「ソードアート・オンライン(TVアニメ動画)」

総合得点
90.4
感想・評価
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ランキング
55
ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

演出の構成が問題

ラノベ原作。
成分:王道バトル ラブコメ

ラブコメ要素が多く、話の内容は重くなく
軽い内容なので中高生向けです。


■サバイバルものと、ファンタジーものの感想が入り乱れている。

1話目はサバイバル物として、クオリティがとても高かったです。

2話目以降はサバイバル要素が薄くなり、どちらかというとラブコメやバトル描写が多くなって、『サバイバル物』としては、この時点で失敗だと感じました。

もう少し詳細に書けば、誰が死ぬのか分からないサバイバルをするのではなく、色々な話を描いていましたね。

①三話に挙げられるような淡い感動もの
②サスペンスもの
③恋愛もの

このブレるにブレるストーリー。これは世界観を楽しんだり、アスナを中心にすると、良いエピソードだと思います。
しかし、サバイバル物として観た時に、「サバイバルしているの?」と聞かれると返答に迷いますよね。

サバイバルというと、コナンの某映画やカイジなど残酷なシーンも含まれる作品を思い浮かべると思います。本作はそれが薄いのです。


要するにこうです。
本作品は、サバイバルものではなく、ラブ要素や色々な要素を詰め込んだファンタジーであったからこそ、評価が分かれている。

評点はファンを作った点から、高めにつけています。名作だとは思っていません。良作の部類に入るでしょう。
なぜならば、完璧の作品であれば、冒頭をサバイバルもののようではなく、アスナとの出会いや違うものに変えるでしょう。そして、衝撃のあるシーンを次に描いて、先へ進めると思うのです。

この作品の欠点を挙げるのなら、「一話の演出」ではなくて、「演出の並べ方」でしょう。構成と言われる部分。ソードアートオンラインの原作では、ファンタジーだということを決定付けるような始まり方をしています。

原作では、各エピソードがバラバラだったので、繋ぎ合わせたところは評価しているのです。それでももうちょっと工夫して欲しかったですね。

≠サバイバルもの
=ファンタジー

印象を与える段階で、誤った作風を植え付けてしまったのではないでしょうか。
第一印象をサバイバルものとしてしまったことが一番の失敗だと思いますね。
第二期を観てもファンタジー要素が強いです。

サバイバルものとして観ている方の感想をいくつか拝見したことがあるのですよね。それは、どのようなものかというと、「ドラマが薄い。緊張感がない」などといった事で。
まさしくサバイバルゲームとして観ているような意見だと思えました。

本作を手直しするのなら、方法は二つあると思います。
①大幅にブラックなサバイバル要素を付け加える(サバイバルものへ変化)
②冒頭をファンタジー風に直す(ファンタジーものへ変化)
③冒頭をアスナと出会うものへ変更(恋愛ものへ変化)

私は二期の流れを見る限りだと②が良いと思います。

ソードアートオンラインを観てて思うことは、「何をしたいのか分からない、どこを目指したいのか分からない」ですね。
それは、色々な話を描きたいからである、と定義しても良いでしょう。

逆に、 まとまりを欠いた方向性が、評価を二分させている原因なのではないでしょうか?

※↓この先、演出の構成について色々(上と同じことを書いています)

もしも①を選べば、①にするための描写を描きますが、③をくっつけてこれます。②を持って来ればダークファンタジーになりますが。

※本作は一話に①を持ってきて、①の描写が少なくなってきたのですから、ダークファンタジーにはなれませんでした。

③を持って来れば、①はそれを掘り下げるものとして持ってこれますよね。②はそれを甘くする材料として持ってこれるはずです。

本作は、①を持ってきておいて、途中から②や③を持ってきたからよく分からなくなったのではないでしょうか?
冒頭を②(原作と同じ通り)にすれば、過去のエピソードとして①を描くことが出来て、①も付属することが出来たのではないでしょうか?


■ハーレム要素

ハーレム要素は蛇足だったかもしれませんね。
『アスナとの関係』を中心にして観れば、波瀾万丈で、なかなか面白いストーリーです。
ヒロインを紹介するように一人ずつと出会っていく。ハーレムだということは目立たないかもしれません。(エギルとクラインがいますから)
その時は気にならなくても、全員が揃うと、目立っていきます。

■さち

さちの心理状況を表現する場面が少なくて、感情移入は出来ませんでした。「ほろっ」と甘いエピソードではあるのですが。

エピソードを感動的にするのであれば、もう少し尺が欲しかったですね。

■ラブ要素

恋愛ものとして観ると、前半は関係性の掘り下げ(キリトとアスナの)として観ることが出来ます。
フェアリィダンス編の物語は、「アスナを取り戻すストーリー」だということから、とても感動的です。
前半と組み合わせることにより、アスナとの関係をもっと深く出来ています。

桃のように口の中に染み渡る甘さ加減。ちょっとだけ酸っぱい。そんなイメージです。


■主人公が異常に強い展開
これは、人によって好みが分かれます。主人公が強くても好まれている作品は諸刃の剣です。
少年漫画ではそういった作品も存在しますよね?

