人を想う気持ちなら尚更です。
そして、口から発するのは自分の気持ちと裏腹な言葉だけ･･･
本当はこういう事が言いたいんじゃ無いのに･･･

恋の物語というだけあって、心情・言動・仕草のどれもが繊細に描写されており秀逸です。加えて、語りかけるような台詞と心地良い間が相まって、登場人物の気持ちが輪をかけて伝わってくるようでした。ラストは胸が熱くなって涙が溢れてしまいました･･･^^;

作画・音楽も良いのですが、入野自由さんと花澤香菜さんの演技も抜群でした^^　特に花澤さんは今回実年齢より年上の役を演じられましたが、透明さは変わらずに落ち着いたトーンで耳触りが物凄く良かったと感じました^^　これまでとは一味違う新たな魅力が発見できたと思っています♪

タイトルは「言の葉の庭」ですが、振り返ってみると作品の内容にピッタリだと感じました。このタイトルの所以も作中で明らかになります。約45分の作品ですが、非常に完成度の高い作品なので、また直ぐに視聴すると思います。
とても良い作品に巡り合えたと思いました^^