「サマーウォーズ(アニメ映画)」

総合得点
88.1
感想・評価
4180
棚に入れた
21248
ランキング
130
★★★★☆ 4.0 (4180)
物語
4.2
作画
4.2
声優
3.7
音楽
3.9
キャラ
3.9

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 2.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

陳内丸(じんのうちまる)!

アニメーション制作:マッドハウス
2009年8月1日に公開された115分間の劇場版アニメ。
『時をかける少女』のスタッフが製作した長編オリジナル作品。
監督は細田守。

【あらすじ/概要】

世界中のあらゆることがインターネットの一つのwebサイトの中で代行できる世の中。
ユーザーアカウント数が10億人を超えるネットゲームみたいな仮想世界OZでは、
パソコンや携帯電話などの端末から自分のアバターキャラを操って、
高度なリアルタイム翻訳機能による、世界中の人々と人種や国家を越えてのコミュニケーション。
買い物やゲーム以外にも、決済・行政サービスなどリアルで出来ることが何でも出来てしまう。

主人公の小磯健二は都内の高校に通う高校2年生。
特技は数学で数学オリンピックの日本代表候補という高いレベル。
そんな彼が校内の人気者の篠原夏希先輩から誘われて、夏休みのバイトをすることに。
バイトの内容とは、夏希の彼氏のふりをして彼女の曾祖母が当主を務める、
長野県信州上田にある本家で親戚連中の相手をしながら過ごし、
曾祖母・栄の90歳の誕生日を一緒に祝うというものだった。

本家は陣内(じんのうち)家といい、武田の旧臣で徳川に何度も煮え湯を飲ませた戦国武将の末裔。
ご先祖様のエピソードは、歴女のアイドルである真田幸村で有名な真田家の丸パクリであり、
どうやら、この世界の歴史では真田家が陣内(じんのうち)家にすり替わっているらしい。

資産家の一族ではあったが、曾祖母の栄の入婿(故人)が酷い浪費家で、
財産は食いつぶされていて、一族は普通の仕事に就いていて庶民の暮らし。

20人を超える親戚連中に辟易とする健二。それは健二の知らない世界だった。

誕生日の二日前の2010年7月30日になった夜。
健二の携帯電話に膨大な数字の列だけが示された謎のメールが送られてきた。
数学を使った暗号問題だと思って、健二はそれを解いて返信してしまう。
明くる朝、大事になっていた。仮想世界OZがハッキングされ管理権限が乗っ取られたことで、
この世の機能の多くをOZに依存していた世界は大混乱。
ニュースによると、その容疑者は未成年ということで実名を伏せられているが、
目線を隠されてる写真の顔は健二だった。

【感想】

調べてみると、2000年に公開された同じく細田守監督の映画作品、
『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム』のキャラを差し替えて、
キッズ向けを一般向けに手直ししたリメイク映画でシナリオや設定が殆ど一緒っぽい。
そっちは自分は観てないですが。

テーマは「親類の家族の繋がり。」

細田守監督の身内の病気や不幸が重なったことで、影響があったのかもしれません。
作中でも不幸がありながらも湿っぽさは薄く、あくまでも前向きな作り。
これは、監督が自分自身に向けて作ったものでも在るのかも知れません。
監督自身が妻の実家で得た経験で感じた喜びを視聴者にも共有して欲しかったのかもです。
田舎の親類のオヤジの酔った上のセクハラに近い発言とか鬱陶しい感じですが、
これは監督の実体験なのでしょうか?

観た感じとして、キャラが多くて賑やか。その反面に個々のキャラの印象は薄いですね。

特に親戚の女どもは口だけで役に立たない。
普通の人と有能な人の区別化で普通のおばちゃんに活躍の場なんて最初から無いということですかも。

美少女設定があるものの、ヒロインの夏希なんか印象も性格も超薄くて、
下手すればモブに埋没してしまいそうな感がアリアリで、
ヒロインの地位を守らせるために無理矢理にクライマックスで活躍の場を与えられ、
主人公・健二との絡みを申し訳程度に入れた感じです。

ファミリー向けのエンタメ指向と監督が描きたかったものを色々と混ぜて、
どことなく、とっ散らかった印象を受けました。

思えばツッコミどころ満載の設定とシナリオ。
騒動の発端に関わる人物、解決に関わる有名人など、
作品のキーマンとなる人物が日本の限定された田舎の血族に何人も存在していたり、
超多機能のSNSサイトのユーザー権限が乗っ取られたら社会機能が麻痺するとか内容が漫画すぎ。
民間の一企業のwebサイトで政府や公共機関の個人のアカウントを持ってたら、
webサイト経由で公共施設を遠隔操作し放題って、
セキュリティが異様に杜撰でリスクマネジメントが酷い世界ですよねー。
トランプ大統領がツィッターのアカウントをハッキングされたら、
核の発射ボタンを第三者に握られたようなガバガバなシチュエーション作り。

違法ファイル共有ソフトでウィルス感染して個人情報が流出したのと同じレベルで扱われている!オイオイ!
って思いました。
主人公たちを活躍させるために社会全体を無能にしてるのが気になりましたね。
まあ、子供向けアニメの設定と展開を一般向け家族向け作品にコンバートしたモノですので、
子供向けで済ませてるうちは無視できたことが、こっちでは作品のアラになったかなって感じ。
この作品にリアルさなど一切求めずに、ただ娯楽としてだけ愉しめば良いのかもしれません。

これは、細田守監督の生み出した夢と理想の世界なのかもしれませんね!
共鳴して付き合える人には最高の娯楽かもしれません。
わざとらしい夢と希望と御都合主義に見えるのですが!

話のなかで高校野球と世界の危機をオーバーラップさせた展開とか、
陣内家へのご祝儀と言わんばかりの終盤に唐突に出てくるアレだとか、
私からみれば「興奮と感動するポイントはココ!」と若干に装飾過剰気味に思えて、ちと感性に合わない作品でした。

製作者の意図通りに乗せられて、わかっているのに感激できる作品は世の中に幾つも存在しますが、
サマーウォーズのシナリオには強く心が動かされるものは、特にはありませんでした。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2017/07/13
閲覧 : 414
サンキュー:

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