「メイドインアビス(TVアニメ動画)」

総合得点
92.5
感想・評価
2230
棚に入れた
9196
ランキング
20
★★★★★ 4.1 (2230)
物語
4.3
作画
4.2
声優
4.1
音楽
4.1
キャラ
4.1

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Tnguc さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

美しくて過酷な世界、それを見事に表現した美術背景と音楽

~
直径1000m、深さ不明。
「アビス」と呼ばれる巨大な縦穴が存在する孤島を舞台に、
その最深部に挑戦する探検家を題材としたアドベンチャー作品。
イラストレーター・つくしあきひとの漫画が原作。

まず、第1話を観て驚いたのが、美術背景と音楽の美しさだった。
陰陽のコントラストが美しく広がるオースの街、そしてOP曲(挿入歌)から伝わる圧倒的な雰囲気に引き込まれる。
アニメーション自体のクオリティーもさることながら、やはり特筆すべきはこの2つだと思う。

つくしあきひとの描く絵本のような色彩が、美術背景にしっかりと反映されていて、制作陣の熱意が伝わってくる。
音楽にはオーストラリアの作曲家、Kevin Penkinを起用しており、これがまた良い。
あどけない少女たちの旅路に添えられたピアノや弦楽器の旋律、インダストリアルなデジタル音楽、
不気味なアビスの世界を表現した環境音楽まで、実に多彩な劇伴が用意されていて、
そのどれもが儚げな幻想色で彩られている。
これらの劇伴と美術背景は、とくに第1話と最終話で大きく貢献しており、純粋に観る者を魅了してくれた。

この作品は、ダブル主人公のリコとレグが、アビスの底を目指していくだけの物語である。
アビスの縦穴は階層のように区画されていて、各階層ごとに独特な世界が構築されている。
様々な姿を見せるアビスの階層には、その地に合わせた生態系が息づいていて、リコたちの前に立ちはだかる。
ファンブックから飛び出してきたかのような細かいアイデアが、アビスの至る所に散りばめられており、
作者のイラストレーターとしての性分みたいな拘りが感じとれて、とても面白い。
おかげで、本作のウィキペディアも充実した内容となっている。

リコとレグは、各階層を一つ一つ歩みながら、アビスの底を目指していくが、
深界二層から三層までは、意外にもアッサリと進んでいくので、
冒険モノと銘打つわりには緊張感があまり伝わってこなかった。正直に言うと、平凡。
深界四層から、アビスの過酷な世界が牙を剥いてリコたちに襲い掛かってくるので、ここから途端に面白くなる。
ビジュアルに似つかわしくないショッキングな描写が増えるものの、
絶望的な環境に投じられ、懸命に生きようとするリコたちの姿には目が離せなかった。
アビスを通して己と戦うリコたちの姿は、本作の見どころだと思う。

レグの正体や、アビスの最深部、ボンボルド卿の企みなど、
ほかにも色々な見どころは用意されていたが、殆どが回収されずに終わってしまった。
なぜなら、原作が完結していない現状、まだ単行本が6巻までしか発行していない事実は、
どうあがいても「深界6巻までが限界」という作品上の制限が生じてしまったからだ。
こうなると、打ち切り漫画と同じ評価をせざるを得ないところだが、
50分ほどに拡大された最終話が、作品の一区切りとして上手く仕上がっていたので、
視聴後の充足感はとても大きく、悪い印象もあまり残ることはなかった。
「終わり良ければ全てよし」という具合だ。

欲を言えば、原作が完結した上でアニメ化させて欲しかったが、
出来れば、2期でアビスの底に到達してくれることを切に願うばかり。

制作陣の「良いものを作ろう」という情熱が感じとれる作品は、良いアニメだと思う。


物語:★★★☆☆ (物語の基盤自体は「ワンピース」と似ていてシンプルな作り)
作画:★★★★★ (とくに美術背景が良い仕事をしていた)
声優:★★★★★ (キャラとマッチしていたと思う。ナナチとオーゼンがお気に入り)
音楽:★★★★★ (最終話のラストに流れていた劇伴がとても良い余韻を与えてくれた)
人物:★★☆☆☆ (アビスに挑む覚悟が楽観的なのが残念。リコの成長が伺えない点も同様)

個人的評価:★★★★☆ (4.0点)

投稿 : 2017/12/06
閲覧 : 449
サンキュー:

40

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