「地獄少女(TVアニメ動画)」

総合得点
71.1
感想・評価
812
棚に入れた
5077
ランキング
1376
★★★★☆ 3.7 (812)
物語
3.7
作画
3.6
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

少女漫画オカルト版必殺仕事人…いっぺん、死んでみる?

時代劇の「必殺仕事人シリーズ」的な勧善懲悪を、少女漫画的なオカルトホラーで描く、3期までで全78話にも及ぶ長編オリジナルアニメ、その第1期です。
数々の理不尽や虐げられた者たちの恨みを、日本人形の如き美少女・閻魔あいちゃんが地獄に流してくれる…でも、依頼人も死後地獄に…
地獄少女は声優・能登麻美子さんの代名詞的キャラ、決め台詞「いっぺん、死んでみる?」は能登こわいよ能登!

全般に鬱、というか非常に理不尽で胸糞悪いので(中期以降の)必殺仕事人みたいなカタルシス期待してはダメです…。
人の業や哀しさ、こんな状況で自分ならどうする?等々、色々と考えさせられる名作です。

{netabare}『物語』
インガオホー!&ショッギョ・ムッジョ!
基本1話完結、依頼人が各話主人公となってターゲット(極悪)から虐げられる→精神的に追い詰められる→地獄通信で地獄少女に復讐依頼→地獄少女・閻魔あいちゃんから藁人形渡される→自分も死後地獄落ちするリスク故に悩むも、毎度結局依頼しちゃう→悪党が地獄流しでお仕置き(通称・地獄コント)→依頼人は明るい人生取り戻す…でも地獄の刻印、死後地獄行確定するので鬱エンド
…「人を呪わば穴二つ」が根底に流れるメインテーマなので、勧善懲悪だけど勧善とは言い難い点が、本作が鬱アニメなところか。

閻魔あいちゃんによるお仕置きパート(通称地獄コント)はホラー半分、なんかコミカルな回も。
もっとヒドイ目に遭わせても良かった気がしますが、まあこの後地獄で永遠に苦しむから良いのか…。

序盤はいかにも少女漫画っぽい陰湿な虐待…からの恨み晴らしてもらう展開続く。
悪党が非常~に邪悪で腹立ちます。特に3話の野球野郎は吐き気を催す邪悪!
全般に男の方が邪悪さシャレにならない。
女の子の方は、正直(殺すほどかなぁ?)と思わんでも無いのですが、まあ当事者にとっては世界の全てでしょうし…
全般に依頼人が若い少女多くて、大人目線だと(早まらず冷静に…)と思ってしまう辺りも良し悪しあり。
好意的に見ると、若さ故の情念の暴走といいますか、幼い少女たちがネガティブな感情で地獄行き確定していく様を見て、これでいいのかな?と考えるきっかけにも。

中盤以降、柴田一(はじめ)と柴田つぐみ父娘が登場、彼ら視点で地獄少女の是非について波乱と問題提起を見せてくれる。
基本1話完結な中で、柴田父娘の登場で全編通したテーマが見所でした。
一は一貫して復讐を否定する立場なんですが、彼の主張にあまり重みを感じないのは残念。
残念なんですが…うがった見方をすると、一ちゃんをあえてザンネンに描く事で、安易に「復讐はダメ」というタテマエに傾かないようにしているのかも。
実際、視聴者はつぐみちゃんの方に同意したくなるのでは…

各話ストーリーも序盤よりはバリエーションと深みのある話多し。
各話バラつきはありますが、引き込まれる名エピソードも。怪奇ホラーテイストな話多いのも良い。
序盤のような単純な勧善懲悪の枠から外れた、一筋縄ではいかない人間の哀しき業の深さを感じさせる話が増え、それでも復讐すべきか否か…柴田父娘双方の視点で視聴者を揺さぶってくる…。

