剣道部 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
主人公を誰だと思うか
[文量→中盛り・内容→感想系]
【総括】
親子の愛情、家族ってナンだろ? ということを考えたい人向けのアニメ。
作画も音楽は美しく、そういった面での芸術性は高いように思います。ストーリーは、シリアスはシリアスなんだけど、重すぎないというか、わりと王道、感動的に作られていますね。細田守監督が初めて自ら脚本を務めたという点で、その後の細田アニメに通じるモノがいっぱい詰まってます。
気軽に観るアニメというより、「よし、今日はアニメを観るぞ!」と気合いを入れて観る類いのアニメ映画だと思います。
《以下ネタバレ》
【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
これは、観る人の立場によって、味わいが全く変わるアニメだと思います。
つまり、主人公を「雨」「雪」「花」のいずれとするか。誰に感情移入するか。
私はやっぱり、「花」の視点で観ました。私に子供はいませんが、母親の視点で考えた時、やっぱり、親って大変だな、尊いなって感じました。シンプルに。
これが、「雪」の視点で観るのなら、人間世界での、ある意味での煩わしさと充実感を感じるだろうし、「雨」の視点で観るのなら、自然界の厳しさや崇高さを感じると思います。
本作は最終的に、「人として生きると決めた雪」と「狼として生きると決めた雨」という風に、二人の子供が親離れをするという展開で終わります。
それは、「人間と動物(自然)を並列化し、共に尊い存在である(優劣はない)」というメッセージを伝えるもので、(特に雨の選択は)強いインパクトを与えるものだったけども、私はこの点がやや疑問で。
「人間か」「狼か」という二択ではなく、「狼人間」として生きるという選択肢はなかったの? と思うわけで。
「雨」も「雪」も、100対0で考えるから、そりゃ揉めるわなと。良いじゃん、「8割人間で、2割狼として過ごす」とかで(逆もしかり)。
例えば、普段は完全に人間として過ごすけど、人里離れた山奥に別荘建てて、週末はそっちで狼として野山を駆け回り、ストレス発散させるとか。逆に、普段は狼として過ごし、週末に別荘に来た花や雪の為に、人として一緒に過ごすとか。そういう、悪く言えば「中途半端な」、良く言えば「バランスのとれた」生き方を選択できなかったのが、まあ、若いというか、まだガキだなとは思ったかな。特に雨は。
つか、あまりに花が可哀想で。
山の中で生きているとはいえ、いつかは子離れしなければならないとはいえ、やっぱり悲しすぎるでしょ。自分も、あんまり実家に帰るヒマないけど、母親のこと考えて、なるべく帰るようにはしてます。もういい年だし。このまま山の保全は出来て、でも花が死んじゃった時、雨はそれで満足なのかな?
雨も花も、結局のところ、狼人間であり、人とも狼とも違う存在なのだから、どちらか片方を選択する必要もないように思うんだよね。行政の都合上、どちらかの国籍を選べってわけじゃないんだから。
と、酷評くさくなってしましたが、評価としては、☆4で、高評価です。大分前に観ましたが、今レビュー書いても、スラスラっとストーリーが浮かんできたり、印象深いシーンがいくつか、映像としてよみがえってくるあたり、やっぱり心に残る映画だったんでしょうね。
{/netabare}