「サクラクエスト(TVアニメ動画)」

総合得点
81.7
感想・評価
930
棚に入れた
4258
ランキング
388
★★★★☆ 3.6 (930)
物語
3.5
作画
3.7
声優
3.6
音楽
3.5
キャラ
3.6

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ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

特別な街の東京の――その空気を吸うだけで私は特別になれると思っていたのかな……

[文量→特盛り・内容→考察系]

【総括】
いや、それ、SLAM DUNKの谷沢(安西先生の教え子でアメリカに行った子)で、正確には{netabare}「バスケットの国アメリカの、その空気を吸うだけで僕は高く跳べると思っていたのかなぁ…{/netabare}ですがw

まあ、そんなアニメです! これだけだと分からないと思うので、詳しくはアニメをご覧下さい♪

「花咲くいろは」「SHIROBAKO」に続く「お仕事シリーズ」第3弾。上記2作はお気に入り棚です。本作はそこまでのクオリティではありませんでした。でも充分に面白く、安心安定のP.Aといった感じで、地味ながらも丁寧に作られていて、好印象です。こういうアニメ(しかもアニオリ作品)は、もう少し評価されてほしいですね。

P.Aのお仕事アニメって、本当にドラマ性があって、(やってほしいかは微妙だけど)少しアレンジすれば朝ドラに出来そうなものばかりですね。勿論本作も。

序盤~中盤は盛り上がりも少なく、退屈さを感じるかもしれませんが、終盤は尻上がりによくなるシナリオに感動しました。中盤までは評価3でしたが、終盤で4にしました。なんとか振り落とされず、完走してほしい作品です♪


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
主人公の木春由乃は、「自分は特別な何かになりたい」と思っている、普通の女子大生。作品冒頭、「東京には何でもある」「間野山には何にもない」と言う由乃。でも、自分は就活に30連敗している。つまり、本人は認めたくなくとも、実は(間野山と同じように)「自分にも何もなかった」ということ(厳密には、何も見つけられていなかったということ)。

詩人のナカムラミツルさん(元19)の言葉に、「人生はかけ算だ。どんなにチャンスが巡ってきても、僕がゼロなら意味がない」というものがある。

「確かに、東京には何でもあるかもしれない。でも、君には何があるの?」という、胸にグサッとくる問題提起が含まれている。

「何もない」と思っていた「間野山」や「木春由乃」にある、「何か」。それを探していくアニメだった。

退任式での由乃の挨拶は、それを端的に表していた。考察とは、あえて描かれない行間を考えることであるが、「普通の風景の中にある、間野山にしかない唯一無二の文化や歴史や風景に気付けた」という由乃の挨拶は、実にストレートに本作の主題を述べていて「考察の余地がない」。それが素晴らしい。

例えるならば、毎回シンプルかつ律儀にOPから始まるこのアニメのように、真っ直ぐな作風だからこそ、そして、分割ではない2クール作品として、計画的かつ丁寧にストーリーを積み重ねてきたからこそ、こんなシンプルな言葉に感動するのだ。

みづち祭りで何度もアップになった、玩具の神輿(シャイニングドラゴン)には、「大切なのは見てくれじゃない。そこに、人々がどんな想いを込めるかだ」「結局、そのものの価値とは誰かに与えられるものではなく、自身が決めることだ」というメッセージが込められているのだろう。無条件かつ妄信的に都会(東京)を肯定していた、由乃やエリカとの対比が見られる(いや、都会も良いところです。無条件かつ妄信的に、という部分がダメなんであって、それは、何も考えなしに「現状維持」を選んでいた、田舎(間野山)の人間にも共通するダメさです)。そして、「みんなが変えよう」という本気の思いが集まれば、きっと間野山も変わるのだと思う。

特別(国王)であることをやめることで、特別(自分自身)になった、退任式。冠を被ることに価値を求めたことはあっても、冠を脱ぐことに価値を求めたことがなかったので、心に響いた。

「派手な色のことだけを個性だと勘違いしている人がたくさんいるね。透明や白、うすいピンクに淡いブルーも、とてもとても個性的。あなたはあなたのままでいい」(byナカムラミツル)

「みんなと同じことはしたくない。という、みんなと同じ言葉」(byだいたひかる)

「そうさ僕らは世界にひとつだけの花。一人一人違う種を持つ。その花を咲かせることだけに、一生懸命になれば良い」(by槇原敬之&SMAP)

……「個性」とか「お前はお前のままで良い」とかアニメでも他の媒体でも散々言われてきたことかもしれない。でもそれだけ手垢がついているのは、普遍性がある証だし、本作のように、丁寧かつ温かく見せられると、また違ったカタチで胸に響く。ようは見せ方なんだと思う。

