「地球へ…(テレビ版)(TVアニメ動画)」

総合得点
67.3
感想・評価
227
棚に入れた
1473
ランキング
2445
★★★★☆ 3.8 (227)
物語
4.0
作画
3.8
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.9

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ネタバレ

Keiner さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 5.0 作画 : 3.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

最近では味わえない真っ直ぐさがある

昔から好きなアニメですが、最近見返したのでレビューしようかと思います。
原作は40年くらい前の漫画でとても古い。既読です。

AIによって管理される社会、管理社会における少数者への抑圧、記憶操作による秩序維持、完全な体外受精による人間の再生産、近未来には本当に問題になりそうなテーマが扱われており、40年前の作品とは思えないほどです。SF的設定はどこを見ても考えさせられる深みがあり、見ごたえがあります。宇宙艦隊みたいな要素は若干時代を感じますが。

主人公はある種の少数民族であるミューの指導者として、戦い、守り、逃げ、育み、治めます。人類との戦いと対話、ミュー内部での世代間対立、次世代への継承など、見ようによってはかなり政治的なメッセージ性を含んでいて、奥が深いです。デザインは華奢な感じですが、ストーリーでの女性の重要性が薄く、主人公二人が政治的軍事的指導者でもあるので、内容はかなり男臭い感じがします。

ミュー側、人間側両方に主人公を置くことで、双方の対立やすれ違い、和解を美しく描きあげている点も非常に好印象。特に人間側の主人公(ダークヒーロー)であるキースの描写は秀逸であり、彼自身に語らせることなく、彼が感じている自己矛盾を暗示できています。

人間の善と悪をさりげなく、リアルに描くところは小憎らしさを感じます。個人的お気に入りなのですが、{netabare}善人として描かれていたジョミーの両親が、ミューに対する差別的意見を述べた後で、娘がミュー因子を持つと判定された瞬間、「ミューだから何だっていうんだ、この子は私たちの娘だ」と開き直るシーンがあります。娘にかつてのジョミーの面影を重ねて、自らの身を挺して守ろうとする両親の、深い愛情を表現する場面として見ることもできます。しかし、ここで表れている、ミューは迫害するが自分の娘なら別、というある種のエゴイズム(しかも善人であるジョミーの両親による)には、結構生々しいリアリズムを感じるのです{/netabare}。

ストーリー展開には荒いところも多く、ご都合主義的に感じる部分もあります。しかし、ロジカルなストーリーの整合性よりも、テーマ性に重点を置いた作品だと思うので、そこまで気になりません。

人間とは何か、なぜ人は争うのか、といった、壮大過ぎて最近ではあまり正面から描かれないテーマに真っ直ぐに向き合うところが、古臭いながら、感慨深さを与えてくれる作品です。幅広い層にお薦めしたいです。

投稿 : 2018/11/28
閲覧 : 280
サンキュー:

4

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