「ユリ熊嵐(TVアニメ動画)」

総合得点
63.3
感想・評価
536
棚に入れた
2347
ランキング
4331
★★★★☆ 3.5 (536)
物語
3.4
作画
3.6
声優
3.5
音楽
3.6
キャラ
3.5

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

おぬごん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

思ったよりは分かりやすかった

「少女革命ウテナ」「輪るピングドラム」で知られる幾原邦彦監督の最新作

イクニ監督の作品ということでかなり身構えていたが、最初の数話は予想通りの難解さと唐突さ
百合、クマによる捕食というともすればドロドロにもグログロにもなりそうな表のテーマを、
ポップでキャッチーな絵柄や演出、OPのネットリ嘆美なエロさでカバーしつつ、
全体的には「つまりどういうことだってばよ…?」という感じにまとめていく様はまさにイクニ作品だなあ、と思っていた

しかしこの作品は1クールでしっかりと、繰り返し強調してテーマを描いてくれたので、
終わってみればかなり分かりやすくすっきりとした作品であると感じた
ワンパターンな展開になりすぎないよう過去編を挟みつつストーリーを進める構成は非常に洗練されていた

以下、作品のテーマに関するネタバレ
{netabare}
人とクマ、そしてその間にある断絶の壁は、克服することができない価値観のメタファー

人はまず、クマという価値観の異なる「他者」の排除の名の下に結束する
次にその和を乱そうとする、空気の読めない者を「悪」として排除し、結束を深める
ではクマという「他者」が排除されたとき、どうやって結束を保つか…無理矢理にでも「悪」を作りだし、排除しようとする
そこで描かれていたのは、世の中で「いじめ」と呼ばれるものそのものだった

では、価値観の異なる「他者」を愛することは「悪」なのか
作品中では「好きを諦めない」という言葉が繰り返される
世間にとっての善悪など関係なく、自分自身の気持ちを貫き通すことの尊さが強調されているのだ
そして作品終盤で、「他者」に自分の価値観を押しつけるのではなく、自分の価値観を捨てて「他者」の中に入り込んでいく主人公・紅羽の姿が描かれている
まあ要するに、価値観の違う相手と付き合う時には、相手に理解してもらおうとするだけじゃなく、自分から相手を理解していくことが大事だよ~ということだ

上記の自己と他者の関係は身近ないじめ問題もそうだし、宗教対立のような大きなものにも当てはまる
作品のラストで「好きを諦めない」「自ら他者に入り込んでいく」紅羽の姿が、人々の心に少なからず変化を与えた…というラストが描かれたのは印象的だった
{/netabare}

キャラクターはメイン3人が良くも悪くも普通で、やや弱かったかな~という印象
音楽は極めて特徴的なOPを含めいい感じ

キャスティングは、これも幾原監督の特徴だが、メイン3人に若手が起用されていてややパワー不足だったかな~という印象
ピングドラムみたいに2クールあれば、作品の中でキャストの成長が望めるんでしょうけどね~
ただ脇を固めていたキャスト、特に悠木碧のエロい演技は素晴らしかった!


イクニ作品らしく、ややキャッチーでぶっ飛んだ作品だが、
作品のテーマ自体は普遍的で割と分かりやすく作られているので、
「ウテナ」や「ピングドラム」よりは気軽に楽しめるのでは

投稿 : 2015/04/07
閲覧 : 257
サンキュー:

13

ユリ熊嵐のレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
ユリ熊嵐のレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

おぬごんが他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