「Lostorage incited WIXOSS(TVアニメ動画)」

総合得点
62.7
感想・評価
232
棚に入れた
976
ランキング
4643
★★★★☆ 3.4 (232)
物語
3.2
作画
3.5
声優
3.5
音楽
3.5
キャラ
3.3

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

マリー脚本特有のハラハラ感が薄れ、生々しく底が浅い。百合物としてなら、かろうじて…

カードゲームアニメなのにブッ飛んだ鬱ストーリーで魅せてくれたWIXOSS(ウィクロス)の第2弾です。
時系列は前作の後ながら、別システムによるカードゲームバトルに少女たちが巻き込まれていく…
不幸なカードバトルを強いられていく理不尽さは健在ながら、前シリーズとは作風が大幅に変更されている。
ふたりの少女の葛藤と百合友情(ヤンデレ)が見所でしたが、前作に比べて特有の持ち味が薄れていた感。

{netabare}『物語』
純真で優しい穂村すず子と、しっかり者の森川千夏は幼少期から親友であったが、千夏は周囲の環境の悪化からドン底→千夏の、無垢に輝いているすず子への友情が歪んだ執着に変貌してしまう…
…ヤンデレストーカー系な百合物ですかね。
これ自体は結構好物なんですけど。
どうも、境遇に嫌なリアリティーあって生臭いような。
前シリーズは中学生、今作は高校生という年齢層の差もありそう。
前シリーズの紅林遊月の「姉弟近親愛」とか植村一衣の「友達作りたい」
前者はある意味ファンタジーですし、後者は子供らしい。
本作は妙に「リアル度」が上がっているなぁ…という印象。

前作との分かり易い差異は「男だってセレクターだ!」
男が絡むと、なんだが俗っぽい雰囲気になっちゃう。
前作の「実態の見えぬ不気味な都市伝説的ホラー」な感じから本作はブックメーカーという俗っぽい悪意が見え見えなのも、雰囲気アニメ(前作ならば加えてミステリーホラー)としての底が最初から見えていて面白味が薄れた要因かも。
…もっともそれは結果論だし、序盤視聴の時点では、方向性が違う楽しみ方が出来た可能性は十分にあった(はずだったけれど…)

主要キャラの願望の切実さと、負けた(勝っても)深刻なペナルティーも、いまひとつ薄い感じ。
「記憶」にまつわるドラマはそれなりに悲劇性を感じさせますが、後半、「セレクターバトルとは無縁のところでアッサリ解決」しちゃうので、今までのバトルは何だったのかと…。
記憶を犠牲にする悲劇性をもっとドラスティックに見せて欲しかったです。
一番の見せ場、はんなちゃんの封印していた悲しい記憶なんですが、セレクターバトルもすず子も関係なく淡々と自力で立ち直っちゃたら、盛り上がらんでしょう。


セレクターバトルのルールやシステム面は前作より凝っていて、バトルでの戦略的な駆け引きが少し見所だった。
セレクター(カードゲーム参加者)は各々異なる異能を持ち、各々5枚のコインを消費して発動、固有異能(コイン技)の使い方で戦局が動くのは面白い。
…と言っても、「どういうルールで戦っているのかよく分からん」のは相変わらず。
このシリーズに限ればそれは決して欠点では無く、(よく分からんがすごいバトルだ!)と雰囲気に流される楽しみ方でおKなのですが…
本作の場合、固有異能発動のコストが大切な記憶だったり、相手との関係もあり、発動に躊躇いがあったり、なかったり…な辺りの葛藤がひとつの見所だった(はず)、すず子に関してはある程度の見所はありました。
ゲスい敵の精神攻撃は基本!は面白かったのですが、あくまでも表面的な面白さであって、本筋は主人公たちの群像劇を期待していたのですが、そこはいま一つでした。

…すず子の、千夏のコイン技ベルセルク(攻撃強制)に対する対処は、なんとなく初代原作の遊戯王を彷彿としました(岩石の巨兵!「月」に攻撃だ!)
いや、この言ったもん勝ちな無茶苦茶感は嫌いじゃ無いですw
固有異能はセレクター各々の個性や願望やトラウマを反映している?
この設定はもう少し活かせれば、群像劇が盛り上がるポテンシャルあった気がします。


