「ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日(OVA)」

総合得点
72.0
感想・評価
115
棚に入れた
530
ランキング
1194
★★★★★ 4.1 (115)
物語
3.9
作画
4.2
声優
4.1
音楽
4.0
キャラ
4.2

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ネタバレ

因果 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

些細な矛盾など吹き飛ばす「勢い」

これは面白い。面白いという言葉で片付けるには些か失礼なほどに面白い作品だった。ロボアニメと謳ってはいるが実質肉弾戦5割ヒューマンドラマ3割ロボット2割といったところか。

7話(1話1時間なので実質14話程度)という短い話数の中で、ここまでキャラ一人一人の魅力が立っている作品は滅多にない。というのも、こういう、バトルロイヤル的な展開を見せる作品においては、どうしても噛ませ犬的な立ち位置の、つまり、「薄い」キャラクターが存在しがちであり、他の目立つキャラクターとの高低差に違和感を覚えることさえある。そんなバトルロイヤルモノのコンテクストを真っ向からブチ壊していったのが本作である。キャラクターの数だけそれぞれの思惑がしっかりとあり、みんな何かを背負いながら必死に戦う。そんな彼らが吐き出すセリフの一つ一つには、やはり使命感を背負っているがゆえの"重み"が存在し、それはスクリーンを越えて私たちの胸のど真ん中に深く突き刺さり、心が熱く滾ってしまうのだ。

本作は主人公の属する国際警察機構と世界征服を目論むBF団という2大勢力が、シグマドライブというエネルギー機関とそれにまつわる禍根を巡って対立し合うという一見ありがちなお話なのだが、詳しくはネタバレになるので控えさせて頂くが、単なる勧善懲悪モノだと思ってナメてかかると痛い目を見る、とだけ言っておきたい。

脚本については、そりゃ突っ込もうと思えば突っ込めるところは幾つもあるのだが、少なくとも視聴している間はそういう気が一切起きない。冷静になって視聴しようとする自分の中の理性が、一切弛緩することなく爆進し続けるシークエンスに感化されて完全に麻痺してしまうのだ。一度観たらもう止まらない。些細な矛盾などは、展開のダイナミックさに全てかき消される。

作画に関してはもはや何も言うまい。完結までに6年を要したOVAとだけあってそのクオリティは折り紙付きだ。特に戦闘シーンはどこから切り取ってもただただ圧巻の一言。しかも、単に枚数が多い〜とか全部手描き〜とかばかりではなく、よくこんなの考えつくなぁと感心させられる、いい意味でアバンギャルドな"動作"が登場したりもするので、作画に興味がない人でも、作画を楽しめるという嬉しい矛盾が生じるのだ(十傑衆走りとか、よく切れる指パッチンとか聞いたことある人も多いのではないか?)。

ベラベラ長く語ってしまったが、要約すればこのアニメは「ロボットアニメの皮を被った異能力バトルアニメ」なのだが、話の核がバトルだけでなくキャラの心情にもフォーカスしているので、ハリボテ感が薄く、スッと感情移入できる傑作に仕上がっている。

長らく抜け殻のような日々を過ごしてきたそこの貴方、何かに挫折し落ち込んでいるそこの貴方、特に何にも悩んでないけどとりあえず暇なそこの貴方、

是非ともこの作品で胸を熱く滾らせてみてはいかがだろうか?

投稿 : 2017/03/27
閲覧 : 516
サンキュー:

4

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