STONE さんの感想・評価

4.5
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態：観終わった

「日常」とは・・・

　原作は未読。
　シュールなショートネタが多く、ボケっぱなしのネタが
多い。ツッコミというのはある意味、笑いのタイミングを
教えてくれるようなところがあるので、自分で笑いどころを
探す必要がある。
　そういう意味では人を選ぶ笑いで、好き嫌いが別れそう。
個人的には非常に好きだったのですが。

　前半では、ゆっこ、みお、麻衣の女子高生3人を中心とした
時定高校を中心とした日常と、はかせ、なの、阪本さんの東雲
研究所を中心とした日常が主に描かれる。この二つの間には
接点がないのだが、ネタとネタとの間に時折何気ない日常の
情景が描かれる。この情景が、まったく別個の存在のように
描かれる時定高校と東雲研究所も同じ時間軸で同じ世界に存在
していることを示唆しているようで、両者の橋渡しのような
印象を与える。
　作品の折り返し地点で、なのが時定高校へ通うことになり、
両者に接点が生まれる。それに伴って、それまでのショート
ネタからストーリーものとしての側面が強くなっていくが、
面白いのは東雲研究所とはあまり関係のないような、囲碁
サッカー部や桜井先生と高崎先生の関係などもストーリーが
動き始める。これは作品全体が終盤に向かって加速度を付けた
ような印象で、なかなかいい流れであった。
　ストーリー性が増すことで、ネタの質も変わっていく。
前半が各キャラの個性がネタに繋がっていたのに対して、
後半は個性的なキャラ同士が接点を持つことで生まれる化学
反応のようなものがネタになっていた印象。
　後半における、それまでばらばらだったキャラがどんどん
繋がっていくような過程はジグソーパズルのピースが一つ一つ
埋まっていくような気持ちよさがあった。
　終盤に至っては結構感動するような話が多くなり、この辺は
単なるギャグものでは終わらせない制作側の心意気を感じる。
　最後は大きな締めも無く終わったが、日常って延々と続いて
いくものだから、これでいい。

　そのタイトルの「日常」だが、作品の内容に対して、
あまりにも平凡な「日常」というタイトル。
　当初は、「視聴する側にとっては非日常的な光景も、作中の
キャラ達にとってはこれが日常」と受け取っていた。
　それはそれで間違っていないのだろうが、非現実的なネタ
ばかりでなく、現実世界の「日常」にも起こりうるような
ネタも多かった。
　作品世界の「日常」は面白くおかしなことの連続で
あったが、現実世界の「日常」も、「受け止め方や捉え方で
充分面白いものになる」と言われているような感じがあった。

　作画に関して、無駄に力が入っているような描写が多く、
その無駄さ加減がまた笑いに繋がっていく。
　あと笑いうんぬんは別にして、一種の演出実験とも思える
ような描写も多く、その辺もなかなか興味深かった。