「ソードアート・オンライン(TVアニメ動画)」

総合得点
90.4
感想・評価
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棚に入れた
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ランキング
55
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ゲーム世界・現実世界の双方向で、時間軸を意識しつつ描かれる主人公&ヒロイン達の感情の交差が秀逸

本作は放送当時を含めて既に4周ほどしていますが、やはり何回見ても面白く感じてしまいます

◆総評

(1) アインクラッド(SAO)編・フェアリィダンス(ALO)編とも、展開が早く、全然マンネリ化せず退屈しない点で、本当に原作者およびシナリオ担当者の力量は凄いと思いました。

(2) このジャンルの作品に付き物のバトルシーンの描かれ方が良いだけでなく、本作の場合はそれ以上に、主人公とヒロイン達の感情の交差の描写が素晴らしく、その点にこそ本作の魅力があるのだと思いました(つまり、《バトル系》作品としてのみならず、《感情描写系》作品としても名作と呼べるレベルである、ということ)。

(3) ただし、敵役が{netabare}ストーカー属性の小物{/netabare}ばかりという設定(ALO編だけでなく、SAO編の一部や、続編のSAOIIのGGO編でも同じ)は、もう少し何とか出来なかったのか、という疑問が残り、ここでかなり個人的評価を落としてしまいました
(※本作の個人評価を4.5に留めた理由。これがなければ、他の《感情描写系》の名作と同じく4.6以上を付けていたのですが、非常に残念)


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

============ ソードアート・オンライン (2012年7-12月) =============

{netabare} - - - - アインクラッド編、 OP「crossing field」、ED「ユメセカイ」- - - -

第1話 剣の世界 ☆ SAO正式サービス開始~異変
第2話 ビーター ★ アスナとの出遭い、第1層ボス戦
第3話 赤鼻のトナカイ ★★★ サチ回(心に刻まれる深い傷)、ここから面白くなる
第4話 黒の剣士 ★ シリカ回(妹の面影)、レッド・プレイヤー
第5話 圏内事件 ☆ アスナ再登場(血盟騎士団副団長)
第6話 幻の復讐者 ☆ 殺人ギルド(ラフィン・コフィン)初登場、結婚システム初出
第7話 心の温度  ★ リズ回、クリスタル・インゴット探し、刀剣造り
第8話 黒と白の剣舞 ☆ アスナの手料理、決闘(対クラディール(アスナの護衛))
第9話 青眼の悪魔 ★★ 第74層ボス戦、二刀流初出、アスナ→キリト惚れ
第10話 紅の殺意 ★★ 決闘(対ヒースクリフ騎士団長)、アスナとの婚約、元護衛のクズさは×
第11話 朝露の少女 ☆ アスナと2人の休暇、ユイとの出遭い
第12話 ユイの心 ☆ 第90層クラスのモンスター登場、ユイ消滅の安直さは×
第13話 奈落の淵 ★★ 湖の主、第75層ボス戦、日常と戦闘シーンの切替が◎
第14話 世界の終焉 ★★ かなり意外な結末、但し4000人を無駄死にさせた茅場晶彦は×

- - - - - フェアリィ・ダンス編、 OP「INNOCENCE」、ED「Overfly」 - - - - -

第15話 帰還 ★ 直葉登場、アスナの現状
第16話 妖精たちの国 ★ ALO初ダイブ、ユイ再登場、リーファとの出遭い
第17話 囚われの女王 ☆ 妖精王オベイロンのキモさは×
第18話 世界樹へ ★ 直葉の日常とALO世界との切替が○
第19話 ルグルー回廊 ★ サラマンダー隊の襲撃
第20話 猛炎の将 ★★ 対ユージーン戦、バトル描写が◎、リーファ→キリト惚れ
第21話 アルヴヘイムの真実 ★ 病室訪問~失恋、科学者のキモさは×
第22話 グランド・クエスト ★★★ 対ガーディアン戦1、ALO世界と現実世界との切替が◎ 
第23話 絆 ★★ リーファとの試合、対ガーディアン戦2~防壁突破
第24話 鍍金(メッキ)の勇者 ☆ アスナ救出、茅場晶彦の託し物、オベイロンのキモさは×  
第25話 世界の種子 ☆ 現実世界での結末、須郷さん安定のキモさは×{/netabare}
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★★★(神回)2、★★(優秀回)6、★(良回)8、☆(並回)9、×(疑問回)0 但し×(疑問ありの描写)7 ※個人評価 ★★ 4.5