最終回は、おそらく多くの視聴者が予想していて、変に期待を裏切らない安定した展開。

間野山に根を下ろし、新たな生活を始める、早苗。部屋から飛び出し、間野山を知るためにも世界を知ろうとする、凛々子。夢に挫折したが、新たな形で夢を実現差せていこうという、真希。これまでと変わらず、しかしこれまで以上に地元を愛し発展させようという、しおり。そして、これからも自分を探し続けるため、あえて新たな世界に飛び込む、由乃。

五者五様の選択ではあるが、全員に作中での成長が見られ、大変に爽やかである。

ラストシーン、由乃が車窓からみた光景は、「特別になりたい」という彼女の願いが叶った瞬間だった。「木 春由乃」という、1話の伏線を回収する横断幕はズルい。あやうく、クソジジイに泣かされるところだった(笑)

書きたいことは尽きないが、あいかわらずの長文になってきたので、その他の雑感は箇条書きにしたい。

{netabare}
・中学生や高校生の友情とは違う、ちょっと大人の友情が良い。

・「だんないよ」を流行らせようとしてるけど、流行るのか?

・オバチャンやジジババが多い。それがリアルだし、それで充分におもしろい。

・ドクだけは異質。あんな発明できたら間野山有名になる。普通に、腕の良い頑固な技術者か、技術はないが発想豊かな研究者で良かった。

・中盤以降サービスシーン増えたけど、テコ入れかな(笑)

・竜の歌、時代背景からすると歌詞の日本語が新しすぎるな。

・鈴原教授、死ぬ必要はあったのかな、、、。

・エリカの毒舌は的を射ていて気持ちいいw

・ピロートークネタは、一番笑ったw

・間野山は五万人。ウチの故郷は五千人ですが、なにか文句ありますか?(笑)

・私はUターン組です。東京も好きですよ。でも私は、5~6年東京に住んで、東京の「施設」が好きなんだと気づきました。私はやっぱり、地元である岩手(東北)の、(空の広い)「風景」、(雑wで寛容な)「システム」、(引っ込み思案でクセが強く、でも優しい)「人」が好きで、田舎に戻ってきました。そういう人間からすると、本作はドストライクなんですよね、垢抜けてないけどw
{/netabare}

……「変わらないためには変わり続ける必要がある」というのは、同社の「花咲くいろは」で使われた台詞であるが、本作で述べられた「間野山には昔から大切にしていることがあった。異文化を排除することなく、知恵として受け入れ、常に変化し、生き残ろうとする心。皆が忘れかけていた心を、若者で馬鹿者で、よそ者の国王が思い出させてくれた」は、それと共通する考え方だ。

思えば、「松前緒花(花いろ)」も「宮森あおい(シロバコ)」も、「若者で、馬鹿者で、よそ者(新人)」だった。「お仕事シリーズ」とは、「若者で、馬鹿者で、よそ者」の物語なのかもしれない。


以前、私は「クロムクロ」のレビューに、(クロムクロも評価4なので面白かったけど)「P.A.WORKSには、大きな世界を壮大に描くのではなく、小さな世界を丁寧に描いてほしいと思ったし、これからも自分にとって特別な制作会社でいてほしいと思った」
なんて偉そうなことを書いたが、本作は正に、「小さな世界を丁寧に描いた」、自分が思い描くP.Aらしさが詰まった作品だったので嬉かった。今後も、このように(地味と言われても)素敵な作品を生み出し続けてほしい。制作の皆さん、お疲れ様でした♪
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
街ぐるみで本当にRPG演技してれば、元値0でそこそこ人を呼べるかもしれんな。なんか、朝ドラに出来そうなストーリー、設定。ギリギリ有り得るラインの、素敵な奇跡♪

2話目
ボンビーガール(TV)の美咲ちゃんみたいな仕事かな? 人口5万人って、うちの故郷は5千人だけど、文句ありますか(笑)? 田舎育ち、強いw

3話目
いや~、この回(ドクの存在)はダメでしょ。実用可能な人工筋肉とか、凄すぎ。この作品は、リアル路線でしょ、絶対。木彫りのスマホケースは売れてるよ。

4話目
間野山彫刻は、誰の物でもないし、好きして良いとは思うけど。まあ、ブラック企業アルアルですな。

5話目
サクライケファミリは少し厳しいかな。駅というのは、まあ落とし所としては悪くないが、(停車時間次第だけど)観光客が駅だけ観て帰るおそれもあるな。

6話目
なんか、花いろで観たなw メインキャラの掘り下げ、暫く続きそうな流れ。

7話目
火災のシーン、無駄にドラマを盛り上げないところは、リアル路線として良かったと思う。エンドロールのクダリ、素敵だね♪ 何でもやらせてくれる町、間野山ってのは良いかもねw

