「カレイドスター(TVアニメ動画)」

総合得点
88.3
感想・評価
1539
棚に入れた
8192
ランキング
117
★★★★★ 4.1 (1539)
物語
4.4
作画
3.9
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
4.2

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ドリア戦記 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

スポコン女子アニメの金字塔

さくっと簡単に。

2003年開始のアニメなのでかなり古いです。
ただ1期でシンフォギアの監督を務めた伊藤達文監督が
このアニメで監督を務めた佐藤氏の「お弟子」さんです。
Twitterでも伊達氏がカレイドスターをおすすめしています。
シンフォギアはカレイドスターをお手本にしたそうです。

作風もよく似ているので、同系列の作品と言っても良いでしょう。
ただ古いので最近では知らない人が多くなってしまいました。
古いアニメファンの間ではかなり人気がある作品です。

シルクドソレイユのような芸術的なサーカスを舞台に
根性、さわやか、スポコンで圧倒的な吸引力を物語で魅せてくれます。
(よく考えればサーカスというのも中世にあった一種の共同体に似ているよね。
仕事だけでなく寝食を共にするし)

なんなんでしょうね。この引き付ける力は。
挫折があってもそれらをすべて肯定的に受け止め、前に進む強さがあります。
頼りない女の子が仲間の力を借りて自己承認へ至るまでの道筋を描いています。
いわゆるジュブナイルです。
自己承認とは自分だけでは成り立たない。
他人からの承認を求めるだけでも成り立たない。
他人と自分の間に成立するものかもしれません。
「他人」が周りにいない孤独な人間は、独断と偏見に陥り容易に道を誤ります。
大人なら自業自得で自己責任と切って捨てられるでしょうが、
学ぶチャンスと柔軟性、そして先に大きな時間を与えられた者は違います。
非常にシンプルなこの法則を教えてくれます。

主人公への好き嫌いは個人差があるでしょうね。
正直、年齢もあって私自身あまり強く作品に感情移入できないタイプなので
群像劇の面白さとアニメ演出に惹かれました。
「へぇ、男が女の子をこんな風に描くのか」と思った記憶があります。
「男が理想とする翳りのない健全な少女」というきらいはあり、
女性の視聴者の場合はそこが鼻につくかもしれません。

橋本治風に言えば、少女の自己承認は仲間が媒介して齎されるが、
昭和の少年の自己承認は「社会=大人」から齎される。
昔のアニメに主人公を阻む・鍛える頑固親父が存在したのは必然だからです。
少年の自己実現は社会から「一時的に」約束されており、
エスカレーター式ではありますがその性質上硬直的で容易に挫折しやすい。
橋本さんはかなり辛口に批評していた覚えがあります。
しかし、「大きな物語」が瀕死の今は平成の少年は必ずしもそうではありません。
かつての大人が作った「世界の絶対性」は崩壊したからです。
だから平成の少年漫画の主人公は大人たちはもう少し柔軟です。
誰かと協力して物事を成すことで自己承認が得られます。
「大きな物語」はライナスの毛布と同じです。必要ないのですよ。
自分で考えられる人には。自分で自分の周りの世界を構築できる人には。
女の子、女性が「大きな物語」の喪失で七転八倒しないのと同じです。
物語が男女共通になってきたのはこうした背景もあるかもしれません。

私は最近ではアニメから遠ざかってシンフォギアはあまり見ていないので
比較は細かくはできませんが、
こういうお話や表現が好きな人には一見の価値があるかもしれないと思います。

投稿 : 2019/11/20
閲覧 : 345
サンキュー:

7

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