おなべ さんの感想・評価

4.2
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態：観終わった

これが、シンクロ！！

OVA創世記に発売された作品。
宇宙から襲来してきた謎の異星侵略者・クトゥルフと、地球を守るために宇宙からやって来た人造人間・イクサー1との熱い熾烈な戦いを描いています。

この時期のOVA作品で一途に感じる事は、製作者の作りたいものや実験したいことをアレコレ詰め込み、兎に角OVAなんだから出来る事を持て余す事なくやっていること。
美少女戦士のアクションや萌え要素、超巨大スーパーメカバトルの特撮要素、グロテスクなクリーチャー、強敵のライバル、等これでもか！という位多彩的要素が詰め込まれています。いや〜、素晴らしい！１つの作品でこれだけの要素が楽しめるなんて、贅沢三昧です。ただ…{netabare} ロボットに乗る時、パートナーが全裸になるのは些かどうかと（笑）本当にやりたいことやってるなあ。イクサー１が渚に選んだ服もどうにかならなかったのか。 {/netabare}

全3巻、短いストーリーでありながらこれだけの要素を”設定だけ”で終わらせる事なく多彩に生かして物語を展開させています。スタッフの高い技量が感じられます。人間が搭乗する艦隊が敵に一瞬の内に破壊されたり、人があっさり死ぬ場面があったり、冷静に見るとかなりシビアで重い話なんですが、重苦しさや窮屈さはあまり感じる事なくわりとフツーに見れるのが不思議です。

ストーリーとしてはガッツリ王道を行きます。起承転結もハッキリしており、裏を掻いたような捻った内容はないです。イクサー１がパートナーとして選んだ地球人、渚と共に宇宙侵略者から地球を守る為、イクサー１は戦う！地球人渚とイクサー１の間に徐々に芽生える絆（若干百合成分もあります）も見所でしょう。
さながら熱い展開を見せてくれて、手に汗を握ります。わけがわからなくなる謎展開に進む事はなく、きちんとしたオチもあるので安心して見る事が出来ます。
この王道具合がかえって新鮮で、気持ちが良かったです。最後の切なさを漂わせる終わり方もニクい。



ちょいちょいお色気やグロテスクな場面が目立つので万人受けはしないかもしれません。最近のアニメと比較すると少々物足りなさや余韻の少なさがあると思いますが、今では出来そうもない演出をとくと見せてくれます。作りたい物を作ったぞ！と言わんばかりの製作者陣の熱い、情熱やパワーを作品全体から感じられました。
音楽担当をしているのは1970年代に特撮作品を多く手掛けた渡辺宙明氏。特撮好きな方は一見の価値ありですよ。