「夏色キセキ(TVアニメ動画)」

総合得点
68.8
感想・評価
1000
棚に入れた
4409
ランキング
1932
★★★★☆ 3.5 (1000)
物語
3.4
作画
3.4
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.6

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ネタバレ

スーパースラッガー さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ファンタスティックでちょっぴり切ない、少女たちの夏休みストーリー

突然ですが、私がアニメ作品を視聴するきっかけは、大きく次の四つに分けられます。

①もともと原作(小説・漫画等)が好きで、ファンとして待望のアニメ化ということで、放映前から期待して視聴開始するケース。
②テレビやネット、雑誌等で作品情報を得て、ストーリーやキャラ、原作者や製作スタッフや話題性などで視聴開始するケース。
③原作ではない漫画(アニメから漫画化したコミカライズ)を読んで興味を持ち、映像ソフトや動画サイト、テレビの再放送を視聴するケース。
④リサイクルショップでフィギュアを見て(あるいは入手し)、「ところでこれ何のアニメキャラ?」と作品に興味を持ち、視聴するケース。

③④などはちょっと変化球かもしれませんが、実は私がアニメを視聴するきっかけとしては、わりとポピュラーなケースであります。
今回レビューを書く『夏色キセキ』はまさに③のケースで、古本屋さんで「安くて、全巻揃っていて、しかも面白そうな漫画ないかなあ」と探していてたまたま出会ったものでした。
たしか400円で買った全3巻セット(実にいい買い物でした)でしたが、面白くてあっという間に読了しました・・・そして本に「アニメのコミカライズ」と書いてあったことから、本編を観たいと思っていたら、あらあらなんと、BS11で再放送(昨年秋クール)するという情報が!・・・まさに渡りに舟、まさしく運命的出会い(大げさ? 笑)、出会うべくして出会った作品だったのかもしれませんね。
ちなみにこのコミカライズ版は、アニメ本編の補完的な内容も含んでいるので、本編を視聴して気に入られた方はぜひ読まれることをお勧めします☆
絵柄はアニメとちょっとだけ違いますが、こちらもとてもかわいい感じで◎です^^

さて本題、作品のレビューにいきます(いつも前置き長くてすみません!)。

物語は、伊豆半島の下田(江戸時代にペリーが黒船で来航したということで、歴史の授業で誰でも一度は耳にする、あの下田ですね)に住む4人の中学生の女の子(逢沢夏海・水越紗季・花木優香・環凛子)が体験する、ファンタスティックでちょっぴり切ない夏休みのストーリーです。
下田は、実は数年前(でも「夏色キセキ」はまだ影も形もない頃で残念!)に旅行で行ったことがあって、とてもステキな街という思い出があります・・・その下田が舞台というだけでも興味津々でしたね。

ずっと仲良しで過ごしてきた4人の女の子たちの一人・紗季が、夏休みを最後に東京に転校するという情報を突然聞いたほかの3人が「えっ、なんで!」「どうして言ってくれなかったの?」と驚くところから物語は動き出します。
仲良し4人組がもうすぐ(物理的に)バラバラになってしまうということが前提でお話が進んでいくので、最終回の到達点は当然予想がつく(紗季との別れ)のですが、それまでの間にこの4人にどんなイベントがあって、どんな思い出を作っていくのかというところが見どころになります。
そういう意味では、お話のつくりは非常にシンプルだともいえます。

