「幼女戦記(TVアニメ動画)」

総合得点
93.7
感想・評価
2171
棚に入れた
10446
ランキング
9
★★★★☆ 3.9 (2171)
物語
3.9
作画
3.9
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
3.9

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

異世界転送ものより、架空戦記に近いような

 原作は未読。
 形としては流行りの異世界転送ものだが、多くのその手の作品の転送先世界が中世、あるいは
近世ヨーロッパ風のそれであるのに対して、本作における異世界は第一次世界大戦(以後WW1と
表記)時のヨーロッパ風。もっとも一部の兵器や戦局は第二次世界大戦(以後WW2と表記)風で
あったりするので、正しくはWW1とWW2の折衷的世界と言うべきか。
 そういう意味では、最近増えてきたリアルなミリタリー要素とファンタジー要素を融合させた
作品(「GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」、「終末のイゼッタ」など)の系統の方が
近いのかなという感じ。
 ファンタジー要素もほとんど魔法の存在のみに絞られている感じ。
 この魔法だが、作品内では飛行と強大な火力による強力な兵器としての扱いがほとんどで、
この世界にもWW1相当の航空戦力があるが、魔法はそれ以降(現実世界におけるWW2から現代)の
航空戦力のメタファーといった印象。
 本作は加えて、転送先世界の状況が主人公であるターニャ・デグレチャフの転生前の世界の
過去歴史そのものではないものの、WW2の戦局に似た世界に転生したことで一種のタイムリープ
要素も加味されているところが面白い。

 世界観や設定もさることながら、ターニャというキャラが魅力的で、転生前は中年の
サラリーマンという出自を始め、独特の個性を感じる。
 ターニャの人間性はとても善人とは呼べないようなものだが、幼い女の子という見た目、更に
表面的な行動は模範軍人のそれであることが、見事に彼女の本質を覆い隠してしまっている。
 参謀将校のエーリッヒ・フォン・レルゲンはその本質に気付いて、ターニャを危険視しているが、
危険視しつつも彼女の言には頷かざるを得ないというジレンマが面白いところ。
 このターニャだが、自分の安寧のために色々と動くがミッションクリアといった局所的な部分では
うまくいきこそすれ、その結果から生じる展開は本人の思惑から外れていったり、周りがターニャの
本質に気付いていないために、彼女の行動に対する本人の真意と周りの受け止め方が異なるなど、
色々な部分でのずれがコメディ要素としてうまいこと機能している感があった。

 終盤で語られる合理性を越えた感情による戦争の継続。これは帝国のみならず、語ったターニャ
自体にも引っ掛かってくることで、ターニャが戦果を上げれば上げるほど敵が増えていくような
展開はなんとも皮肉な印象を与えるし、先行きの不安さも感じさせる。

2018/11/18

投稿 : 2018/11/18
閲覧 : 228
サンキュー:

13

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