◆《時間の流れ》と《主な事件》

<アインクラッド(SAO)編>

{netabare}2022年11月6日(日)13時、SAO正式サービス開始。その直後に異変発生(第1話)
2022年12月2日、第1層ボス攻略会議で、キリトとアスナの出遭い。翌12月3日、第1層ボス攻略戦。キリトの活躍で成功するも他の嫉妬を買いキリト自ら完全孤立化の道を選ぶ(第2話)

・・・この間、約4ヶ月経過・・・

2023年4月8日、キリト、弱小ギルド「黒猫団」を救い、誘われて入団。5月16日、サチの不安に気付き彼女を励ます。
6月23日、第27層迷宮区で、トラップに引っかかりサチを含む黒猫団員がキリトの目の前で全滅。LV48のキリトのみ生き残る。
12月24日、キリトLV70。第35層の樅の木の下で背教者ニコラスを倒し、プレイヤー蘇生アイテムをドロップするも、蘇生期限が僅か10秒であることを知り絶望する。
その夜、旅館の一室でX'mas Eveに到着するように予め設定したあったサチのボイス・メッセージを受け取り、「キリト君は生きてこの世界の終わりを見届けて」の言葉に励まされて立ち直る。(ここまで第3話)・・・※この第3話だけで8ヶ月半が経過

・・・この間、約2ヶ月半経過・・・

2024年3月6日、第56層ボス攻略会議、アスナ再登場、4月11日、第59層でアスナと昼寝(再開後初めてのアスナとの交流)、その後2人は圏内事件に巻き込まれる(第5話)
10月18日、解放軍の第74層ボス攻略戦に巻き込まれ、アスナの危機を救ったことで、アスナ→キリト惚れ(第9話)
10月20日、第75層でキリト、ヒースクリフ騎士団長と決闘。10月22日、第75層にてクラディール(元アスナ護衛のストーカー)の襲撃事件。キリトの危機をアスナが救い、キリト→アスナ惚れ、結婚申し込み。アスナ承諾(第10話)
約半月間、キリトとアスナ第22層で休暇。その間にユイと出遭う(第11~14話の前半)
11月7日、第75層ボス戦、フースクリフの正体に気付いたキリトと彼とのSAO脱出を賭けた決闘。11月7日12:55、キリトの勝利によりSAOクリア(第14話)・・・※第5話のアスナ再登場から数えて8ヶ月間の出来事

・・・この間、約2ヶ月半経過・・・{/netabare}

<フェアリィ・ダンス(ALO)編>

{netabare}翌2015年1月19日、健康状態を回復した桐ケ谷和人、昏睡状態のままの結城明日奈の病室で須郷氏に彼女との挙式は1/26と告げられ落ち込むが、自宅に戻って妹の直葉に勇気づけられる。翌1月20日、エギルからのメールでアスナ似の写真を知る(第15話)
1月21日、和人ALO初ダイブ、リーファと出遭う。(第16話)
1月22日、キリト、サラマンダーの隊長ユージンを倒しシルフ&ケット・シーの両領主を救う。リーファ→キリト惚れ(第20話)
1月23日、直葉、初めて明日奈の病室を訪問。明日奈を気遣う兄の様子を見て、義兄への恋を断念。ALO世界で、キリトの前で「失恋」を告げて泣く(第21話)
同日、キリト、世界樹に挑み敗戦、リーファに救われる。その直後に身バレ。義兄の代わりにキリトに恋をし始めていたリーファにはダブル・ショックとなる(第22話)
同日、ALO世界で兄妹の絆の確認。キリト、リーファやシルフ&ケット・シー両軍の援護を受け、世界樹に再挑戦し突破。(第23話)
同日、キリト、アスナを救出(第24話)
同日、桐ケ谷和人、現実世界でも須郷さんを倒し、意識を取り戻した結城明日奈と初めてコンタクト。
2015年5月16日(金)、SAO被害者の特別学校~エギルの店で全員集合(第25話){/netabare}


◆本作の《時間のマジック》

上記のように、
{netabare}(1) アインクラッド(SAO)編は、きっちり2年と2日(2022年11月6日~2024年11月7日)の長期間の出来事、として描かれているのに対して、
(2) フェアリィ・ダンス(ALO)編は、わずか5日間(2025年1月19~23日)に次々と発生した出来事であり、後日譚(2025年5月16日)を併せても、せいぜい4ヶ月弱の短期間{/netabare}
として描かれています。

