「東京マグニチュード8.0(TVアニメ動画)」

総合得点
86.3
感想・評価
2690
棚に入れた
13807
ランキング
200
★★★★☆ 3.8 (2690)
物語
4.1
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

もし首都直下型地震が起こったら?

2017.12.26記

全11話ワンクールもので気軽に視聴しやすい話数でもありつつ、番組タイトルでもわかるように「東京で地震が起こったら?」の設定が事前に分かった状態から入れる分、ある意味とっつきやすいです。

物語は東京湾岸でM8.0クラスの地震が発生し、お台場で地震に遭遇した主人公である姉(小野沢未来)弟(悠貴)が知り合ったシングルマザーのお姉さん(日下部真理さん)と一緒に自宅のある世田谷を目指して悪戦苦闘するお話。
OPでフィクションですと断りは入ってますが、災害監修を受けてリアリティを追及した場面設定や描写は、東日本大震災を経験した私たちからみてもあまり違和感なく受け止められる作りになっています。そのため、帰宅途中におこる出来事のひとつひとつが説得力があるものとなっており物語に惹きつけられる要素となってます。それに製作者の意図がどこにあるかはわかりませんが災害時の身の処し方の助けになるなど啓蒙的な意味合いもあります。

と、どうしても神妙になりがちで軽々しく扱うのも申し訳ないテーマなので、ちょっと災害描写以外のところにも焦点をあててみると、この手の災害モノってほぼ例外なくパニック系で展開するのが王道なんですが、そうと思いきや、パニック要素はあまりないです。パニック系を期待すると期待はずれみたいなことはあるかもしれません。
全体を通して家族愛や助け合いをメインに淡々と物語は進みます。
さらに主人公のミライが中一で反抗期全開のキャラ設定でスタートするのでけっこうイラッときます。

それでも全話通して観ると満足のいく内容だったと思います。イラッとくるミライも短期間で成長していくので温かい目で見てあげてください。


若干ネタバレに踏み込みます。
震災の描写について
{netabare}
個人的な話で申し訳ないのですが、被災県出身の身としては現実に起こったこととどうしても比較してみたり、フラッシュバックしてしんどくなったりという前提での感想です。ご容赦ください。
■余震の描写
当然頻発しますが、徐々にメンタルやられてく削られていく様はその通りです。たまらず絶叫している人の描写がありますが、見てて苦しくなります。
■古市さん
孫を無くしてもなお避難民の誘導を率先していたボランティアの老人ですが、このような人は東日本大震災ひいては阪神淡路の時もいましたよね。職務を全うされようとする姿勢に敬意を表さずにはいられません。アニメだけど。それと古市さんの奥さんも孫の死を受け止められないのかあまりにも不憫でなりません。
「死ぬべきは私でした。」そう思っちゃうよ私でも。子供たちが死ぬのはつらい。
■三軒茶屋の火災など
環八環七近辺の住宅密集地は火災被害の拡大が懸念されるエリア。気を付けましょう。それ以外でも米軍の支援その他細かいところがリアルで、この作品が3.11前に製作されたという事実自体が普通にすごいこと。この一点でも観る価値があるかと思います。
{/netabare}

さらにがっつりネタバレの感想
ミライとユウキとマリさん
{netabare}
まさかのユウキ死亡エンド。
全ての結末を知って、8話9話を観返すとダメです。
マリさんとミライのやりとりがとても切ない。傍らにユウキがいる体で話すミライを見つめるマリさんはどんな心境だったのでしょう。そんなミライを一人にさせちゃいけないと普通の大人なら思うよな。家族の無事を確認できたら次はミライを自宅まで送り届けるんだってゆう使命感を抱えているんだというのはは1周目にはわからなかった。むしろ自分の家族も大変なのにこんないい人現実にいるわけないくらいに見えてたもので。
振り返ると、古市さんの奥さんはかたちをかえたミライの姿そのものだったんだなと気づきます。突然いなくなって脳が処理しきれない感じはとても理解できる。
ユウキもえらかったね。お姉ちゃんが好きだったから痛いのを我慢したんだよ、きっと。
{/netabare}

生意気盛りの中一の娘さんを、そのまま中一の娘さんらしく徐々に成長していきなさいよと親目線では願うものの、大規模災害の発生によってそれが許されない状況に放り込まれてしまった。それでも前を向いて進んでいかなきゃならんのです。

{netabare}
「歩き続けなきゃ、、、悠貴が見てる」
{/netabare}


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2018.08.16追記
《配点を修正》


本作では東京消防庁などが協力することで物語に説得力を持たせる結果をもたらしました。最近だと宇宙よりも遠い場所での国立極地研究所の協力が記憶に新しい。
聖地巡り需要で自治体が名乗りを挙げるのとは別のベクトルで、公的機関がこういったかたちでアニメ制作に関わってくるのは大歓迎ですね。

投稿 : 2018/08/16
閲覧 : 525
サンキュー:

32

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