「冴えない彼女の育てかた♭(TVアニメ動画)」

総合得点
92.8
感想・評価
1421
棚に入れた
7700
ランキング
16
★★★★☆ 3.9 (1421)
物語
3.8
作画
4.0
声優
3.9
音楽
3.7
キャラ
4.0

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takarock さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

♭な視点、丸戸史明氏の視点

これは1期のレビューでも書いたことなんですけど、
本作のキャラ配置として、
澤村・スペンサー・英梨々(よくいるツンデレキャラ)、
霞ヶ丘詩羽(よくいる量産型戦場ヶ原ひたぎ)、
安芸倫也(よくいる鈍感ヲタク主人公)と如何にもなテンプレキャラの中に、
♭(フラット)な立場である加藤恵となっています。
(他のキャラに比べて名前が地味なのももちろん狙いでしょうねw)

英梨々や詩羽、そして加藤自身の好意にもまったく気づかない、
どこまでもハーレムものの主人公気質な倫也に対して加藤は
「倫也くんは本当に幸せな思考回路をしてるよねー」的な
腐すような発言をします。
これっていうのは、視聴者の声でもあり、丸戸史明氏の声でもあるかなと。
つまり、加藤恵というキャラを介しての丸戸史明氏のテンプレ(作品)に対する批評が
この作品の本質だと思っていたんですけど、
2期を観ている中でその印象も若干変わってきました。

キャラを介して持論を語るという構図は一貫していますが、
そのキャラは加藤恵に限らないんですよね。
クリエイターとしての持論を、英梨々を介して語り、
シナリオライターとしての持論を、詩羽を介して語り、
そして自らの哲学を、倫也や加藤恵を介して語る。

「テンプレは確かに大事だけど、(2次元)ヒロインだって人間なんだ」
これこそが丸戸史明氏の魂の叫びだと思います。

だからヒロインたちは倫也(そして読者や視聴者)の都合のいいだけの存在じゃない。
煩わしさだったり、マイナスの感情だって持ち合わせている。
時には諍いだって生じる。
だって人間だもの。

本作はハーレムものの皮をかぶっていますが、
キャラを介して丸戸史明氏が自らの持論を語り、
その主張が「ヒロインだって人間なんだ」という作品です。
「ハーレムものとして些かシリアスに寄り過ぎてる」という感想の方もいるでしょうが、
そもそも、如何にもなハーレムものの展開を本作に求めてもあまり意味がないように思えます。

0話のサービス回での「結局露出すれば円盤が売れる」みたいな発言は、
丸戸史明氏の作品の「WHITE ALBUM2」(アニメ)の円盤の売れ行きからして
続編が絶望的なことに対する皮肉なのかなとか、
「物語シーリズ」のパロは、
やはり同じ物書きとして西尾維新氏のことを強く意識しているのかなとか、
私はメタ的な視点を楽しんでいましたけど、
これらを抜きに単純に物語としても楽しめる作りになっているのが、
丸戸史明氏の抜け目のないところでしょうね。
一応ハーレムものの体はなしていますし、
あるいは、ゲーム作りのクリエイター物語として捉えることも可能です。
視聴者がどのように本作を捉えるかによって、
本作に要求するものというのも、また異なってくるわけですが、
どのような要求をされても一定水準以上で満足してもらえるものを提供する。
まるで「これがプロフェッショナルの仕事だ」と言われているようですw

投稿 : 2017/06/29
閲覧 : 395
サンキュー:

35

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