「CLANNAD AFTER STORY-クラナド アフターストーリー(TVアニメ動画)」

総合得点
92.4
感想・評価
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棚に入れた
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ランキング
22
ネタバレ

ダレイオス さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

見た人は何かを感じるアニメだと思う。

2期は朋也が3年生2学期からスタートするのですが
序盤はスロースターターですね。
1期はわりといい感じで終わったのにリセットされたのごとく
普通な日常から始まります。
KEYアニメ独特の寒いギャグを中心に笑いに走ってますね。
KEYアニメの野球のシーンはギャグなんだろうけど
素人の女の子のいるチームに打たれる甲子園出場投手とか
展開が荒唐無稽で悪ノリも目立つプレイなので
人によっては拒否感がありそうなど、個人的には楽しめたけど
人には面白いとは勧めにくい出たしです。

ストーリー的にも8話までは今までサブキャラだったキャラの個別回なので
1期のファンや原作ゲームファンならメインキャラを見るのが目的な人が殆どなので
サブキャラを掘り下げられても嬉しいと思う人はあんまりいないかも・・・
と考えらせられる構成ですね。
KEYアニメの無理やりなギャグが中心なシナリオ展開もあって
個人的には楽しめたが
ハッキリ言ってKEYアニメのギャグは個人の好みによるでしょう。
ギャグのネタが優れているとかネタに切れがあるタイプではないので
人を選ぶように見えました。
あと主人公側と無関係なキャラは悪く描きすぎるかな
サッカー部の扱いがかなり悪いと感じました。
悪人に描かれるのはいいとしても
この人達が反省したりする展開や悪い人だけどそれなりにプライドがあり
信念があってそうなっているキャラならいいけど
そんなフォローもなく
主人公側を立たせるために対立する人を擁護不可能な悪人に描くのは
チョット浅はかな展開でしょうね。

と8話までは1期に比べると話の質もいまひとつでスロースターターな気はしました。
しかしこのイマイチさは後半に向けての布石だったんですね。
朋也が高校を卒業してからは作風がガラリと変わりますね。
卒業するのだから今まで一緒だったメンバーとはお別れとなり
渚以外の女の子はあまり出なくなり
朋也と渚にスポットがあてられ本ストーリーのメインとなるこの2人のキャラが
しっかりと掘り下げられるので感情移入しやすくなります。
このアニメは朋也と渚の物語だったんですね。
ギャルゲー原作ながら他のメインキャラを2期で掘り下げなかったのは
ハーレム的な雰囲気を出さないためだったのかとこの時に悟りました。
結果的には正解でしょう、無理にメインキャラを掘り下げなかったおかげて
すんなりと退場を受け入れることが出来ました。

ストーリーも朋也が学生から社会人への成長が描かれるので
まじめな社会派アニメに変貌する。
まず卒業するも就職先を決めていなかったのは問題と言えば問題ですが
駄目な人間なりに考えた結果、渚の家の手伝いをし
仕事することを覚え、そしてさらに考えた結果
みんなに悪いと思い自立することを決意し本当の就職先を探す
流れとしては中々、これが人間の成長ではないでしょうか上手く描けていると思います。
簡単に見つかるのはおかしいということで、1期で登場したキャラのコネではあるが
就職出来たことには違和感はないですね。
これであの電気工事士のキャラが生かされるのだから上手い流れではあります。

就職してからが主ですね。
アパートを借りて一人住まいをして朝、彼女である渚に朝食を作ってもらい仕事に出かける。
そして返って来たら夕食を作ってもらう
たったこれだけのことだけど、愛する人に支えられるのは素晴らしい事だ
個人的にはこういった描写は凄くいい。
電気工事士の仕事も主人公が先輩の言うことをよく聞き
成長していく姿は視聴者も感情移入しやすく
色々勉強して社会人となる描写は上手く出来ていて感心してしまいました。
特に大切な約束よりも仕事のミスをしたのを直すのを優先させた朋也は仕事の大切さを
よく表現出来ていて、大人なら関心させられる内容だと思います。

そうした積み重ねをして新しい家庭を手に入れ幸せを手に入れる。
文字で書くとたいしたことではないのだけど
映像で見ると心に響いてくるんですよね。

実写ドラマならよくある展開かもしれませんが
テレビアニメでこの展開は今まであるのかな?と考えたりもするので
まず誰しもがやらない展開を上手く描写し映像として
感心出来る内容をやりとげたのは素直に良いと思いました。

しかし、誰しもがいい話だなと感じるのはここまですね。

※重要なネタバレ注意

{netabare} ここまでやたら冬体調を崩すなどの渚の病気のフラグを立てていたので
何か嫌な予感はしてましたがやっぱりですね。
何も起きないのは逆におかしいぐらいなので予定調和なんだろうけど
うーん、ですね。
言いたくはないけど渚の死亡する展開はついに来たか・・・でした。

ここからの展開は確かに視聴者に何を問いかける人間ドラマになっていて
渚の死から色々なドラマがみられるんですね。
正直視聴者的には素直に感動出来る人もいれば、朋也許せないと感じる人もいるでしょう。
そういう話の作りになっているので賛否両論になると思います。
朋也が愛する人を亡くしてから駄目な人間になってしまうので
中々歓迎しにくい作りになっています。
そんな、もやもやとした感情を抱きながら見てしまわざるえないので
確かに朋也の改心のシーンや汐との和解のシーンはかなりいい話にはなっているんですが
感動するなと思いつつも色々考えてしまう。
ただ駄目な人間が改心するまでの構成はかなり良かったと思います。
早苗と秋生が仕組んだ旅行で朋也の改心や汐との和解のシーンは
過程がかなり丁寧で段階を上手く踏んで感動シーンまで持っていくので
駄目な人間が自らの駄目さに気付き反省をし前進をする
物語になっており普通に感動は出来ると思います。

