「もののけ姫(アニメ映画)」

総合得点
90.5
感想・評価
2046
棚に入れた
13278
ランキング
53
★★★★★ 4.2 (2046)
物語
4.2
作画
4.3
声優
3.9
音楽
4.2
キャラ
4.1

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ヒロウミ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

世に媚びぬ、それでも宮崎駿は一人じゃない。

アニメとは万人に受け入れられ万人に愛されそれが野となり山となる。綺麗な御山は永遠にあることは難しく風化するのか形を変えて存在するかは誰にも分からない。


宮崎駿の描くアニメは劇であり劇的な創作物と言えよう。一般周知されてないものを一般周知させる。その成し遂げた道は誰も辿れない。宮崎の天才超問題児で変人として有名だったぽっと出の米良美一の抜擢なんぞ今の大手の制作会社にはできないだろう。
などと偉そうなことを言うが何も知らないし宮崎駿が好きと言うわけでもない。TVのドキュメンタリーだったりインタビューだったり見ても言葉足らずで表現も曖昧で意外と攻撃的でそんなに好きな人間性を感じなかったから。ついでにゲド戦記ぐらいからジブリ作品ほぼ見てませんし。あ、監督は違うのか?それすら知らない。

彼の多くの作品は心を豊かにしてくれる。物語の深いところは分からないが見事なフィクションでありながらキャラクターから醸し出される臨場感はリアルなもので嘘を嘘と感じることができない。何もかもが画面の中という認識を忘れさせそこにありそうな感覚に取り込まれる。
しかしそんな作品たちも彼一人で昇華させたわけではなく沢山の才能とそれをまとめプロデュースした人間があったからこそ成り立ったのかもしれない。

抜群に丁寧に描かれた背景やキャラクター、環境さえ整えれば分かるが劇を大いに「語る」劇中音楽。その劇の邪魔をしない大御所たちの熱演。今の劇場アニメに全く足りない要素である。
技術的には進んでいるハズの今日でもそれは到底追い付いたとは言えるものは少ないだろう。キャラクターが「演者」となり昇華することもなく見た目でのステータスで視聴者に媚を売り、デジタル作曲された劇中音楽にはオリジナリティは無く、「声質」や一部ファンに色目を使ったようなキャスティングと演技はとてもじゃないが追い付けないし追い越すことはできないだろう。


最近売れたと言える劇場作品も数が減り、その売れた作品でさえ20年経ってしまえば多くの人の記憶からは無くなってしまっているだろう。口コミ伝播がよういでステマですら簡単に踊らされる10代から20代前半の世代に持て囃されれば数字の構築は簡単だ。一部の「質」は金だけあれば簡単に向上できる昨今とネット環境の黎明期に売れたという意味合いは大きく違い、出来の「質」は近づこうとも作品の奥ゆかさから人を引き付ける力は格段に昔の作品であるだろう。それは色々なものを更新した「君の名は」ですら。

この才能豊かな人々の魂と技術が今後多くの作品に宿ってもらいたいと願うが今のアニメ業界にはSNS映えするような特定世代にのみ狙いを定めたプロモーションばかりしている。そんな会社が宝となる「売れ続ける」創作は不可能だろう。そう、今の制作会社には作品の消費はあっても熟成は無い。数撃ちゃ当たる商法で一作品に全てをかける狂った人間は居ない。
もう先が短い宮崎駿を越える才覚がある人間は現れるのか。神のみぞ知る。

投稿 : 2018/10/27
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