8話目
この人達の愉快な日常(街おこしの様子)を動画でネットに毎日アップし続ければ、話題にはなると思う。むしろサタン、には笑ったw 役所と商工会の対立は、まああるわな。

9話目
全て無料!? バカか、、、。PRだとしても、ちゃんと採算はとろうよ。

10話目
コメディ要素は良いね。

11話目
時代背景からして、歌詞の日本語が新しすぎるのが気になるところではありますが。かけおちの里は、新しいなw

12話目
情熱大陸? 十分普通じゃないって(笑) 街って、建物ではなく、人(自分)の集まりなんだよね。本屋とか畳屋の意見はリアル。ライブか~。なんか飛び道具だな。

13話目
いや~、密着モノなら、本番前にOAチェックするんじゃない? 私達(街おこしガールズ)を見せたいんじゃなく、間野山を見せたいわけじゃないしね。いや、由乃は悪くないでしょ。微力は無力じゃないし。

14話目
OP変わりましたね。格好良い感じ。微妙なエロがw クソババア、会長を批判するのは良いけど、じゃあ、なんかやれと。早苗で東京との対比、由乃で故郷との対比を魅せるのは良いね。

15話目
ん? 会長が持っている日本酒「北陸美人」は、我らが岩手の名酒「南部美人」じゃないかい? 色こそピンクと緑で違いはあるけど、デザインや字体はほぼ南部美人。(多分)富山に○○美人って日本酒、ないような気もするし。どうせなら、銀嶺立山とか、富山の酒をアレンジすれば?

16話目
クソババアの意外な過去。新たなものを作るというより、あるものを活かすことが大切。なんか急にクエスト発生w

17話目
田舎の老人にネット仕込んだらリアルに起きそうなトラブルで○。

18話目
デジタルアーカイブ。人間、何がツラいって、自分が生きた足跡が消えてしまうことだからね。このシリーズは一番良いシナリオだね。ネットの普及か始まり、キチッと街起こしをやる。今までとは違った形であり、リアルさを崩さずに、効果的に、出来る範囲で。しかし、最後の最後に、悲劇が。ちょっと軽さが気になったけど。死ぬ必要あったかな?

19話目
廃校は維持費かかるから、ルンバ大量に買って掃除させてるとこあるってテレビで見たな。真希、意見変えるまでが早いな。

20話目
落ちたことを泣けるだけの悔しさがまだあるってことだね。でも、切り替えて、前に進もうという真希。開放式、人の心を動かす、良いシナリオだね。小劇団の立ち上げ、良い落とし所だと思う。尻上がりに良くなっていくな。

21話目
ピロートークネタは、笑ったw シャッター街のリアルさ。実は誰も困ってないって、その通り。

22話目
子供(エリカ)の無茶な行動で、迷惑をかけるって話だね。ジャズ喫茶か、渋いw

23話目
商店街の閉鎖も、アリかなと正直思ってしまった。廃校の立地がわからないけど、元中学校ならさほど中心部から外れていないはず。やる気のある商店はそちらに移って、ショッピングモール化しても面白い。話題にもなる。飲食系は、ちとキツいけど、調理室&持ち込みで。市役所がテナント料格安にすればなんとかならない?

24話目
ウチの町は市町村合併で損してるよ。ジジイとババア、仲良しじゃんw 会長強し、やはり馬鹿者w 外から内に、意識が変わったね。やはり、ドクは違和感。

25話目
あやうくジジイに泣かされそうになった。良い最終回。

{/netabare}

【余談~ もしかして、制作陣はミニ独立国の取材で岩手来てますか? ~】
{netabare}
間野山市のモデルが富山県南砺市であるのは間違いないとは思いますが、「ミニ独立国」の取材で、私の故郷の岩手県に来ているんじゃないかと、薄~い推理をしてますw

根拠は2つだけです(笑)

①現存するミニ独立国は数少なく、その1つが岩手県の「カシオペア連邦」

②15話で会長が、18話で教授が持っている日本酒(北陸美人)が、どう見ても岩手県の地酒「南部美人」

ということです。特に②には違和感を感じました。ラベルのカラーこそ(ピンク→緑で)違うものの、デザインや字体はほとんど南部美人そのまんま。富山には○○美人って酒は(多分)無かったと思うし(もし違ったら指摘して下さい)。

あれだけ地元愛が強い会長やP.Aが、ましてや日本酒所の富山(がモデル)なのに、富山の酒を出さない訳がない。

んで、それを恣意的に解釈すると、「取材で行った岩手へのこっそりリスペクト」とはならないだろうか。遊び心というか。

勿論、ミニ独立国は、多分全国の色んな場所をモデルにしたのだろうけどね。
{/netabare}

投稿 : 2017/09/25
閲覧 : 369
サンキュー:

38

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