「三者三葉(TVアニメ動画)」

総合得点
71.2
感想・評価
602
棚に入れた
2858
ランキング
1354
★★★★☆ 3.6 (602)
物語
3.4
作画
3.7
声優
3.5
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

きらら最古参、素直で喧しい日常系コメディー。可愛さ楽しさ申し分のない良作(のはず)、時代的に出遅れたか?

美少女たちが仲良く楽しく過ごす様を見せてくれる「日常系」の代表格「まんがタイムきらら」の最古参、待望のアニメ化です。
個性が異なる3人娘の学園コメディー、動画工房の高品質な作画、新人ながらハマっている配役等、可愛さも楽しさも申し分が無い良作でした。
ちなみに2014年冬の「未確認で進行形」と同じ作者です。

…2016年度「あんハピ」と並び、もっと評価されていいのでは!?と思えてならぬ不遇作。
昨今の視聴者の日常系に対する目が肥え過ぎているのか、はたまた作風の古さで時代遅れなのか?(いや、時代遅れは私の方か)
「本音の対人関係」に若干のトゲがあり、完全ゆるふわでは無い点がネック(なのかな?)
…レビューの本旨から外れますが、本作の「敗因」を考えると色々と思うところがあります。

{netabare}『物語』
天然元気で大食いな小田切双葉、優等生で腹黒メガネだが結構優しい葉山照、そして落ちぶれ貧乏お嬢様な西川葉子。
性格も境遇もまるで異質な3人の「葉」たちが繰り広げる学園コメディーです。
三葉ほかの個性的なキャラクター同士の掛け合いや交流が面白かったり、可愛かったり。

アニメとしては新参(2016春)だけど、原作はきららの最古参な為か、近年の諸作品と比べて逆に新しい要素が見所でした。
性格が異なる三葉が友達になっていく過程でのやりとりや交流が、(漫画的な空想はあれど比較的)自然、序盤で貧乏な葉子様におかずを分けてあげなかったり(別にイジワルではなく、きっかけが無かったので)…
だからといって不快要素は全く感じないのですが、近年の「日常系の定石(セオリー)」からすると意外な印象受けるシーン多々ありました。

毒舌な照ちゃん含めて皆本音で素直に対人関係を構築していく。
西山さんが照ちゃんにやりこめられる等の若干の毒がある。
本作は(OPで薗部が言う通り)個性的な女子高生たちの「喧(かまびす)しい」交流の在り方こそが、魅力だと思う。
それぞれ我が強く、あまり遠慮しない。軽くケンカもする。
けれど。三葉の個性が絶妙に交じり合って、それぞれの可愛さや楽しい雰囲気を形成していく…。
葉子様の使用人の山路と、メイドの薗部、照に対抗心燃やすツンデレ西山さん達も合わさり、「ほんと面白っ(EDの薗部)」
キャラが暴走する展開(特に薗部)多く、ドタバタコメディーついでに萌えも十分おいしい(メイド服のバイト回萌え♪)
…葉子様は貧乏だけど、使用人ふたりが超人的かつ過保護なので、悲壮感帳消しになっているのも良い感じ。

一方「萌えと楽しさ」は十分でしたが「ゆるふわ」は乏しい、というより最初から考慮されていないと感じる。
「きらら的な関係性のゆるふわ」は意外な程期待できず。
なので、キャラ個々の可愛さと、キャラ間の愉快さ重視で楽しむ作風だった。
これはコメディー面も同じ、本作は個々のキャラの魅力に依存するところが大きいかも。
その一方で本作は「可愛さ前面に出すあざとさ」も控え目だった気が。

それでも…三葉の自然体な友人関係は、十分に尊いと思いますけどねぇ。
毒のある照ちゃんだって、天敵の姉(天然悪意無し)にやり込められたり、西山さんとのやりとりも微笑ましく感じられたり。


総じて、終始安定して三者三様+αな可愛さと楽しさを堪能できました。
原作よりも作風がマイルドにアレンジされているのも英断だと思う。
優しい世界だけどそれをことさら表に出さない、でも楽しさが損なわれる事はなかった。
少女たちの日常系コメディーとして申し分なしに楽しめました。



※ここからレビューではなく余談、他作品と比較考察
完全に雑文戯言失礼を。
{netabare}きらら最古参の本作は2003年からの連載、2009年度で日常系のエポックメイキングな名作「けいおん!」より古い。
けいおん以降、日常系萌えは「対人関係の面倒は省いて、純粋に可愛さ楽しさ追及」(ゆるふわ)路線が王道定石になっていく。
または「ひだまりスケッチ」(2004年連鎖開始)のような日常系ゆるふわ百合路線も。
「三者三葉」は現在主流となっている日常系の定石を微妙に外している、「古くて新しい非主流派作品」となってしまった。

※大成功した「NEW GAME!」とどこで差が付いたのか慢心環境の…
徹底して純粋に萌えと百合重視、お仕事要素あれど「対人関係での毒は皆無」?

