「夜ノヤッターマン(TVアニメ動画)」

総合得点
64.6
感想・評価
696
棚に入れた
3331
ランキング
3649
★★★★☆ 3.5 (696)
物語
3.3
作画
3.5
声優
3.6
音楽
3.5
キャラ
3.6

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

昭和の名作を逆用してみせた、タツノコの意欲作。中盤評価難しいが悪くは無い

70年代末の名作「ヤッターマン」を、タツノコプロが再構築。
善悪逆転の意外性に富んだ設定と展開は、かなり見所ありました。
視聴者側の背景(世代やアニメに対する視聴姿勢など)により、評価や見方が大きく変わりそうです。

先入観にとらわれず、素直に視聴してみる価値はありそうです。
…本作レビューの前に、まず元祖ヤッターマンについて多少述べます。

{netabare}『物語』
…まず、元祖のヤッターマンとは。
子供向けの、ギャグ要素の強い勧善懲悪ヒーロー物です。
悪のドロンボー一味が「ドクロストーン」というお宝狙う→メカ作ったりして悪さする→正義のヤッターマン登場!→メカやアクションでバトル!→負けたドロンボー一味敗走、ドクロベエ様(ラスボス)にお仕置きされちゃう。
基本ギャグでシリアス感は皆無、ワンパターンでお約束の連続。
※この王道パターンは後のアニメにも踏襲されており「ポケットモンスター」も元ネタはヤッターマンでしょう。
ロケット団→ドロンボー(ムサシ、ドロンジョ。ニャース、ボヤッキーか。)
ピカチュウ→ドクロストーン(狙われるポジ)兼ヤッターワン(サトシの切り札でもあるので)
サトシ達→ヤッターマン
にピッタリと当て嵌まりますので。ロケット団がやたらメカ作るのもドロンボーのリスペクトかと。
※ヤッターマンあまり知らない方は、ポケモン連想してみて下さい。
上記の通り、ポケモン(初代の方)が正にヤッターマンのパターンそのものなので、イメージし易いかと。

…と、夜ノヤッターマンから話題が逸れましたが。
本作は上記「ヤッターマン」のイメージをバックボーンにしつつ、全く異なる設定と展開で驚かせてくれました。
このヤッターマンのイメージ(子供向けのお気楽な勧善懲悪)からすると、序盤の善悪逆転と過酷なディストピアのシリアス展開にまずビックリ。
幼く健気で可愛いドロンジョちゃん(9歳!)が母と死別、理不尽なヤッターマンの圧政に立ち向かう!
序盤のシリアス感とワクワク感では、2015年冬アニメでも随一でした。

ここからガンちゃんとアルエットと出逢って仲間に。
…タツノコ作品ある程度知っている人ならば、即座に二人の素性というか背景が推測出来ます。
この時点で、(本当に敵はヤッターマンなのか?)と疑惑が…
ただしこれはメタ読みなので、あえて忘れて視聴継続しました。
レパード(ドロンジョちゃん)とアルエットとの交流や、レパードのガンちゃんへの淡い想い…も、少しずつ描かれていて良い感じ。

5話以降、ヤッターマンの圧政によるディストピアっぷりを見せつけられつつ、ややギャグめいた展開に。
ここら辺の評価は迷うところ。
原典リスペクトが多々見られるのは嬉しい所でもあるし、しかし序盤のシリアス感とチグハグな感じもするし…。
個々のエピソードは5~9話まで、悪くはないです。
ギャグはイマイチですが、それぞれにテーマはあったです。
ヘタレなガンちゃんが着実に成長していく過程もしっかり描かれてましたし。

全体の雰囲気としては、かなり危険な状況でも、ドロンジョちゃん一味はしぶとく生き残るであろう安心感ありました。
ここが、シリアス感台無しと見るか、シリアスとコミカルの融合と見るか?
私的には、特に悪くは無いと思った。

