「聲の形(アニメ映画)」

総合得点
88.8
感想・評価
1496
棚に入れた
7401
ランキング
96
★★★★★ 4.1 (1496)
物語
4.2
作画
4.3
声優
4.2
音楽
3.9
キャラ
4.1

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ネタバレ

遊微々 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

過ちて改めざる是を過ちと謂う。

リバイバル上映中なので劇場へ。何だかんだ見てなかった作品ですこれも。

生きていて辛いこと、苦しいこと、人それぞれ大小様々な悩みを抱えているかもしれません。時には過ちを犯すこともあるでしょう。そうした時、どう向き合ったらいいか。誰と向き合えばいいか。そんな人として当たり前で、だけど誰もが躓くような大事なことを教えてくれる素晴らしい作品でした。
自分は常日頃から思うことがあります。皆さん誰かの失敗に対して過敏すぎやしないでしょうか。一度ミスを犯した人間には何をやっても許される、その人はそれに対して反抗することは許されない、肩を持つなんて言語道断、そんな風潮が当たり前のようにまかり通っている世の中がすごく歪んで見えてしまいます。
作中で主人公である将也君は当初ヒロインの硝子ちゃんをいじめていました。当然これは許されざる行為ではありませんね。批難されるべきことだと私も思います。しかしその後彼はどういった扱いを受けたでしょうか。周りから責任を全て押し付けられ、新たないじめの対象となりました。自業自得?因果応報?果たして本当にそう言い切れるのでしょうか?彼が西宮硝子という少女をいじめていたのは事実です。しかしその時周囲の子たちはどうしていましたか?本当に彼一人を責め切れますか?彼に罰を与えるような資格が本当にあるのでしょうか?
でもこういったことが当たり前のように各所で起こっています。特に昨今はSNS上を始めとする情報が錯綜するネットワーク社会の中で、匿名であることを利用した多人数による誹謗中傷が頻発してますね。この実情が非常に恐ろしいです。
自分は思うんです、人って誰しも間違うものだと。その間違いを本人がどう受け止めるのかはもちろん大事なことではありますが、周囲もその間違いをどう受け止めるか、これもまた大事なことです。作中で彼も言われてましたが、「過去に過ちを犯した人間が今さらそれを反省して偽善者ぶるな」「悪いことしたやつは少し良いことをしただけで認められるのはおかしい」、こういった意見最近よく見かけますね。最初から間違いを犯さないのが一番偉い、というのは確かに一理あります。しかし過去に過ちを犯した人が反省して今は人の為になるような行動をしている、その行動自体に間違いはないのでは?大事なのは過去どうだったかではなく、今どうなのかだと思います。過ちを認めて反省し、もう一度周囲に認めてもらうことって当たり前のようですごく難しいことですよ?特に作中の彼らはまだ10代、思慮深い行動というのは中々難しい年齢です。もう少し寛容に考えてみることをしてもいいんじゃないでしょうか。過ちはきっちり指摘しないといけない、しかしそれをずっと咎めるのも問題だと自分は思います。

少々感情が先行しすぎた内容となってしまいました。申し訳ありません。
アニメーション自体についてももう少し触れていきます。
作画は非常に美麗、このあたりは流石の京都アニメーションですね。色彩豊かな風景や感情豊かな登場人物たちの表情は画になります。

キャラクターもそれぞれ人間臭い部分が強調されていたので、キャラによって好みに差がありましたが、特にお気に入りだったのが将也君のお母さんと永束君。
まずお母さん、息子の失態を叱責しつつきちんと謝りにいく姿勢。自分も罰を受け入れる強さ。それでいてそのことを執拗に責めない寛容さ。もう素晴らしい、強さと優しさを兼ね備えた理想の母親像と言ったところですよ。将也君がなんだかんだ自分と向き合えたのもこの母の愛があったからこそでしょうね。顔を合わせづらいはずの硝子ちゃんのお母さんともきちんと歩み寄っていたのがさらに高ポイントです。演じられてた雪野五月(平仮名表記が未だに慣れない)さん、やっぱり大好きな役者さんです。
そして永束君。めっちゃええ子やん君!最初はヒロアカの某煩悩と似てるなと思ってたんですが、自転車自力で見つけてきたり、しっかりお見舞いにも駆け付けたり、漢の中の漢でしたね。

声優さんたちも流石はプロといったところで、素晴らしい好演でした。特にヒロインの西宮硝子を演じた早見沙織さん、聾唖(この言い方はあまりよろしくない?)の方の喋り方は独特なので難しい演技だったと思いますが、かなり練習されたのでしょうね。素晴らしい仕事をなさっていたと思います。


最後に一つ伝えたい言葉があります。
「流言は智者に止まる 」
これは私自身が座右の銘としている言葉でもあります。

根拠のないうわさは次から次へと伝えられるが、判断力のある智者のところに来ると、そこで検証されて、他の人には伝えられない。

という意味になります。今の情報伝達が発達した時代において最も刺さる言葉だと思います。これは噂話だけにとどまらず、みなさん物事を一方的なフィルターにかけて見てしまうようなことをついついしてはいないでしょうか?多方面から物事を見つめ、しっかりとした事実を明らかにする思考を持つことが大事ですね。自分も智者になるよう日々気を付けながら情報を捉えています。皆さんも注意しましょう。


いや、本当に自分に刺さる作品でしたね。少々レビューも感情的になってしまいました。多くの人に伝えていきたい作品ですね。

投稿 : 2020/07/30
閲覧 : 450
サンキュー:

32

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