成功作「この美術部には問題がある」
対人関係の面倒さはこの美が更に難あり、でもジャンルがラブコメ・青春なので500%長所に変換していた。

※本作以上の不遇 「あんハピ」
「クセの強いキャラ達の交流劇」「若干のネガティブ要素あった」
私的には傑作級と絶賛してますが…。

「ハナヤマタ」「ステラのまほう」
ネガティブなシリアス要素強い(特に前者)
そもそもジャンルと楽しみ方が異なる(青春成長劇として見るべき)
きららで純粋ゆるふわでない作品は評価されにくい…
今期の「うらら迷路帖」も危うい?

「ろんぐらいだぁず」
大学生故に、ゆるふわな交流が足りない気が…

※純粋まじりっけなし&対人関係の面倒が無いゆるふわが求められている?
リアリティーなんて要らない。日常系は掛け値なしの可愛さとゆるふわが求められているんだ!ごちうさ、きんモザ、そして偉大な名作けいおんのように…
「たまこまーけっと」が今でこそ総合的に高評価ながら(当時は)何となくコレジャナイ感感じる視聴者多かったのもおそらくは、若干の面倒さがあったからでは?
商店街の濃密すぎる対人関係は、日常系ゆるふわの要請とは方向性が違う気がするので。

…長々と纏まらぬのですが、何となく時代の要請なのかな?と。
去年大ヒットした「君の名は」も鍵はおそらく「純粋さ」(面倒な交流の積み重ねよりも、どこまでもピュアに法則すら超えていく)
まるでジャンル違いますが、昨今求められているのは「面倒の無さ」なんじゃなかろうか。
三者三葉は私が見るに間違いなく良作の域なんですが、若干の面倒さがあったのかな…と思う次第。{/netabare}


『作画』
「未確認で進行形」に続き、流石の動画工房。
可愛らしい少女たちがヌルヌル動きます。特に双葉ちゃんが好み。
OPも素晴らしいの一言。
この喧しさ含めての魅力でした。
あざといお色気は地味ですが、特に問題とは思わない。

『声優』
新人中心ながら配役が抜群にハマっているのは、未確認で進行形に匹敵。
特に双葉役の金澤まいさんは非常に良かった。双葉の可愛さ引き出していた。
今村彩夏さん和久井優さんも文句なし。

新井美里さんを彷彿とする好演を見せた桃河りかさんもお見事。
憧れの声優は新井里美さんらしいです。見事に新井さんっぽかった!
早口になると若干のぎこちなさが…でも十分凄いです。

西明日香さん演じるお姉ちゃん、鬼畜こけしを遥か凌駕している!


『音楽』
三葉たちが歌うOP「クローバー♣かくめーしょん」が素晴らしい。理想的な日常系コメディーの主題歌です。
喧しく掛け合いながら、本作のテーマを楽しく元気一杯に歌い上げた。
途中のセリフは「蒼き流星レイズナー」思い出しますw(灼熱の卓球娘に引き継がれた)
ED「ぐーちょきパレード」も良い感じ。


『キャラ』
小田切双葉ちゃんが一番お気に入りです。
一番普通に可愛い。ろこどるのなにゃこっぽい(大食いと容姿)
一番天然で毒が無いのもグッド。
美味しそうに食べているところが可愛い。見ているだけで楽しくなってくる。

眼鏡美少女、葉山照ちゃんの裏表のある腹黒っぷりは最初戸惑いますが、次第に可愛く見えてくる。
「分かり易く腹黒、裏表ある事を隠さない素直さ」が逆に親しみ易い感じ、「人類は衰退しました」のわたしちゃん的な可愛さ感じます。
表向き優等生なところとか。
葉子様に惚れている金持ちショタの優くん、優くんを玉の輿狙いな桜ちゃんも、照ちゃんがかき回して面白い方向に…
照ちゃん、策士としてもお見事。

落ちぶれても元上流階級!(服はちゃんと前後着てるよ)葉子様こと西川葉子ちゃん萌え的には最萌でした。
一番美少女、恥じらったり、バイト服着たりと可愛いです。

超人的かつ過保護(若干変態的)な使用人ふたりがコメディーの主力でした。
薗部さんは陰の主役かも。

西山さんこと西山芹奈ちゃん、ハヤテのごとくのヒナギクさんみたいで可愛いです。
照ちゃんにイジめられてしまう不憫さも萌える。
西山さんの相方、近藤亜紗子ちゃん、常識人…と見せての天然鬼畜っぷり!薗部に次ぐ思わぬ伏兵としてコメディーに。

腹黒照ちゃん唯一の天敵、光(こう)お姉ちゃんの天然鬼畜っぷりは凄まじく危険であった。
流石は(中の人が)鬼畜こけし!
計算ずくの腹黒強キャラな妹がタジタジになってしまう、ある意味尊い姉妹だなぁ…{/netabare}

投稿 : 2017/01/22
閲覧 : 359
サンキュー:

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