終盤は怒涛の展開、ゴロー将軍の正体や、真の悪が誰であったかの真相、ここから一気呵成に勝負決める流れは爽快感あり!
…ここも、唐突過ぎると見ると評価低そうです。
往年のタツノコ作品らしいノリと勢いとして、好意的に見ました。

総じて
序盤と終盤だけ見ればかなり良し、中盤ダメと見るか、こういう作風と見るか?
個々のエピソードは良かったのですが、全編通すと終盤の勢いが唐突に思える。
面白かったのですが、そこはやや惜しいかな~と思いました。
ギャグは、昭和的な長期放送を前提にした作風であって、1クールアニメには合っていない面も。
でも、終始シリアスだと苦しいし、難しいところですね…。


『作画』
ドロンジョちゃんが可愛いです。やっぱり幼女は最高だぜ!
タツノコプロのお家芸たるメカアクションも存分に活きてました。
終盤のアクションは、流石はタツノコ!
…使い回しに対して苦言も多い模様ですが。
私は、ここは評価下げる要因とは思わんです。
表現技法の一環でしょう。要所で魅せてくれればいい。
ヌルヌル動くべき場面でちゃんと映像美見せてくれたので、十分でしょう。

『声優』
新生ドロンボー一味が非常にハマリ役でした。
喜多村英梨さんの幼女女王様は素晴らしい。素晴らしいのですが、ベストマッチかと言われると些かイメージ違う感も。
ボヤッキーの平田広明さんのイケボぶりも素晴らしい。平田さんが一番合ってました。
三宅健太さんのトンズラーもハマリ役。
実質的に主人公格であったガンちゃんの吉野裕行さんも、気弱から成長していく好演でした。

ドクロベエ様のホリさんが、本職で無いにも関わらず、かなりのハマリ役でビックリ。

『音楽』
主題歌は中々熱い良曲ではあるのですが、完璧な主題歌かどうかは微妙。
BGМは中々。

『キャラ』
9歳の幼女ドロンジョ様かわいい。
健気で優しく強い良い子でした。子供らしさとカリスマ両立した、新世代のドロンジョ様に相応しい。

ボヤッキーはご先祖よりも超イケメンになってましたw
トンズラーも、ガンちゃんの師として男らしかった。
オダ様も、ドロンボー一味には外せません。
アルエットは癒し枠の美少女であったが、盲目設定は危険な逃避行でかなり無理があったような。
逆に見ると、アルエットが結構余裕っぽい事が、全般に安心感に繋がってたのかも。
ガンちゃんは、実は主人公格でした。本作は彼の成長物語。

ゲストキャラも、往年のタツノコアニメの人気キャラ多くて嬉しいところ。
ここも馴染みあるか否かで評価割れそうです。

ゴロー将軍の正体は…
良き敵にして良き男であった。が、一人芝居な感じが少ししてしまうのは、中盤の脚本の為かも。

ラスボスはまさかのあのお方!
実に迷惑にして邪悪な存在であるなぁ…

全般にキャラクターは魅力的なのですが。
元ネタ知ってること前提な部分も大きい気がしました。


【ここから完全に余談】近年の傾向、オマージュ
本作は「ヤッターマン」という作品の知名度を前提にして成り立ってますが、近年他にも
「WIXOSS(ウィクロス)」「結城友奈は勇者である」が「魔法少女まどかマギカ」を強く意識させる作風であったり
「異能バトルは日常系の中で」が異能バトル系や日常系に対する視聴者(読者)の先入観を逆手に取った内容
「冴えない彼女の育て方」も、視聴者が過去大量に萌えヒロインを見てきた前提から入り、これを覆して見せた。
他にも一部のロボットアニメや、「旦那が何を言っているか分からない件」などなど、視聴者が過去の有名作知っている事を活かした作劇がちらほら見られます。
これらも、アニメを長く観てきた受け手側の意識の変化を突いてきてるような気がします。
…奇策ばかりでもダメですが、たまには面白いです。{/netabare}

投稿 : 2015/06/12
閲覧 : 360
サンキュー:

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