「AIR エアー(TVアニメ動画)」

総合得点
87.1
感想・評価
3343
棚に入れた
16517
ランキング
168
★★★★☆ 3.9 (3343)
物語
3.9
作画
3.7
声優
3.8
音楽
4.2
キャラ
3.7

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ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 5.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

その思いは、あの日から変わらず... いつまでも同じ夢を見る。

【更新履歴】
■文章訂正 7/20
■文章訂正 8/11 【紹介文とキャラクターデザインの文章を訂正】

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原作は美少女ゲームらしいです。

淡い感動物。
ファンタジー的な壮大な世界観が特徴的な作品です。

CLANNADが好きなので、「AIR」に興味を持ち、視聴してみました。
「key作品」特有の詩的な雰囲気を上手に醸し出せており、観ているだけで幻想的な気分になりました。どこかの絵本....いえ、絵画でしょうか....。そういう芸術的な物を観ているような気分になりました。

空を見上げる少女の虚ろな瞳は、とても可憐で、か弱く、そして本の少しだけ麗らかな印象を与えています。私はその少女を遠くから見守っているのでしょうか....。この作品を観ている感覚はそれに近いんですよね。

前半は、描写不足の部分が多く、キャラクターに感情移入出来なかったことから、あまり面白く感じませんでした。
しかし、後半から(第7話)盛り上がり、胸が一杯になる感動を覚え、そのまま絵本の中に吸い込まれるように、物語に引き込まれました。

ただ何人か描写不足のキャラがいて、少しだけ感情移入出来ない部分がありました。

しかしながら、住人や観鈴の掘り下げはできており、この二人を中心にした物語として見るなら、描写不足の点はあまり気にならないかもしれません。

後半と前半は繋がっており、後半で明らかになった物語は、前半で重要な部分です。そのため、後半を見ないと前半が理解しにくいです。

キャラデザは大きな目が特徴的ですが、この目はAIRの世界がファンタジーであることを示すためのものです。

人によって好みは分かれるとは思いますが、あのキャラデザあってのAIRです。
万が一、実写で描かれたとしたなら、ファンタジーなのか、リアルの世界なのか、かなり分かりにくくなったでしょう。
視聴者が、アニメ世界だと認識できるようにAIRのキャラクターの目は大きいのです。

この作品は、こういった世界観のシンボライズが上手く、キャラクターや物、台詞、歌、などを使って、ファンタジーであることを徹底的に表現しています。

テーマは家族の再生。キャラクターデザインとは違い、かなり重い内容に驚きました。
前半で描かれたエピソードは描写不足であまり感動できませんでしたが、後半は涙が溢れなそうほど、感動しました。
夏の太陽に照らされた儚げな花を観るような感覚。その花は凄く可憐で、心を寸鉄で裂かれるような感覚に襲われました。

音楽は、かなり幻想的で、心に訴えかけるものが強い歌詞でした。
特に鳥の詩の歌詞が素晴らしく、アニメの無いようにマッチしているだけでなく、その歌詞だけで感情が揺さぶられるほど、歌詞の表現の仕方が上手いです。
キャラは、変わった子が多いなぁと感じましたが、少しづつ慣れていきました。人によって苦手意識を持つ場合もあるので、幼く子供っぽいキャラクターが苦手な人はやめた方が良いでしょうね。




■家族の再生
{netabare}
観鈴と晴子の関係が徐々に普通の親子の関係になっていく。
この過程で描かれているのが、『家族の再生』です。
最初は、観鈴に対して距離をとっていた晴子が、住人が観鈴と出会ってから、徐々に観鈴と向き合うようになります。
最終的に、晴子は観鈴を自分の子供としてちゃんと受け入れようという覚悟を決めます。
また、11話で記憶を無くした観鈴が、お父さんに連れられて行くときに、記憶を思い出して、『お母さん』と晴子のことを呼ぶシーンで、『家族の再生』が強く描かれています。
イメージするなら、絵画で描き忘れられた人物を描き足すようなそんなイメージです。失われた何かを取り戻すようなとても感情が揺さぶられるテーマでした。

{/netabare}



■プレイヤーは父親になれない
{netabare}
ゲームのAIRになります。
元々ギャルゲーというのは、プレイヤーが父親になる、そのヒロインの彼氏になるというのが趣旨の内容です。
しかしながら、AIRでは、プレイヤーは父親になれません。
AIRでは、メインヒロインの観鈴のことを強く思うものの、壊れていく観鈴の事を見守っていくしかことしかできないのです。
これは、『君たちは父親にはなれない』というメッセージにもとれ、ギャルゲーというジャンルを根本的に否定するような内容に受け取れます。
それほどAIRというのは、ギリギリギャルゲーに収まるか収まらないかという境界線に位置する作品なのです。