終盤の23話は特に問題作。善良なのに逆恨みされて地獄に流される…
勧善懲悪ですら無い理不尽さ、作中屈指の胸糞悪い回…
だからこそ、復讐の是非を鋭く問うているのか…。
この回だけを見ると普通は(やっぱり地獄通信・復讐はダメじゃないか!)となってしまいますが。
一ちゃんが頼りないのも相まって、それでもやはり復讐せずにはいられぬのもまた人間の業である、一筋縄ではいかぬ悲劇性を存分に堪能させてくれるのが本作の凄く残酷だけど魅力的な所だと思ったです。

終盤、閻魔あいが地獄少女になった経緯が悲劇的でした。
…昔の村社会は恐ろしい。
信じていた人からの裏切りは哀しい、でも相手もやむにやまれぬ状況…
人の業の哀しさ、地獄少女という存在が誕生するにふさわしいエピソードは圧巻でした。

総じて、非常に鬱で救いの無い物語でした。
前半のスタンダードな少女漫画的勧善懲悪は分かり易いものの些かワンパターンながら、カタルシスはこちら。
後半の方が話に深みあり、でも理不尽さ増すので鬱度は更に上でした。
…単純な勧善懲悪では無い問題提起を考えさせられつつ、虐げられヒロインに萌える鬱アニメでした♪


『作画』
日本人形のような閻魔あいちゃんが非常に美しい。着替えシーンとか…
キャラデザは古いけれど、可愛い子多いです。
地獄コントの演出は怖かったり、結構コミカルだったり。
主に後半の怪奇路線の演出や背景が良かったです。

『声優』
能登麻美子さんといえば真っ先に地獄少女という位の代名詞なのでは。
「闇に惑いし哀れな影よ 人を傷つけ貶めて 罪に溺るる業の魂…いっぺん…死んでみる?」
…鳥肌ものです。囁くような美声「いっぺん、死んでみる?」能登こわいよ能登!
終盤のロリ声や、憎しみの感情爆発させる演技も圧巻の怖さ。
怖さと可憐さ兼ね備えた名演技でした。

各話ゲストも超豪華で、各話ヒロインと悪役の配役が凄い。
特に良いのは4話の新井美里さん。ゲス(子安武人さん)にイジめられ悔し涙浮かべる可憐な少女役もバッチリです。
佐藤利奈さんの浅墓元気娘も中々。
ゲス役も豪華、特に男性陣はいぶし銀のベテラン達が皆憎たらしい。
8話の速水奨さんの外面の良い爽やか系ゲスっぷりは痺れる~♪


『音楽』
OP「逆さまの蝶」も雰囲気あって良い主題歌なんですが、閻魔あい(能登麻美子さん)歌うED「あいぞめ」も哀しく切ない。
BGMも良いんですが、地獄コントは何となくコミカルっぽい。


『キャラ』
地獄少女・閻魔あいちゃんが特筆すべき名ヒロインでしょう。能登ボイスと相まって強烈な存在感あり。
この世の者ではない幻想的な美しさ、淡々と地獄送りを執行する冷たさ、でも実は…
人間的なコミュニケーションが通じないと思わせる異界の美少女、それだけに終盤判明した過去の悲劇が胸を打つ。

地獄少女一味は、無口なあいちゃんを見守る形、そのお陰であいちゃんの神秘性を間接的に増していた感じ。

柴田一は復讐否定が今一つ冴えない男であったけれど、彼が活躍し過ぎると色々と不都合だろうし仕方が無い。
つぐみちゃんは良くできた娘で可愛いんですが、復讐推奨する後半ちょっとこわい…。

各話ゲストが粒ぞろいの名キャラ多し。
ゲス度では、3話の野球野郎が一番ムカつきました。全般に女の方が陰湿ですが、男の方が深刻。
依頼人は虐げられる美少女多くて(不謹慎ですが)萌え♪
4話の新井美里さん演じる純子ちゃん、8話の佐藤利奈さん演じるウカツ妹由香ちゃん辺りが可愛いです。
幼さ故の短慮さが悲劇的かつ…可愛いんですよねぇ(不謹慎だけど)
23話の看護師さんマジ天使…いい人なのに…。

仙太郎が一番気の毒というか、地獄通信あったら村人呪う権利あると思った。{/netabare}

投稿 : 2016/06/17
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サンキュー:

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