「デカダンス(TVアニメ動画)」

総合得点
82.6
感想・評価
625
棚に入れた
2251
ランキング
355
★★★★☆ 3.8 (625)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.8

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ネタバレ

oxPGx85958 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 2.5 音楽 : 2.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

問題作 -> 凡作なのか、ダークな怪作なのか

最後まで見ての感想

結局、第3話まで見て抱いた危惧が的中して普通の展開になってしまいました。いやむしろ、どこかで見たことのある各種の構成要素が、熟慮されないままつなぎ合わされて、焦点のぼけた物語になってしまったという感があります。

「盛り上がるポイント」がわかりやすく設置されるが、それを支える基盤ができあがってないため、見ている方としては白けてしまうことが多々ありました。盛り込まれている要素が多すぎて1クールで描き切れていないということかもしれないが、2クールあったら改善されていたかどうかは不明。

第3話までに提示された物語世界を見て、私が物語上のキーになりそうだと思った点の1つが、{netabare}サイボーグにとってデカダンス世界での死は仮想的なものだが、人間にとっては本物の死である{/netabare}ということでした。これはナツメにとっては自分のこと、仲間のことだから切実な話であるのに対し、カブラギにとっては、理屈の上ではわかっていても切迫感がなく、思い入れもナツメという人間に対する個人的なものでしかない。

物語の大きな部分がカブラギ(側)を中心に進むので、カブラギ側の価値観は出てくるのだけれども、ナツメ側の価値観は、彼女はもちろんのこと他の人間たちのものとしても切実なものとして提示されない。

でも考えてみると、「世界の真実」が知らされたときに、このことはカブラギ側とナツメ側の間に巨大な断絶を生み出すはずなんです。アニメの中では、ちょっとした衝突があった後に、ナツメの「精神的な成長」らしきものとカブラギとの個人的なつながりを契機に和解が起こるんだけど、他の人たちの間にはこんなものはまったくないわけだから、そう簡単に和解が起こるはずがない。最後にエピローグ的に描かれる新しい世界も、ナツメ側にとってはそんなに幸せな世界ではない。たとえば女戦士のクレナイは激怒しただろうし、エピローグで描かれるようなアトラクションのキャストになって幸せなはずがありません。

このようなことを製作陣は織り込み済みだったんだろうか、ということが気になります。そもそもそんなこと念頭になかったのか。盛り込みたかったけど尺がなくて描けなかったのか。あるいは、これはカブラギ側の視点で描かれる物語で、ナツメはカブラギに刺激を与えた登場人物として時間をかけて描かれているが、そもそも人間はモブである、ということなのか。

最後の可能性、つまり人間は無力なモブであるという設定が真だとしたら、これはけっこう革新的な話だとは思うんです。実際、本作では、当初はヒロインとして強くなっていくのかと思われたナツメでさえ、戦いの行く末に大きな貢献をしません。いやほんと、本作において人間が与えた影響は、「ナツメがカブラギに惚れさせた」ということに尽きる。これ以外に両グループの間に意味のある相互作用がなかった。そんな世界でのカブラギと仲間たちの冒険譚である、ということならば、これはラディカルだし、エピローグに描かれる世界はぞっとするほどダークなものです。

そんな視点での続編が作られたら、本作もその前日譚として支持したくなるかもしれません。

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第3話まで見ての感想。

第3話まで見た段階での感想を書いておきたくなるぐらいに刺激を受けた、ということで。

第1話を見て「ふーむ」と思い、第2話を見て「おおっ」と思って、その外連味には感動するものの、今後の展開を不安に思わせる要素もいくつかあった、という状況下で、第3話は拍子抜けするほど普通に物語を作っていくエピソードでした。

この第3話があまりに普通すぎて、今後の物語の進展や起こりうる衝突や提示される価値観や最終的な結末が予想できてしまう、ような気がしました。本作の予想される物語は、第1話の時点では完全にオープン・エンデッドでしたが、第2話から第3話にかけての展開があって、道筋が定まってしまったように感じます。

第1話にあった豊穣なポテンシャルが、第3話の時点で「体制への反逆」の物語に収束してしまった。今後、そこからさらに一歩(あるいはそれ以上)、こちらが予想していない方向に踏み出すのか。

投稿 : 2020/10/10
閲覧 : 418
サンキュー:

8

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