{netabare} 凛子の家である神社の境内にある「御石様」という、願い事をかなえてくれるという大きな石のパワーによって、4人はいろいろな体験をします。
ぎくしゃくしたり、友情を深めあったり、目標に向かってがんばったり、かわいらしい恋の話もあったり・・・そういった中学生の日常の出来事の中に、御石様の不思議な力がいろんな形でかかわってきます。
もちろん、いつでも彼女たちの願いを願ったようにかなえてくれるわけではなく、うまくいかないことも多いです(まあ、そこが面白いわけですが)。
もし、御石様のパワーで紗季の転校がなくなってしまう展開だとしたら、ちゃんちゃらおかしいご都合主義的作品としてかなり評価は下がってしまうと思います・・・普通では考えられないような願い事もいろいろとかなえられる中で、絶対にどうにもならないこともあるという厳然としたものも、しっかり打ち出しているところはよかったです。
そして、4人は最後に御石様の不思議な力に頼るのを自分たちからやめます・・・この締めは、それぞれの新しい明日を自分たちで切り開いていく決意が表れているように思えて、青春もののラストとして実によくできていたのではないかと思います。
最後に切ない別れ(それでも、物語の後半で紗季の引っ越し先の島に行って、島の子どもたちと交流したことで、単なる「悲しい別れ」というニュアンスは若干弱まりましたが)があるという前提がありながらも、本編の雰囲気は全体的に快活で楽しい青春ものといった感じで、笑えるところとシリアスなところのバランスやメリハリも実に絶妙だと思います。{/netabare}

また、メインの4人の女の子たちは中学生ということもあり、ある程度の年齢以上の視聴者からみれば「オイちょっと待て、なんだよそれ!」というような幼稚で直情的な言動、非常識な振る舞いも多々あります(もちろんそのままではなく、彼女たちはお話の中で少しずつ成長します)が、逆にそういうところをきちんと描いている本作には「虚構の中のリアリティ」を感じます。
私にとって中学時代は、古いアルバムの中に隠れた思い出になってしまいましたが(元ネタわかる方だけ笑ってやってください♪ 苦笑)、4人の女の子のドタバタや失敗、生き生きと動き回る姿を観ていると、ほんの一瞬だけあの頃の輝き(いや、そんなに輝いてませんでしたね・・・涙)を取り戻せるような気持ちになりました。
ですから本作は、現在進行形の中学生諸君が観れば、いろいろと同世代の共感を持ちながら楽しく視聴できると思いますが、いっぽうで過去に中学生だった大人の方々が観て、ノスタルジックな思いに静かにひたるという味わい方も十分ありだと思います。

ところで、この作品は大人気声優ユニット「スフィア」(寿美菜子さん・高垣彩陽さん・戸松遥さん・豊崎愛生さん)が、メインキャラの4人の女の子の声を当てているということで、そういった話題性もあります。
私はとくにスフィアの大ファンというわけではありませんが(CDは何枚か持ってます)、メンバーの声優さんたちが活躍するアニメ作品はいろいろと観ているので、みなさんが一堂に集結してメインキャラの声を務めるというのはそれだけで興味がわきました。
メイン登場人物の4人の女の子のビジュアルも、声を当てるそれぞれの声優さんのイメージを元に作られたらしいです・・・なるほど、そう言われてみればそんな感じがしますね^^
でも、スフィア全員をずらりと揃えたということだけに注目して本作を評価しまうのは、非常にもったいないことだと私は思います。
スフィアファンの方はメンバー全員がメインキャラのCVに勢揃いしたという、まさに奇跡のような幸せを味わいながら物語の良さを味わい、またとりたててそうでない方は物語の良さにどっぷりはまりながら、スフィアのみなさんの声優としての演技力の高さ{netabare}(第4話で人格が入れ替わったときの演技はさすがの一言!){/netabare}も味わう・・・本作は、そういったぜいたくな楽しみ方が可能な作品ではないかと私は思います。

レビューを書いていたら、また下田に行きたくなってしまいました・・・でも遠いので、なかなか行けないですね(涙)。
行きたくても行けないもやもやが出てきたら、『夏色キセキ』を観てなつかしんだり、行ったつもりになったりしようと思います^^

追記:
挿入歌で、フォークソング界のレジェンド・吉田拓郎さんの往年の名曲『夏休み』と、ジャパニーズロックのパイオニアである故・大瀧詠一さんのソロ曲『空飛ぶくじら』(知る人ぞ知る?名曲)がのカバーが聴けたのは、その時代の音楽が大好きな私にとっては予期せぬご褒美でしたね☆
これは制作スタッフさんの趣味でしょうか・・・実にナイスなセンスですね♪

投稿 : 2015/04/18
閲覧 : 326
サンキュー:

8

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