「バサッバサッ」と敵を倒していくのは、爽快感があって好まれています。

ですから、『とある魔術の禁書目録』などでも、こういった展開が好まれているので、エンターテイメントの一つとしては、別に構わないのです。

確実に、それを需要としている視聴者はいるので。


あと、私はこう思うのですよね。
キリトが作中で最強なのかといえば、そうではないと思います。
私は、ライバルの登場が遅いと思いますね。茅場晶彦の登場は遅すぎますから。

二期で登場する{netabare} ユウキ{/netabare}はキリトを倒していますが、あのキャラクターは斬新でしたよね。最強クラスではあるが、そうではないと思います。



■アインクラッド編の問題点まとめ。

①問題は前述した演出の構成。(某「コナンの映画」の演出をそのまま持ってきたかのようなアレ。最初に持ってくるべきではなかった。)

②それと、ハーレム要素です。(一部の視聴者には好評なので必要なのかもしれませんね。商業的に考えると。)

③加えて、さちの話も描写不足が目立ちましたよね。

④キリトがサブキャラクターを助ける動機。それが不足していました。

■ご都合主義

これにはあまり触れたくなかったのですが、私の意見を書いておきます。
一期で視聴者の「茅場への憎しみ」を徐々に高めていきました。
その感情を爆発させるのであれば、あそこで茅場を倒すのは妥当ですよね。

問題はやり方です。私は体力バーをゼロになるまで減らしたのも良い演出だと思います。
そこから、逆転するのも良い演出だと思います。大げさにすることで視聴者の感情を煽ることが出来ますから。

それでも、私はあの展開はご都合主義であったことに同意です。何が違うかといえば、あれをシステムバグにしてしまえば良かったのではないかというところですね。
画面に文字を表記して、説明臭いシーンは入れないで。オンラインゲームでも、「システムバグが発生しました」といった表記はありますからね。

これは私の脚本案であるので、色々と考え方があると思いますけれどね。

体力バーをゼロにせず、大逆転するという手もあります。
しかし、私はその演出が好きではありません。
それでは茅場の強さが薄れてしまいます。
ゼロする方が、「引き」を生み出すことが出来て、一旦視聴者の目を引くことが出来ます。

別にそれが全てだとは言っていませんが。
アニメ会社の立場でどう面白くするのか、考えてみます。アニメ化された際は、原作が発売された状態ですよね?

その状態だと、画面に「システムバグ」と表記してしまうのは、一番しっくりする気がするのですよね。

■フェアリィ・ダンス編

フェアリィ・ダンス編では、リーファの過去がちゃんと描かれていて、感情移入しやすかったです。ドラマを掘り下げることがちゃんと出来ていました。
強引なハーレム展開は少なく、何が描きたいかもはっきりしていましたね。『アインクラッド編』よりは評価が高いです。

サブヒロインのエピソードを挟まずに、しっかりとメインストーリーを中心に描いてくれています。ヒロインを使って、無理やり人気を取りに行こうといった感じはしないです。
無駄なシーンが少ないことから、アインクラッド編よりも好みでした。

特にキリトが倒れて復活するシーン。
『ネットで最強だったのは自分自身のおごりだったのか』のかと感じ取る様。
あそこはキリトが苦痛を伴うシーンですよね。
それが深いドラマを生み出してて良かったです。

あそこが盛り上がるシーンの一つで、 今まで無敵だったキリトが初めて倒れます。
倒れた事によって、初めて敗北を知ったキリト。
キリトが再びアスナを救うために立ち上がるシーンは、今まで無敵だった為に、とても新鮮で深みのあるシーンなのです。

それからの戦いは怒涛の展開が繰り広げられます。唐突に終わったアインクラッド編。それに比べて、ラスボスもはっきりしているので、かなり燃える事が出来ました。

それなので、アインクラッド編よりもフェアリィ・ダンス編の方が評価は高くしておきます。


■ 総評 

まとめると。

「アスナとの関係」を中心に観ると、他のサブキャラクターとは違って、基本的な描写は出来ているので、面白いです。ほんのりと甘味のあるファンタジーっぽさがあって、私は好きですね。
後は、主人公無双が好きな方にもおすすめですね。とても「スカっ」とするシーンが多いので。

ただし、『サバイバル物』として観ると、生ぬるいシーンが多いのでおすすめしませんね。サブヒロインとの物語も描写が短くて、淡い感動しか得られません。

そういった意味では、「アスナとの関係」と「物語に最低限必要不可欠な部分以外」は蛇足かもしれませんね。
ですが、それはアインクラッド編の割合がほとんどです。フェアリィ・ダンス編は蛇足と呼べるシーンは少なかったです。
フェアリィ・ダンス編は無駄なシーンを省き、メインストーリーを中心に話を進めているからです。
しかも、アインクラッド編よりも胸が熱くなる展開が用意されています。それなので、フェアリィ・ダンス編の方が評価は高いです

■テーマって

最初はネット恋愛を強調するつもりが無かったのかもしれません。
しかし、最終的にそうなってしまったのかもしれませんね。
{netabare}
フェアリィ・ダンス編では、キリトがアスナを取り戻すため、必死に努力していました。
この描き方だと、この作品が描きたいことは『ネット恋愛』になると思います。

アインクラッド編のラストでも、キリトが『アスナァァァ』と叫びます。(ベットが目覚めるシーンもそうですが)
他にも、アスナとゲーム上で結婚して、いちゃいちゃする展開をじっくりと描いていました。
これだけ「アスナとの関係」を掘り下げている。しかも、後半でアスナを取り戻す物語になる。
それを踏まえれば、テーマはネット恋愛になると思うのです。
{/netabare}

投稿 : 2014/12/25
閲覧 : 335

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