「やがて君になる(TVアニメ動画)」

総合得点
81.9
感想・評価
667
棚に入れた
2465
ランキング
379
★★★★☆ 3.8 (667)
物語
3.8
作画
3.8
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
3.9

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

をれ、 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ガチGLモノだけど、そういったカテゴライズを超える芸術作品

13話全視聴完了記念加筆訂正(01/13/2019)
カスタムタグの{のつけ忘れ修正(01/19/2019)

全話視聴後の感想です。何時間かかけて感想を考えてみたのですが、残念ながらこの作品がどんなに優れているかを表現する能力が私にはないことがわかりました。ギブアップwして、稚拙な感想をここに残すことにしました。
  この作品を御覧になられる皆様は、私の駄文を読むよりも、本作を視られることをお勧めいたします。それから何周か視て理解が深まったり、新たな発見をしたら、ここにきて書き直すなり加筆するなりしたいと思います。
  
さて感想を開始します。本作は私には、最初あまりピンときませんでした。それは燈子が侑を選んだ理由がよく分からなかったからです。それは物語の最後の方に進むにつれてだんだん分かってきました。
  本作は、心情に関する膨大な情報が、台詞、人物の振舞、情景描写、小物などに埋め込まれています。また、心情やその変化に関する表現はとても細やかで、揺れ動く心情を巧みに表現していると思います。
  それから、視聴時のみならず、視聴後に様々な場面を思い出して、あの時の登場人物の台詞や行動はどう思っていたからなのだろうかと反芻してみたくなります。例えば、燈子は何故、侑に惹かれたのか、そもそも異性を何故選ぼうとしなかったのかなどです。このように作品を視ていないときでも頭の中で楽しめるぐらい、物語世界の完成度が高いです。この作品に出合えて、本当に良かったと思います。是非また視返したいと思います。
  
なお、私が思った侑を選ぶ理由は..{netabare}あくまで私が勝手に思ったことですが、侑は燈子の本質を直感的に理解することができたからではないかと思います。
  それは第13話の中で説明されている気がします。燈子の姉は高校時代に事故で亡くなっていて、燈子によって激しく理想化され、その姉像こそが自分がなるべきもの、そして姉が成し遂げられなかった生徒会劇を成功させると燈子は意気込んでいます。そのために無理をして疲弊してしまっています。前話の12話で理想の姉像が当時の生徒会メンバーの発言で揺らぎましたが。そもそも理想の姉像に生徒会劇を成功させた後は、自分はどのようになればいいのだろうかという疑問が湧きあがります。しかし、その答えを見つけることができません。侑は、侑だけが知っているそのままの燈子になればいいとの背伸び気が付き、理解しようとします。
  もし侑が男の子だったら、燈子との関係は、急速に進むか/終了するかしてしまっていたと思います。GLならば特に片方がストレートであれば、話をゆっくり進めても問題ない訳です。この物語での二人の関係の変化はゆっくりです。それからGLの体裁をとってはいますが、燈子の人間的成長と侑の心情の変化が語られている物語だと思います。そしてGLの方法は相手をやさしくく思いやる気持ちを表現することだったと解釈しています。{/netabare}



--以下前回までの書込--
旧題:ガチGLモノだけどそれを超えた何か

実はガチGLモノは自分には苦手なジャンルなのですが、それなのに次週が楽しみになる作品です。
 花鳥風月のような自然、それに建物や机の人造物が、繊細に美しく描かれています。それだけでも十分魅力的ですが、それが登場人物たちの心情と(タブンw)関係があり、何かを語っているような気がします。(気がしているだけです) 
 それで、ガチGLが苦手な理由ですが、ある行為をしている最中のヒロインたちの気持ちをうまくイメージできず、何だか置いてきぼりにされているような気がするからと、あまりそういう欲望の消費行為のシーンは酒のアテに向かない気がするからです。
 では、わりと高評価を付けたあのアニメやそのアニメはそうじゃないのかと言われると言い訳がましいですがw、チュチュがギャグのネタやオチになっているのでアハハと言いながら視れる訳です(汗)。
 さて、この作品がガチGLでも次回が楽しみな理由は、ヒロイン二人の考え方や愛情の関係がどう変わっていくか、それを美しい背景や小物と一緒にどう美しく表現されるのかを最終回まで見届けたい、といったところです。

(12/01/2018加筆)
第8話冒頭のシーンの人間模様がとても面白かったです。
{netabare}
駅で燈子を待っていると、中学時代に沙弥香が、GLになるきっかけを与えてくれた先輩に偶然出くわしました。先輩の高校進学を機に交流が途絶えてしまっていたのですが、もう先輩のことを何とも思っていないと告げ、つまりヨリは戻さないよ宣言をします。そして、改札から出てきた燈子の腕にしがみ付き、もっといい相手ができたのよと、勝ち誇った表情で先輩の方を見ます。少し歩いて道すがら、燈子にこの手は何?、と聞かれ赤面します。
燈子とは先輩のような関係ではないので、手を組んで歩くのは不自然なのですが、片思い的なそれでいて近くにいることができる人間関係の表現があまりに秀逸なので、このシーンを視ながら私は顔がニヤけてしまいましたw。
{/netabare}


以下放送分12話視聴記念加筆
{netabare}
生徒会劇の読合せ練習で燈子は迫真の演技を見せます。
視ていて台詞の一言一言が、聞いているのではなく脳内で反響するような気さえしました。これには本当に痺れました。こんな経験は初めてかもしれません。
 この作中劇で燈子の役は、記憶を失い自分自身が分からなくなってしまったので、見舞に来た人が話す人物像の内のどれかを選択しなくてはならない病人でした。その時の燈子自身の心情と合致します。迫真の演技でありながら、その時の燈子の心情の激白そのものでもある訳です。その時の燈子の心情とは、生徒会時代の姉を知る人物から聞いた話で、燈子が思い描いていた理想の姉像、すなわち燈子が目指していた人物像は幼いころの幻想だったと気付き、混乱しています。このことを作中劇という脈絡を使って説明するこの場面に深く感動しました。そしてこのシナリオに疑問を持った侑は友人の台本製作者に書換えの提案をし、書き直されることになります。
{/netabare}


以下放送分13話視聴記念加筆
{netabare}
おそらく私を含めこの回を視た多くの人は、水族館デートを意外に思い、何故生徒会劇じゃないのだと思ったことでしょう。もしかしたら尺の都合なのかもしれません。あるいは続編のためには、この方が都合が良いのかもしれません。でもこれはこれでしっくりきます。二人が水族館ではしゃぐ様子を視ていて、相手を互いに思いやる気持ちが表わされているようで、これが「スキ」の関係なんだろうかと思い、何故か私は嬉しい気持ちになりました。建物の外でペンギンの行進を待つ間に、生徒会劇の練習の場面があります。その場面で、侑はそれまでとは違う台本の台詞を燈子に試し、誰かが言う自分像を一つだけ選択するのではなく、今の自分像で良いと侑は配役の台詞として話します。この作中劇も前話同様に素晴らしいです。
  この物語の最後の場面で侑は燈子に「そろそろ乗換えですよ」と囁きます、つまりこれまで目指していた自分の想像上の姉像に捕らわれるのはもうやめましょう、ということだと解釈しました。
{/netabare}

投稿 : 2019/01/19
閲覧 : 362
サンキュー:

27

やがて君になるのレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
やがて君になるのレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

をれ、が他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