「極黒のブリュンヒルデ(TVアニメ動画)」

総合得点
79.3
感想・評価
1733
棚に入れた
9691
ランキング
498
★★★★☆ 3.6 (1733)
物語
3.5
作画
3.5
声優
3.7
音楽
3.5
キャラ
3.8

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ホントにもったいない

 原作は未読。
 メインヒロインの黒羽 寧子を筆頭に魔法使いと呼ばれる少女達が登場するが、その実体は
改造手術で生み出されたもので、更にその能力も超能力といった方が相応しいようなもの。
 いわゆるファンタジー系魔法もののテイストはなく、SF系の異能バトルものといった方が
良さそうな内容。
 異能バトルもの自体は数多くの作品があるが、多くが善と悪の対決を主軸に置いているのに
対して、本作は一種の逃亡劇であることがこの作品の個性を特徴づけている感じ。
 単なる逃亡劇であるなら、できるだけ身を隠しておけばいいのだが、ここで活きてくるのが
鎮死剤を服用しないと死んでしまうという設定で、主人公サイドが能動的に動かざるを得ない
状況をうまいこと作っている。
 更にタイムリミットが生み出す緊張感も面白みに拍車を掛けている感じ。

 序盤からテンポ良く、個人的にはかなりグイグイ引っ張られたが、それでいて駆け足という
感じがせず、ていねいに描かれている印象。
 内容的にもバトル要素だけでなく、純愛、エロ、グロ、ギャグといった様々な要素を同居
させつつ、それでいてちゃんと一定のカラーをちゃんと保っているのは見事だが、この辺は
ストーリーの出来がいいのと、演出が上手いんだろうなと思わせる。
 更に多彩に思われる要素も、いずれも根底には魔法使い達の辿ってきた道、死の影に怯える
恐怖とそれに抗おうとする必死さといったような哀しみがあるのも大きいような。
 例えば序盤における寧子の九九や漢字を知らない部分も笑い所として描かれているが、それは
まともに教育を受ける機会がなかった境遇を示唆しているものだし、
カズミ・シュリーレンツァウアーのやたらとエロい発言も、生きているうちに性体験をして
おきたいがためのものだと思える。
 それだけに魔法使いが学校生活をエンジョイしている様は本当に幸せそうに見えるし、
彼女達の生への渇望は尊いものに感じられる。

 キャラもなかなか魅力的で、ヒロイン達もそうだが、印象的だったのは主人公である
村上 良太。
 自身は魔法使いではないが、敵に対しては能力の劣る魔法使い達をまとめあげて、
連携プレイで能力が上の敵を倒すという名参謀振りを見せてくれる。
 更に逃げてきた魔法使い達の面倒を見るという、年に似合わずやけに生活力の高いところも
頼もしい部分で、メタ的にはツッコミ役としてもなかなかいい味を出している。
 ツッコミと言えば、俗にラッキースケベと呼ばれる事象に遭遇した場合の男性主人公は、
それが不可抗力なものであるにも関わらず、ヒロインに攻められるというのが一種のお約束と
化している印象があるが、逆にヒロインをたしなめるキャラというのも珍しいような。

 ここまでほめちぎってしまったが、それは中盤までの印象。
 終盤になってから駆け足の展開で、まるでダイジェストを観ているような感じ。
 広げた話を無理矢理畳もうとしているような印象で、未回収の伏線、唐突に出てくる
キャラ、いい加減な設定など、とにかく雑な印象が目立つ。
 最後の方は鷹鳥 小鳥、カスミといった主要キャラが次々と死んでいく。いずれも魅力的な
キャラであったし、主要キャラであるゆえにそれなりに愛着も湧いていたために、その死は
悲しかったが、それ以上に感じたのは話を締めようとして慌てて片付けたような無理矢理感。
 この終盤に関しては当初2クールの予定がいきなり1クールに変更になったとか、何らかの
事情があったのかと邪推してしまうぐらい、それまでとはテンポ感や緻密さが異なる。
 途中まではかなり個人的評価が高かったが、「終わりよければすべてよし」の真逆をやられた
感じで、本当にもったいないと思える作品でした。

投稿 : 2015/06/22
閲覧 : 336
サンキュー:

9

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