そして、(1) アインクラッド編は、さらに、
{netabare} <1> 主人公キリトが、弱小ギルド「黒猫団」で知り合い、初めて守りたいと思い、そしてその死によって心に深刻な傷を負うことになるサチとの、(その死後の立ち直りまでに要した期間も含めた)前半の8ヶ月半と
<2> 再会時には最強ギルド「血盟騎士団」副団長になっていたアスナと、次第に心の交流を積み重ねていくことになる後半の8ヶ月に{/netabare}
(各話の構成はともかく)時間軸上は二分できると思います。

このうち、{netabare}サチとの(その死後の引きずり期間も含めた)8ヶ月半の出来事を、第3話の一話で一気に表現し切ったことは、第1-2話の段階ではよくあるタイプの異世界バトルものだろう、と思って油断していた自分にとって、かなりの衝撃でした(まるで、『魔法少女まどか☆マギカ』の第10話(ほむらのループ回)のように{/netabare}→この第3話を★★★と個人的に最高評価する理由)。

その後の展開では、{netabare}主人公キリトが、自分が守り切れなかったサチの悲劇を繰り返しフラッシュ・バックすることで、再会したアスナを何としても守り切ろう、と奮闘する姿にリアリティが生れ、なおかつ、そのようにしてキリトに救われたアスナの側には、キリトへの思慕が自ずから生れ出る様子が、高い説得力をもって描かれているように感じました。
このように、主人公キリトと第1ヒロイン(アスナ)の間に生まれ出る恋情を、アインクラッド編の時間軸でいうと、後半の約8ヶ月を使って丁寧に描き出した点も{/netabare}好感度が高かったように思います。

一方、SAO世界で、{netabare}キリトが<1>サチ、次いで、<2>アスナとの感情の遣り取りを続けている約2年の間に、現実世界では、彼の義妹である直葉が、病床の兄への思慕を深めていました。
そして、義兄が意識を回復し、健康を取り戻し、なおかつSAO世界で知り合った大切な人の話をそれとなく切り出したことで、彼女の心は、本人も予期しない形で千々に乱れていくことになります{/netabare}。
つまり、{netabare}義兄の意識が戻るまでを待つ2年(アインクラッド編に描かれた2年)の間に、徐々に蓄積された彼女の感情が、僅か5日の間にまるで嵐に襲われた小船のように激しく揺れ動き、溢れ出る様を丁寧に描き出したのが{/netabare}、フェアリィ・ダンス編ということになります。

《やがて運命が来て、彼女の感情の一切を根こそぎ奪い去ってしまうだろう。まるで嵐のように・・・》

{netabare}第2ヒロイン(直葉)の溜めに溜め込んだ感情が一気に溢れだす第22話の描写が、やはり見事と感じたので{/netabare}、この回を2つ目の★★★と個人的に最高評価しました。
そして、{netabare}その後の第23話で、兄妹が絆を取り戻す様子も、私の期待を大きく上回るほどに綺麗にまとめられていた{/netabare}ように感じました。
アインクラッド編とフェアリィ・ダンス編のどちらが良いと思うか、で好みの分かれる本作ですが、私個人としては、上記の理由で、このフェアリィ・ダンス編がより良いと思いました。


◆《バトル系》と《感情描写系》の両面を併せ持った名作だが、欠点もある惜しい作品

以上、第1シリーズに限れば、多数の方が本作を絶賛し、お気に入り登録されているのも納得の内容を持った名作、とくに《バトル系》と《感情描写系》の両面を併せ持った点が貴重な名作と、私も評価したいと思います。
(※なお、第2シリーズは、{netabare}すでに主人公とヒロイン達の感情に整理がついてしまっており、新規キャラを絡めたミステリー&人情噺{/netabare}に作品テーマが変化してしまっているので、個人的評価が幾分下がります)

《総評》に書いたとおり、フェアリィ・ダンス編の敵役がもう少し受け容れやすいタイプだったら、自分もきっとこの第1シリーズをさらに高評価していたと思うのですが、その点だけが非常に惜しい作品でした。

投稿 : 2016/09/30
閲覧 : 715
サンキュー:

66

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