ただ渚の死は意味があったとは思うのですが
汐のあの展開は流石にないかな~と思いました。
見ていて悪い意味で辛かった。
そして最後の展開も人生はやり直しがきかないからこそまじめに生きて
後悔もし悔いが残ることもあるけど、それでも立ち直り
前向きに生きていくという誰しもが受け入れなければならない
現実があるのだけど、それに反する展開なのでいくら、幻想世界の少女と人形で
伏線を張っていたのかもしれないけど
起こった事をなかったことにする展開は抵抗があるんですよね。
それを含めて人間ドラマなので・・・
汐のあの展開の必要性と起こった事をなかったことにする必要はあったのかと・・・

しかしテーマ性は感じました。
人間、普通に結婚して、普通な家庭を手に入れ、普通に生活することが
どれだけ難易度が高いことかを問いかけたアニメだとは思うんですよね。
駄目な人間を見てきた人が自分もそうならないように考えたけど
自分も駄目な人間になってしまう
自分だけはそうならないと思ってもそうなってしまう所を
見せたかったのは理解出来ました。
生きていくのは難しいということなのでしょう。
自分だけは絶対にそうならないと自信がある人には向きませんが
ある程度生きていくことの難しさに理解がある人には共感を感じることが
出来る内容だとは思いました。
見た人は何かを感じるアニメだとは思います。
何も感じないという人はまずいないのではないかと考えてしまうほど
何かを問いかけたストーリーの作りだった。
高校卒業して、仕事して、結婚して、その過程で起こるさまざまなドラマは見もの
それを見て視聴者が何を感じるのかは人それぞれだと思う。
それだけ人間ドラマとしては見所はあります。

気になる所は個人的に好意的に見れない主人公側以外のキャラが多いのが問題
ストーリーは凄いのだけど主人公側以外のキャラが・・・でした。
サッカー部のキャラは考えた人はサッカー部に何か恨みでもあるのかと思ってしまいました。
渚が勤めているファミレスの客が絶対こんな人はいないとはいいませんが
常識的に考えてありえないことをしていたので
ここまで主人公側以外のキャラを徹底して悪くみせるのは
逆に好意的には見れません。悪人のキャラ作りはさじ加減はあまりよくなかったと思う。
その分逆に主人公側のキャラはかなりいいんですよね。
早苗の汐に対しての教育の考えとかは中々考え深いものがあったりで
凄くいい人に見えて素敵な人でした。
育児放棄をした朋也に対しても早苗と秋生は怒りもせず汐を
暖かく送り出した渚の両親は涙ものでかなり、かなりいいキャラになっていて
主人公側のキャラは主人公を除いては凄く良かった。
しかし主人公側は良く見せて、そうでないキャラは徹底的に悪く見せるのは
厳しいがキャラの評価はあまり高くは出来ないかな
どうも引っかかりますね。
主人公側は徹底的にいい人で主人公側以外はどうしようもない悪人が多いのは・・・
個人的には1期に比べるとキャラはかなり人を選ぶと思う。{/netabare}

作画については1期に比べるとキャラの作画面の質はやや落ちたかな
1期の場合は作画が合うかどうかの問題で綺麗だったのですが
2期には1期に比べるとキャラの作画の乱れが気になるかな
もちろん2008年の作品なので当時としてはかなり良い方だし
演出面はかなり良くて物語を盛り上げていたし
感動場面はこの演出があってこそだと思います。
背景も綺麗なので凄くいいんですけど
1期によりもキャラの作画の質が落ちると気になりますね。

声優さんは1期同様に満足ですね。演技力はありました。
感動シーンでは演技力がないと浮いてしまうことがあるのですが
感情は伝わってきたし、ギャグのシーンやそうでないシーンの
切り替えも上手くてかなり良かったです。

音楽は1期よりもいい曲が感動的場面で流れていて雰囲気は盛り上げていたし
個人的には1期よりも好きだし素直にいいと思いました。
2期は音楽は5でいいですね。

後編へ向けての布石とはいえ序盤は人を選ぶ内容かな
個人的には楽しめましたが相変わらずKEYアニメのギャグは人を選ぶと思う。
9話以降は人間完璧でないからこそ生まれる人間ドラマは良い部分も悪い部分も
含めて意味のあるドラマはありました。その点は評価出来ます。
ただ聖人君子の主人公でない問題点もあるので1期よりもかなり人を選ぶ作風になってます。
泣かせる過程もしっかりしており単に1場面で泣かせようとせず
きっちりとした段階を踏んで、それがあるからこそ感動シーンで泣ける作りになっているので
中盤から後半にかけての構成はかなり良かった。
だからこそ最後の展開が・・・ですね。
そのため物語の評価も9話から15話までなら物語5でいいと思いましたけど
全体を通すと物語4ですね。
個人的には瞬間的には2期の方がいい場面はかなりありましたが2期は序盤が微妙で
全体を通せば万人向けの1期のストーリー方が良かったかな面白さも安定してましたし
でも2期の方も良いアニメだとは思います。
おそらくは感動にファンタジー要素や奇跡的要素が強い1期と
現実世界に揉まれてから生まれる感動の2期の違いもあるでしょう。
こればっかりは好みでしょう。

投稿 : 2015/09/03
閲覧 : 664
サンキュー:

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