総じて全般的には微妙でしたが、すず子とはんなちゃんの仲良しっぷりが和んだのと、すず子に対する千夏のヤンデレっぷり、できる女な暗躍ぶりがステキだった為、(終盤急失速した以外は)割と楽しめました(百合厨)
…ただ、百合物として見ても、もっと良く出来た作品多数ある中では、かろうじて及第点かな~、と。
ラストの千夏がすず子の記憶失ったことで、逆説的に一番大切な存在はやはりすず子だったと分かるシーンは非常に尊い。
尊いけれど、そこに至る過程が分かり難かった。
物語評価は2.5か迷います。
もし続編あればと期待してます。

…なんとなく
女性脚本家(岡田麿里さん)もすなる作風を男性監督(桜美かつしさん?)もがんばってみた、けれど上手くいかなかったのかなぁ。
前作みたいな作風は絶妙なバランスで成り立っていて、狂気は狙って出来るものではなさそうだし、仕方がない。
繊細さがムリならば、もっとあざとく分かり易く悲劇の押し売りする手もあったかも。
(同時期の魔法少女育成計画のように)


『作画』
前作よりも万人受けしそうな綺麗なキャラデザ、特に黒髪の千夏ちゃんはかなり美少女です。
セレクターバトルの派手な見せ場も中々。
…ただ、WIXOSS特有の暗く澱んだ雰囲気といいますか、不安と狂気を孕んだ感じは薄れて、ごく普通の良作画になった感。

『声優』
橋本ちなみさんも井口裕香さんもヒロインとして十分。
井口さんの普通に美少女(でも歪んでいる)な感じは結構珍しい。
阿澄佳奈さん金元寿子さんの、ゲス寄りな感じも。
中村悠一さんのゲス演技も絶品でした。

『音楽』
井口裕香さん歌うOP「Lostorage」流石にWIXOSSらしく主題のシンクロ率高い良曲でした。
楽曲面は見事でしたが、本編が伴わないケース。


『キャラ』
穂村すず子は優等生的な主人公、普通に良い子なんですが、前作の小湊るう子に比べて地味。
…全然作風違いますが、るう子「ストライクウィッチーズの宮藤芳佳」
に対してのすず子「ブレイブウィッチーズの雁淵ひかり」くらい、魅力度に差がある。(ひかりちゃんも、すず子ちゃんも頑張っていて悪くは無い主人公なんだけど、前作主人公がある意味「規格外のバケモン」という意味で)
…コイン技は「相手の本音を聞き出す」
奇しくも「魔法少女育成計画」の主人公・スノーホワイトちゃんと異能が同系列の主人公ですな。(すず子の方が強力?)
すず子ちゃん、スノーホワイトよりは能動的に頑張ってはいましたけれど…力不足感は否めない。
…岩石の巨兵!月に攻撃だ!的なシーンは良かったです。

すず子への執着の裏返しで憎しみに転じた百合ヤンデレ・森川千夏(ちーちゃん)の方がインパクトあり。
追い込まれていく優等生美少女、なりふり構わぬ有能さ。
計算ずくの営業スマイル…可愛すぎる!これは男セレクターでは太刀打ちできんわー。
…ただ、彼女もある意味素直なキャラクターであり、更に踏み込んだドロドロさは足りなかった感も。

チャイカみたいな喋り方と「肯定。」とかの二字熟語多用が可愛いメガネっ子はんなちゃんも中々。
四字熟語キャラはちらほらいるけれど(プリパラのシオンとか)、二字熟語キャラは珍しいです。
精神的にしっかり者で頼れる友達でした。

ピルルクたんもとい、水嶋清衣ちゃんの強キャラ感ステキ。続編あれば彼女がカギとなりそう?

すず子のパートナー・リルは、いつも応援してくれたりするものの、終始信用できない感じ、タマ程のベストパートナー感は無かった。
かといって花代さんは嘘付きだ!的な見せ場もなく、地味。
ルリグは全般的にゲスが多かったような。

男性陣が面白い。
シスコンな鳴海、千夏の事が好きな翔平、その他モブも…
翔平は男視点のドラマだったら主人公の器だったろうに。

ブックメーカー・里見のゲスっぷりは良い敵役でした。
ただ、単に愉悦したいだけ、彼独自の敵としての魅力はいま一つ。
なんといいますか、悪意が人工的な感じ。
天然物の狂気(前作のあきらっきー、ウリス、マユ)に比べると…{/netabare}

投稿 : 2017/01/26
閲覧 : 323
サンキュー:

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