「サクラダリセット(TVアニメ動画)」

総合得点
77.2
感想・評価
728
棚に入れた
3226
ランキング
629
★★★★☆ 3.6 (728)
物語
3.6
作画
3.5
声優
3.7
音楽
3.5
キャラ
3.5

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ネタバレ

oxPGx85958 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

コメディとして見ています -> 心地よい映画でした

最後まで見ての感想

2クール目に入って話がつまらなくなったように感じ、放置していましたが、放映開始から1年経って一気に最後まで見通しました。大きな物語の仕掛けとその解決、そして中心人物たちの感情的要素の解決は、個人的には必ずしも満足できるものではありませんでしたが、本作のそれ以外の要素は最後まで高いレベルを保っていたと思います。

私にとって本作を見ての一番の収穫は、花澤香菜という人の凄みを知ったこと。つい最近アニメを見始めた私には、すでに人気を集めていたこの人の魅力が今ひとつわからなかったのだけれども、本作を見て、この人にはずば抜けた能力と魅力があるということがよ~くわかりました。そもそも春埼美空というキャラクターは役者冥利に尽きるであろう設定ではありますが、この花澤香菜以上の造型がありうるとは想像できないぐらいの説得力がありました。

やはり良かったのが石川界人。この人には特にいい印象を持っていなかったけれども、本作の全体的なセリフ回しのコントロールの仕方は素晴らしかった。ここの部分が変だったら、本作は見るに堪えないアニメになっていたでしょう。

最後に、劇中音楽を担当しているのは Rayons というアーティスト。この名前を知ることができたのはよかったです。特にアニメ作品の流れに合っているという感じはしなかったけれども、純粋に音楽としてきれいで、気持ちよく、面白かった。


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12話まで見ての感想

今期、当初は面白くなりそうに感じたアニメが次々と失速していくなかで、本作は12話までずっと楽しく見ることができています。それだけでなく、今期の作品の中で唯一つ、何度も見返しています。

謎解きの要素やストーリーテリングの構造上、見返す意味があるということもあるけれども、それ以前に、見ていて不快感がないということが非常に大きい。ていねいに、クリーンに作られていると感心します。

石川界人は相変わらず素晴らしい。あと、12話まで見てきて花澤香菜の良さを改めて確認しました。もともと振れ幅が小さい中で、春埼美空というキャラクターの演じ方を微妙に変えていっている。役者冥利に尽きる役だったのではないかと。

ミステリ的な要素の設定とその解決も、アニメとしては珍しく、いまのところ大人の鑑賞に堪えるものです。おおもとの設定がバカバカしく非現実的だということが有利に働いているのは間違いない。ちょっとP・K・ディック的な陽気なバカバカしさを感じます。


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6話まで見ての感想

第1話の時点では、ATG映画っぽい凡作になるか(これまで見たアニメで言うと『すべてがFになる』みたいな)、ライトノベル的に底の浅い駄作になるか(『ココロコネクト』みたいな)のどちらかだろうなと思ったのですが、第3話あたりからちょっと印象が変わり、6話の時点ではかなり楽しんで見ています。

シュールリアリスティックな状況を皮肉っぽく描くコメディとして。

原作がそういう趣旨のものなのか、私は知りませんけれども、少なくともこのアニメには皮肉っぽいユーモアのセンスがあるように感じられます。物語のシリアスなところから一歩離れてニヤニヤ笑っている感じ。英語でいうと、自分自身を take seriously していない。登場人物たちの仰々しいセリフや語り口、無理矢理な設定が、バカバカしいものであるとわかっている。

そんな印象を私が受けているのは、主にコメディのタイミングがうまく行っているからです。声を出して笑ってしまったシーンがこれまでにいくつかあったけれども、普段がとてもロウキーであるだけに、またコミカルな要素が押しつけがましくないために、コメディの効果が強化されている。例を挙げれば、{netabare}幽霊が宙に漂っているとか、自ら頭に手を貫通させるとか。{/netabare}。誉めすぎですけれども、ブニュエルの喜劇作品を連想しました。

ストーリーと舞台設定がめちゃくちゃなせいで、先が読めないという好ましい副作用が生じているのもいい。

紙芝居かラジオドラマか、という感じのアニメーションを、あまりいらだつことなく見ていられるのは、主役を演じている石川界人の力が大きいと思います。この人には型どおりのアニメ的演技をする人という印象しかなかったのですが、本作の抑えた演技(というかむしろ「ナレーション」ですね、これは)は絶妙なライン上にあって心地よい。

あとは、小さな役でしたが、「クラカワマリ」を演じた久野美咲の凄さを改めて感じました。

この先、もうちょっと意味のある感情移入が可能なストーリーが展開して、オーソドックスな作品になっていくのか、このままずっとコメディをやっていくのか見届けたいと思っています。仮にこの先変なことになっても、ここまでの展開で十分に記憶に残る作品になりました。

投稿 : 2018/04/11
閲覧 : 343
サンキュー:

8

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