{/netabare}

■翼人という壮大な設定(あくまで私の解釈です)
{netabare}
作中で登場する翼人というのは、かなりファンタジーチックな設定で、何代にも渡って、自分の経験した記憶を受け継いでいく翼の生えた人間と考えれば、分かりやすいです。

①親から子へ、記憶を受け継がせる
②そのうち、記憶が人間には収まらない量になっていく
③神奈と観鈴の関係

まぁ翼人設定に関しては、これだけ覚えとけば大丈夫です。

羽はその受け継がれた記憶で出来ており、もちろん、その記憶によって、自我が無くなる影響もありません。
自分自身が個人だということをしっかり認識できます。

作品を理解する上で

観鈴は翼人。
夢とは神奈の夢(悪夢)のこと。
住人は柳也の子孫。

↑これは基本的なことです。覚えてください。

神奈は観鈴ではありませんが 神奈が空にいて、観鈴がその記憶を受け取ってる存在と考える。

観鈴は神奈が転生した存在であるが、神奈の記憶は空に残り、観鈴は神奈の魂の上に新しい記憶が上書きされていると考えます。それで、翼人の記憶を受け取るために、観鈴は毎日睡眠時間中に記憶を受け取っています。

SUMMER編で、明らかになりましたが、神奈が僧達にかけられた呪いにより、柳也を失うという悪夢を見続けます。
それが観鈴の中に流れ込むたびに、観鈴は悪夢を見て、苦しむというわけです。

作中で言及されていた「翼人は人という器に収まらない」というのは、翼人の記憶が人の頭に収まらないという意味で、神奈が転生したとしても、転生した後は、翼人の記憶を全て受け取れずい大人になる前に必ず死んでしまいます。
羽から記憶が漏れ出し、それが頭の方へ行き、記憶が漏れ出し悲鳴を上げる...。
その為、観鈴が神奈の記憶を受け取る(夢を見る)度に、体が苦しくなったり、調子が悪くなったりします。
それに悪夢の記憶まであるのですから、尚更苦しいわけです。
そして、7話でもう記憶を受け取れない状態になり、観鈴の調子が急激に悪くなります。

7話で観鈴が救われたのは、柳也の代から住人の代まで受け継がれてきた人形が救われた理由の鍵を握っています。
柳也の子孫は、住人の代まで、神奈が転生した少女に会っていると考えます。
そうして、毎回救えなかったことを悔み、自分の魂を人形に埋め込むということをしてきました。
人形にこめられていた沢山の魂が、観鈴が受け取れる記憶の量を多くした。
それによって、観鈴は生き延びることが出来ました。

第11話で記憶が漏れ出したのは、予想にしか過ぎませんが、一気に記憶を受け取った為に対応しきれなかったのでしょう。
それで対応できるようになり、記憶が戻りました。
翼人の記憶を全て受け取れるようなった観鈴(神奈)は転生するために
「もうゴールしていいよね」と言い、死にました。

これで完全に転生出来るようになった観鈴(神奈)は、住人とともに、少し前に転生。
そうして、最後の二人の少年少女戻り、「彼らには過酷な日々を、そして、僕らには始まりを。」と言い、二人はどこかへ旅立っていった。



かなり壮大な設定です(笑)

AIRの批判される点としては、1クールだけのアニメでは、これを全て理解するのは難しいという点です。
そういう意味では1クールでは足りなかったでしょう。
{/netabare}

■総評

『CLANND』よりオタクに対して批判的な内容でしたが、明確に「ファンタジー作品」だということを示してくれているので、『CLANND』よりは「ファンタジー作品」だということが分かりやすいかったでしょう。
(例えばSUMMER編で翼人のことに触れられていたりだとか)
そういった意味では、AIRの方が優れています。
しかし、どう考えても1クールで収まりきれる内容ではなかったので、原作と比べる少し劣っています。
それに、前半のエピソードが描写不足で、薄っぺらく感じるので、そこはマイナス要素です。

観鈴と住人や『家族の再生』だけ見てみると綺麗に描けているので、そこだけを見るならば、かなり高評価です。
前半のエピソードも、感動させるのが目的でなく、翼人についての伏線を張ったり、観鈴や住人を掘り下げるためだったとしたら、描写不足が多いところも目を瞑れるかもしれません。
それでも、前半のチープだと思われた展開があるので、マイナスをつけておきます。

『家族の再生』についてはかなり感動できたので、世間一般の評価と折り合いをつけてこの評価です。

投稿 : 2014/08/11
閲覧 : 405

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